茶鬼
harukoi
アキが恋人と別れたと話し、とうとう本当の恋人になれたその時。
その直後、すぐに二人は引き離されてしまうのですが、その一瞬の蜜月の時間に思いだした美里がアキに恋をした瞬間のエピソード。
本編ではさらっとしか触れられてないエピソードですので、この話があることにより、より一層美里のアキへの想いの始まりが明確になります。
やっと恋人になれて抱きあった後、美里はアキが前足に怪我をした猫の絵を見せてくれた時に好きになったのだと告白します。
どうして怪我をした猫を描いたのか?
生き物は怪我をする。そしてどんなものにも欠陥がある。(多分完璧じゃないと言いたいのだろう)
その最たるものは人間や動物のような生き物であり、それは身体だけでなくて、感情や意思がある分心にも欠点や欠陥があると言いたかったと言う。
そして、たやすく怪我する生き物でも強く生きているのだと。
この話が美里の心を惹きつけたのは、ある意味、「同性愛」というマイノリティを欠陥と捉えた比喩に関連していくものに思われたのかもしれない。
まさにマイノリティ。
ノーマルからすると「同性愛嗜好」は欠陥だと、おもえるのかもしれない。
それは後付け的こじつけな読者の考えであるにしても、美里にとって日頃の自分の甘えた怠惰を恥じて目を開かせてくれた言葉でもあったのです。
「アキ大好き…アキとずっとずっと、ずぅっと一緒にいたいよ」
この直後彼等の関係は美里の父親にばれることとなるのですから、この言葉が非常に切なく響きます。