茶鬼
haru e kounyuushoten gentei tokuten paper kakiotoshi short srory
本編の中で、相思相愛のはずなのに、別れを選択した二人。
ラストの再会と結ばれるために必要だった、旭のもう一回の脱皮。
それを迎える大事な場面が描かれています。
このSSがあることで、本編に欠けていた最後のパズルのピースがピタっとはまって、物語の完成を見せるのではないでしょうか?
どうしても十希の思いに答えてやれない、十希の亡き父と母に対するこだわりの申し訳ない気持ち。
別れてしかも、今十希は北海道に行っている。
余計に募る気持ちが旭の本音として吐露されている。
それを開放させるきっかけになったのは、十希の送った雪だるまのポストカード。
ここに、旭が十希の両親の墓へ参って土下座して頼んだという、きっかけが表されています。
この別れの時間は旭にとって必要欠くべからざる時間だったのだと、
とてもとても胸に響くエピソードになっていました。
本編より心にぐっと響きます。
本編で受け様が北海道に行っている同時期の攻め様の様子と気持ちが攻め様視点で
描かれているショートでした。
本編中に同時進行のような時間の流れで互いを思い合う二人の様子を読み比べると
またかなり心に感動が湧いてくるような切なさと恋する苦しさが感じられる話で
感動ひとしおではないかと思います。
亡き年上の友人夫婦の忘れ形見を愛しく思いながら、それでも許されない思いだと
必死で諦めようとする姿は胸に来ますね。
それでも、たった1枚のポストカードと攻め様の名前を書いて一文字で止められない
思いが溢れだしてしまう。
素敵なショートストーリーでした。