Mistro
無印と上巻はまだ健全な雰囲気も併せ持っていましたが、この下巻で一気に重たい愛の底に引き込まれた感じがしました。相変わらず一舞は直斗に自分の執着の深さを隠しはしない。けれど、その執着がどれだけ常軌を逸しているかが、上巻まではまだ直斗も読者も分かりきっていなくて、下巻でやっと事態を飲み込めた、という印象でした。
一舞は直斗を監禁したいと言ったことすらないし、四肢を拘束したこともありませんよね…
なんだろう、一舞の執着ってめちゃくちゃ重いんですが、それを全部本人に打ち明けちゃっているからシリアスになりすぎないというか、直斗も読者も最後は笑って受け入れざるをえなくなるところが、逆にものすごい策士なのかな?と思い始めました(笑)。闇ベクトルの執着は相手に隠してこそ美味しいものだろうと思っていましたが、オープンはオープンでまた別の怖さがあるかもしれません。どれだけ一途にどれだけ長い間我慢したり…
表紙や攻めが整体師ということからエロに全振りの作品かと想像していました。もちろん濡れ場は多めでエロを求めて間違いはない作品だったのですが、ストーリーが意外な方向に進んでいって、エロだけでなくこんなに重い執着愛まで拝めるとは……と嬉しい誤算でした。といっても相手に対して隠したい部分は特にないというオープンな執着なので読後感は爽やかで、あんまり悪どい攻めは苦手という人でも読みやすいと思います。攻めの…