沙野風結子さんのレビュー一覧

蛇淫の血 小説

沙野風結子  奈良千春 

最初と最後のギャップ

平穏な日々が突然崩れ去った。
自分に半分流れる、血。
それによって望まぬまま跡目候補と持ち上げられ、そして命を狙われてしまう凪斗。
警護を任されたと目の前に現れた男・角能に翻弄され抗っていたが、いつしかその想いは変わっていって──。


最初と最後の凪斗のギャップにやられてしまいました。
「普通」の学生だった凪斗。
自身に半分流れる血を忌み嫌い、普通であろうと必死になるのは母のため…

2

淫魔を孵す 小説

沙野風結子  小山田あみ 

変身!!とーっ

表紙から見ると、真ん中の男性をそっくり男子が挟んでおります。
双子モノ3P?と思いますが、読んでいくと実は!!
ファンタジーというか、ちょっぴりオカルトな要素も含んだ作品でありました。
表紙もエロス満載でしたが、中身のエロもエロかったっす☆
小山田イラスト、もう、サイコー!

父親が院長を務める病院で、30歳にして副院長を務めるのが外科医の宰。
この病院に、学生時代身体の関係はあった…

16

吉原艶情 小説

沙野風結子  北上れん 

異国人の陰間

ちょっと珍しい設定。でも、ラブストーリーだけでなく物語の進行がしっかりしていて、相変わらずの沙野さんという出来、非常に読み応えがあって私は大変満足しました。

舞台は鎖国時代の吉原。受けは堅物で恋をしたこともない特高。ひょんなことから売れっ子陰間、しかも異国人に助けられ、体の関係に。。
最初は反発しつつも、心の交流をするうちに引かれていく。王道展開ながら、ラブストーリーだけで終わらないのが沙…

1

ポイズンローズ 小説

沙野風結子  すがはら竜 

デビューのきっかけになった作品

商業デビューは別の作品ですが、これが担当さんの目に留まり商業デビューすることになった作品だそうです。
確かに、アンバランスな印象でまとまりが悪いですが、個性というか好みは変わって無くて、こういう時期を通って今の作品なんだなぁと。

スーパー攻め様×まじめな大学生のセレブテンプレではありません。俺様でもありません。ただの王道で終わらせない発想が面白かったです。
難点は散見されますが、デビュー…

1

堕楽の島 ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

ラブラブモード突入

並外れたはねっかえりのワガママ犬が飼い主にそっぽ向かれたとたん、焦りまくってあれやこれや頑張ってるのを、カッコつけてハードにしてみましたよ、のお話。

私的にはカルトや洗脳に対抗する一番のカギはどうしても手放せない絆だった、という部分が一番響きました。
生きてると心が脆くなるようなつらいことと出会うことはあるけど、それを乗り越える力になるのは愛する人の存在。言葉にしてしまうと陳腐だけれども、…

2

落園の鎖~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

ちょっと進展したらしい

前作でちょっとだけ周に対して優位感を持っていた靫が、そっけない態度にあれれ?となる今作。そうはいってもそのうち手を差し伸べてくれるんでしょ、と思っていたらほんとにギリギリまで放置プレイでびっくりでした。
簡単に依存関係にしないのがこのシリーズのいいところで、今作もがっつり男同士!でした。
そうはいっても心の距離は縮まっていて、あとがきによると二人の関係が「マシンオイル」から「ポーションバター」…

4

タンデム ~狂犬と野獣~ 小説

沙野風結子  小山田あみ 

どっちもかっこいい!

男同士でしか出せない、BLならではのよさってこういうのもひとつよね~、と楽しませていただきました。
ふたりとも男らしいタイプで、受けの靫もやられちゃったからと言って途端に女々しくなるような甘いタイプでもなく。自分の体も状況を有利にするためのツールのひとつ、と割り切って逆に利用しようとする靫と、そう簡単に流されないぜと頑張る峯上との勝負のような駆け引きが、かっこよかったです。
峯上に惹かれるのも…

6

赫蜥蜴の閨 小説

沙野風結子  奈良千春 

息詰まる空気に酔う

正直、これを読むためにこのシリーズに手を付けたようなもの。で、その価値はありました。

いや、濃かったです。エロもバイオレンスも濃かったんだけど、一番濃かったのは空気。窒息しそうなほどダークで密な空気が素晴らしかったです。
展開もなかなかのもので、臣の行動に気持ちよく振り回されました。会社乗っ取りの方は少々ぬるめなんだけど、高柳の興味・関心の方向を考えるとあり得る話で、追いつめられていく高柳…

7

斜光線~人肌の秘めごと~ 小説

沙野風結子  梨とりこ 

タイトルと空気感の見事な一致

沙野作品の粒子が大きくて密度の高い雰囲気を存分に堪能できました。
全体に重苦しいのだけれど、粒子が大きいからちゃんと呼吸ができるし、その隙間から差し込む光が秋の午後の日差しのように、どこか尊く懐かしさをおぼえるもので、不思議なすがすがしさがありました。
物語の最後に「斜光線」の意味が語られ、それまで感じていたものとタイトルとの結びつきに唸りました。
これほど意図したとおりの印象を与える作品を…

4

青ひげ公の婚礼 小説

沙野風結子  乃一ミクロ 

摩訶不思議な体感をくれる

なんだかとても不思議な雰囲気に包まれた作品でした。
奏真のつかみどころのないキャラも、そのあいまいな過去の記憶も、夏狩の執着の正体も、何も明かされないままにただ気持ちとお話だけが進んでいって、もちろん最後には明かされるんだけど、そのころにはすでに夢の中を漂うようにふわふわとした作品の空気にすっかり慣れてしまって、夢見心地のままラストを迎えました。
こんな感覚は初めてです。驚きと妙な心地よさとで…

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