『夜明けには優しいキスを』は大ヒット作『お菓子の家』に連なる物語今や多くのBL小説ファンに新作を心待ちにされる作家のひとり、凪良ゆう先生。今年は2ヶ月連続で、人気既刊が新装版として登場です! 1月発売『未完成』は高校生×教師の禁断の愛。また2月発売『夜明けには優しいキスを』の当て馬は、大ヒット作『お菓子の家 ~un petit nid~』のあの人! 未読の作品があるみなさんはもちろん要チェック! すでにどの作品も読んでいるというファンも、今回のインタビューで凪良先生と一緒に振り返ってみましょう! それでは「801 AUTHORS 108」第291回、凪良ゆう先生どうぞ!
Q. 御本の紹介をお願いします!『未完成』は青春満開な高校生の暴走話です。10代全開の未熟な年下攻めを書きたいというのが最初の動機でした。『夜明けには優しいキスを』はどん底からの再生がテーマでしょうか。主要キャラ三人とも未熟で泥臭く、自著の中でもこれほど好感度の低い人たちをメインに据えた話はないです(笑)。重いお話ですが、読んでいただければ嬉しいです。
Q. メインカップルはどんな攻×受ですか?『未完成』はお金も地位もない、10代なので包容力も思慮深さもない、同級生相手ならかませる余裕も年上相手には持てない、でも好きになったら一直線な年下攻め×大人の顔であしらっている裏で実はキリキリ舞いさせられている年上美人のカップルです。いつもはストーリーから組み立てていくのですが、珍しくキャラ萌えから入ったお話でした。『夜明けには優しいキスを』は良くも悪くも割れ鍋に綴じ蓋なふたりだと思います。ドネガティブ受けの要には、ドポジティブ攻めの公平しかいない!
Q. 当て馬や重要な脇役は?三角関係萌え&当て馬大好き人間なので、どの作品の当て馬にも愛があります。『夜明けには優しいキスを』に出てくる加瀬は、歴代当て馬の中でも特にお気に入りです。DV彼氏というひどいポジションだったので、好きなのは自分だけだろうと思っていたのに、蓋を開けてみれば意外なくらい読者さんにかわいがってもらえて、のちに『お菓子の家 ~un petit nid~』の主役になれた幸せな人です。『未完成』の大河内もお気に入りです。家庭があるのにしゃらっと浮気をし、だからといって特に悪人でもないという、そこらへんにいそうな風がなんとも言えず好きです。大河内みたいな男を主人公にして書いてみたいけど、読者さんから一斉に抹殺命令が下されそうで怖いですね(笑)。
Q. こだわりポイントはどのあたりでしょう?『未完成』は、大人であろうと踏ん張り続けた阿南が初めて崩れるシーンと、別れた後の再会シーンに力を入れました。瀬名だけじゃなく阿南も、大人と子供の狭間で揺れる男はいいものですね。『夜明けには優しいキスを』は加瀬ですね。DV彼氏なんですが、単純な悪役にはしたくなかったので肉づけに悩みました。
Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露お願いします!『未完成』は受け攻めふたりが好きすぎて、クライマックスを書く前に知恵熱を出して寝込みました。小学生が遠足を楽しみにしすぎて出すような感じで、この場合は萌え熱とでもいうのでしょうか。『夜明けには優しいキスを』は、書いてる間ずっと暗い人でした。当たり前ですけどその人物の気持ちに寄り添って書くのでしんどかったです。要、暗すぎる! 脱稿したときは本当に力尽きて倒れそうになりました(笑)。
Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!『未完成』、『夜明けには優しいキスを』はデビュー二年目あたりに書いたお話です。今回、新装版という形で出し直していただけたのも、いつも応援してくださる読者さんのおかげです。ありがとうございます。しばらくシリアスが続きましたが、今年は久しぶりにコメディも出る予定ですので、そちらもよろしくお願いいたします。これからも楽しんでいただける話をお届けできるようがんばります!
編集部からのコメント凪良ゆう先生の初期作が、プラチナ文庫から新装版にてついに登場です!
『未完成』は、文庫未収録だった『Young Swallow』と書き下ろし『さなぎ』が、『夜明けには優しいキスを』も大幅な加筆修正と書き下ろし『one day』が加わっています。
二作とも、まさに完全版というべき仕上がりです。
『未完成』は、受けである阿南の視点で描写された書き下ろしを読むと、いろんな意味で胸がいっぱいになって感動間違いなしです!
また『夜明けには優しいキスを』で登場した加瀬は、『
お菓子の家 ~un petit nid~』の主役となっています。
要の幸せを見届けた後は、加瀬を主役として、ぜひもう一度二作を合わせて読み返してください。
また違った印象を抱くかもしれません。
どちらの作品も、旧版を既読の方も未読の方も、ぜひご覧いただきたいです!
それぞれ色々なことに苦しみながらもそれを乗り越える、苦しいくらいに切ないけれど、読後は温かい気持ちになれます。
恋って、愛って凄い! そんなふうに思わされる素敵な作品です。
(c)凪良ゆう/草間さかえ/高階佑/葛西リカコ/プランタン出版