snowblack
soukyu no Lorelei
三上徹雄は、最愛の人の遺した懐中時計と一緒に暮らしている。
本編で、城戸の息子が届けてきた一通の手紙。
18年の時を超えて届いた、塁の真実の思いに
人前であることも忘れて号泣した三上の、そしてその夜。
ラバウルから大切に持ち帰り、戦後修理をして
毎夜眺めている塁の懐中時計に、月の光の中で語りかける三上。
その三上の一人で語るセリフが美しい。
戦後落ち着いた時代を迎えても、繰り返し胸を巡る後悔の思い。
今、あの日にやはり彼は逝ったのだと思うと悲しみは湧くが
しかし時を超えて、三上の心がちゃんと塁に届いていたことが分かり
悲しみの中に安堵が交じる。
塁への思いを抱きしめながら、彼岸でふたたび会える日まで
静かにでも確かに残された生を歩いていく三上。
塁の愛した三上の、優しくしなやかに強い心に打たれます。
ふたたび涙。