黒江ノリコさんのレビュー一覧

もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

不憫受けの丁寧な心理描写に、涙

月村先生の昔(2001年)の作品。
Kindleアンリミに入っているのを偶然見つけ、読んでみました。
古い作品ですが、古さを全く感じさせない内容!(挿絵の絵柄はちょっと古め;)
夢中になってあっという間に読み終えてしまいました。

主人公・広海は母親に精神的虐待をされ、自殺され(子供の誕生日に自殺するなんて、、( ; ; ))
母親のヒモ男にたかられながらバイトを掛け持ちし、一人暮ら…

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彼と彼氏の事情 小説

可南さらさ  黒江ノリコ 

典型的なDV男あるいは犯罪者予備軍の攻

10年以上BL商業誌というものから離れていた今や一般人ですが、実家で捨て活してたら積読しておた本書を発見。表紙のイラストが可愛いなーと衝動買いしたままだった…
もったいないので読んでみました。
以下、一般人と化した古のBLオタクの感想です。寝言だと思って…

まず、攻めが事ある毎に受けにツラくあたる。そのたびに攻めの顔色を窺う受け。しばらくすると心底反省したように謝る攻め。
典型的なDV…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

主人公の心理描写が丁寧

2001年発刊の作品。
古い作品だからそうなのか、濡れ場の描写に重点が置かれていない。
BLによくある官能シーン重点で延々とダラダラ続く凌辱シーン描写、ではなかった。
主人公の心理描写に重点が置かれているのがとても良かった。

主人公の広海の母は、一時流行った歌手で、最後は場末の酒場の歌手。
マネージャーの男と内縁関係にあり、広海は、二人からネグレクトと暴力を受けながら育つ。
中学生…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

健気不憫が二人…

自分ごときに人を傷つけられるはずがないと、自虐的に思っていたが、それは自虐でも謙遜でもなく、倣慢だった。


月村さんのお話は健気不憫受の心理観察がやはり素晴らしいです。生まれてからの境遇から生じた性格の捩れ、諦めが前提で良き物事があっても正常に消化出来ない気持ち。恋を自覚して自己完結的な気持ちからの移り変わりが、側から見ると見事な空回りなのに共感させられるし、目が覚めた上記の言葉には背筋を…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

人を信じる力を得ようとしていく姿に感動した

古い月村先生の作品を最近読んでいるのですが、この作品の受けは、今まで読んできた月村作品の薄幸不憫受けの凝縮系というか、原点だ!と思いました。

このお話の受け・広海は母から疎まれて育ち、一度たりとも愛情をもらえなかった子なんですね。

自分の誕生日に母親が自殺をし、ヒモだった内縁の夫から借金を背負わされ金をせびられる。

「親から愛されなかった自分」というものが深く心に根を張っていて、…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

イイハナシダナー

イイハナシダナー…という感じでしたが…うーむ。三夜沢と広海の関係は恋人ではなく親子のほうが自然なように思えて、BL的な萌えは残念ながら分かりませんでした。

私の読んだ限りですが、月村さんの作品は常に「恋愛」と同じかそれ以上に「家族愛」がテーマになっていると思います。そのこと自体はいいのですが、天涯孤独の17歳の少年と30代前半(7歳の娘あり)とのお話で、下手したら父親よりも娘との会話のほうが…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

やっぱスゴイと思った、月村先生。

この作品を読んで先生の力量にKOされてしまった。大衆ウケするエンタメ色は皆無ですが、物語をパーソナルなものとして受けとめるタイプの読者には強く響いてくるお話だと思います。

主人公は母親にネグレクトされた十七歳の広海。母親は既に他界しているが、ソリの合わない義父から、これまでかかった養育費と称して金を要求され毎月返済している。高校へは行かずバイトを掛け持ち、まるで借金返済のために働くだけの日々…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

何度も読み返している本です

 最初に本が来たときは、あまりの薄さに驚きました。うわあ、薄い。こんな本を買うんじゃなかったと後悔しましたが、読んでみると、値段以上の価値があると実感しました。
 恋愛要素は、薄いですが、好きでたまらない人に告白されても素直に『はい』と言えないひねくれた性格の主人公が個人的にはすごく好きです。
 幼少期の虐待、トラウマなどから、ひねくれながら生きてきた主人公が、今まで自分が経験してこなかった明…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

不幸な過去を持つ者同士

1冊丸ごと表題作です。広海の目線で進んでいきます。

母親に虐待され、自分の誕生日に自殺された過去をもつ広海(受け)。
妻が浮気相手と無理心中したので、娘の美生と暮らす三夜沢(攻め)。
そんな二人が出会い、恋人になるまでの話です。

母親に愛されなかったことから人間不信になっている広海が、三夜沢や美生たちと過ごすうちに、嫌われることに臆病で壁を作っていた自分から脱却する成長物語でもあり…

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もうひとつのドア 小説

月村奎  黒江ノリコ 

他人から家族へ

愛に恵まれず育った苦労性の主人公に男前な社会人。
こういう歳の差モノは組み合わせとしてはある種のテンプレートにも感じますが、とても大好きな設定です。

家庭に恵まれず、学校にも通えず、狭いアパートで借金返済の為だけにバイトを掛け持ちする主人公・広海。
気が強い一面もありますが、思考はネガティブ。こういう鬱々した感じの作品、上手くやらないと健気さにほだされる反面、卑屈さが鼻についてしまう気も…

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