剛しいらさんのレビュー一覧

花扇 小説

剛しいら  山田ユギ 

初助師匠

「座布団」のレビューでも書きましたが、このシリーズは初助の物語です。あとがきに初助の人気ぶりについて書かれていましたが、そらそうだよと。多くを語らず、要に対して厳しさも優しさも持ち、一途だけれど遊びも粋に。そして去り際は人に見せない。創作物の登場人物らしい格好良さでありながら、時代や業界が今自分が生きる世界とは異なるため、ひょっとしたらこんな人もいたかも知れないと思わせる絶妙な具合です。
「座布…

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座布団 小説

剛しいら  山田ユギ 

花扇とあわせて

神レビュー揃いで気が引けるのですが…
この絶賛の嵐、自分も相当気負って読み始めまして、それが良くなかったのかもしれない。ただ花扇はセットで読むべき!

収録されているお話では「座布団」が1番好きです。落ちの要の行為と葬儀のギャップ、軽妙でかなりワクワクできる入りでした。ただ要の魅力のピークがここで…初助師匠がカッコ良すぎるのでどうにも要に惹かれにくく、心を掴まれることがなかった。この作品は要…

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顔のない男 小説

剛しいら  北畠あけ乃 

引き込まれました

俳優を題材にしたBL作品は色々あると思うんですが、これはなかなか面白かったです。三冊通してのレビューです。

子役からやっている大物俳優の飛滝と、顔が少しばかり良いけれど中々芽の出ない三年目俳優の篁音彦。ある映画で飛滝の弟役として出演するために実際に兄弟として暮らすことが条件になっていた。
音彦はチャンスだと思うものの、当初はやってられないと思いつつ、、、。
実際に飛滝と暮らすうちに飛滝の…

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花扇 小説

剛しいら  山田ユギ 

圧巻の表題作

流石表題作となった「花扇」は圧巻でした。前巻から紡がれた謎めいた部分の多い初助師匠の生涯のパズルのピースがこれで埋まったという納得感のある話でした。

 
 名落語家の初助師匠の知らざれる壮絶な生い立ちと最初で最後の愛が描かれていました。昭和の戦後の激動の中を生きた初助師匠ならではの凄まじい生き様でした。
その後の芸の道以外は浮き草のように後腐れなく生きる初助師匠の礎になった出来事の数々に…

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おもちゃの王国 小説

剛しいら  緋色れーいち 

地味な題名 昭和の香漂う名作

剛しいら先生は、作品ごとに文章表現を変えるので、作品ごとにアタリハズレがある。
この作品は、地味な題名、中身も地味だけど、心情描写が上手でよかった。
「花扇」のように、心の機微の描写が上手で、世界観に浸れます。

2012年発刊。電子版には、あとがきなし、挿絵あり。
・・剛シイラ先生は、あとがきが面白いのに残念。
特許取得の零細工場経営者と買収屋

たかがおもちゃ、なのに、二人と…

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教授の華やかな悦び 小説

剛しいら  華門 

面白かったー

「教授の密かな愉しみ」の続きです。
チャプターが[鞭][鎖][革]となってます。うわぁ、どれもSM連想させるキーワードでわくわく。

前回のラストとほぼ同じ文章から始まる今作。
あれ?デジャブ?と思っちゃうくらい同じなのですが、振り返り的な優しい仕様と思う事にします。
前回、SMパーティーに繰り出した、[マスター]教授と[ペット]天根と[奴隷]青砥。あのパーティーの詳細を知りたい!と思っ…

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教授の密かな愉しみ 小説

剛しいら  華門 

みんな誰かに影響受けてるんだな

こういうお話大好きなようでめちゃ早く読み進めてしまった。
設定は現代だけど、住まいがクラッシックな洋館なので趣きがあってSM世界観がグレードアップします。
冴えないもっさり大学生が誰もが振り向く魅惑的な美青年に。
シンデレラストーリーじゃないか。
王子様に見出されて開花する。
ただ王子様はドSですけども。

愛玩目的の「ペット」、姿形を見て使用して楽しむ「家具」、痛めつけ苦痛を与えた…

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身代わり王子の純愛 小説

剛しいら  周防佑未 

出番のほとんどない脇役に興味津々

2008年刊。
攻めは声帯模写芸人、受けは王子の影武者にと無理矢理連れて来られた身分の低い少年という組み合わせ、架空の東南アジアの小国ガライ王国が舞台といったちょっと珍しい設定だ。
どんな話なのか展開が予測できなかったが、結構面白かった。

全く面識のない異国の者同士の引き合わせの中でも、広夢が面倒見が良く機転が利くのと、ヒカルが健気な性格で学はなくとも人の感情に聡いのが分かる。
ただ、…

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猫を愛でる犬 小説

剛しいら  東野海 

犬派も猫派も

やっぱり剛しいら先生作品は面白い。読みやすいし。
本作は、2011年作品。
大きな枠組みで言えば「攻め攻め攻防的ケンカップル」的な。
でもそれだけじゃない。
何とも微妙な恋の揺れ、やら。流され、やら。快楽、やら。
そして勿論、タイトルにもある通りのペットとの関係性。
もろもろあるんですよ。そこがやっぱり面白い。

大手飲食チェーン経営の3代目で専務の、薬師寺東陽。
と。
現社長…

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時のない男 顔のない男3 小説

剛しいら  北畠あけ乃 

受けの成長が足りず終われない感

シリーズ三作目で二話構成。最初の話は同業で付き合う面倒臭さ全開で、音彦が飛滝の才能に嫉妬したり悩んだりとぐるぐるしている。ちょっと売れて自尊心の高まりも見えるため、今までより複雑化し、あまり読んでいて楽しいとは思えなかった。

恋人としての付き合いが安定し、慣れが生む傲慢さはある種リアルだが気分良くは読めない。音彦はその点を自覚しながらも感情制御が下手になっていて、飛滝の相手としては物足りない…

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