高遠琉加さんのレビュー一覧

さよならのない国で 小説

高遠琉加  葛西リカコ 

お久しぶりの新刊!

Charaレーベル創刊20周年を記念して発行された高遠琉加先生のお久しぶりの新刊にして初のファンタジーものです。
内容はボリュームたっぷりの2段組で文庫本2冊分だとか。時間に余裕のあるときに読むのをお勧めします。

お話の舞台は『死者に会えるホテル』。
ピアノ講師の春希と、春希に想いを寄せる同居人の康。しかし春希は、今は亡き恩師であり康の叔父でもある月彦への想いに囚われていた。
そんな彼…

5

ホテル・ラヴィアンローズ 小説

高遠琉加  北上れん 

染みる作品

みっつのお話しが入っています。

◆青◆
──青い。
読み終わって、思わずそうつぶやいてしまうほど、タイトル通りのお話。
少しずつ大人に近づく高校生。
けれど少年の心をまだ持ち続ける彼らの逃避行。
このまま、ずっと──なんて無理なことは分かってる。
いつか終わりがくることも。まだあどけない彼らの精一杯の背伸びが描かれています。
胸がきゅっと切なくなる。
滝口が守ろうとしたものは…

3

葛城副編集長の最後の賭け 小説

高遠琉加  高永ひなこ 

可憐な健気受け

「成澤准教授の最後の恋」のスピンオフ。元の作品は読んでないけど、これ単体でOKでした。

地元の名家を飛び出して、編集長をしている葛城夏彦、なっちゃん。もっさり風味ながら素材が良いのでなにやら貴公子の臭いが。
一方、実家で使用人をつとめてきた諒。かわいくて純情ながら、使用人として自分の感情は表に出さず静かに暮らしている。健気受けくんが可憐で可愛い。
これまでのいきさつや事件、子供の頃からの…

0

ホテル・ラヴィアンローズ 小説

高遠琉加  北上れん 

夏休みの逃避行

東京の外れにあるレトロなホテルを題材したオムニバス小説です。
3作品とも、全部すごくよかった!

「ホテル・ラヴィアンローズ 青」
逃避行もの、それも学生のものに弱いです…。全部捨ててっていう開放感と、終わりもつねに予感している悲壮感が混ざったせつない感じが堪らないというか。
家を出る、先生から逃げる、大人になれば簡単なことが、この時はどうしても出来なくて、だから逃げるという策をとるし…

4

好きで好きで好きで 小説

高遠琉加  佐々成美 

両視点が読める前後編

受け視点・攻め視点からなる前後編です。

5年前に振られた相手に再会し、今でも好きだけど相手にはもう恋人が居て2度目の失恋…というせつない設定。
お話の幅は広くなくてさらっと読めます。
それが両視点で描かれており、うまくまとまってます。

だた、あまりにも攻めの堂島のキャラクターが好きになれず、読んでいて複雑でした。現在の恋人・由紀子さんも「心から好き」というわけでなく、けれど5年前に…

4

天国が落ちてくる 1 小説

高遠琉加  祭河ななを 

音楽を通じて貰える暖かさ

丁寧に書かれた暖かいお話です。

傲慢で我侭なプロのロックシンガーと、控えめだけど芯の強い音楽雑誌の編集者。2人は最悪な形で出会い、次第に仲良くなり、仕事仲間でも普通の友人でもない2人だけの絆を強めていきます。

ただ、恋愛モノとして、カップリングとしての萌えはなかったかなぁ。
互いが大事で居なくてはならない存在になっていくのは読んでいて分かるのですが、何故恋愛になったのかちょっと納得で…

2

成澤准教授の最後の恋 小説

高遠琉加  高永ひなこ 

攻めの恋

フランス文学准教授の成澤は、友人の葛城が副編集長を務める出版社で新米編集者の蒼井と出合う。
その時は何とも思っていなかったが、後日悪天候の中、非常階段から身を乗り出している蒼井を咄嗟に自殺だと勘違いして助けようとするが・・、

二度目の偶然の出会いから、成澤は蒼井に興味を持つようになり、やがて段々と周りが見えないくらい蒼井に惹かれていきます。


実はこの本、ちょっと衝撃的でした。

2

ラブレター 神様も知らない(3) 小説

高遠琉加  高階佑 

歯がゆい気持ち

※ネタバレ含みますし、割りと辛辣な感想を書いているので、読後に読んで頂けると幸いです※


この作品、レビューしようかどうか迷いました。
と言うのも、作品の完成度としては凄く高いです。流石、高遠先生というか。
ですが、どうしても萌えられなかったし、感情移入も出来なかったんです・・
高遠先生のシリーズで傑作物と聞いていたので、正直凄く悔しかったし、時間を置いてからもう一度読み直してみたり…

5

唇にキス 舌の上に愛 ~愛と混乱のレストラン 3~ 小説

高遠琉加  麻生海 

心に染み渡る食事

理人も修司も叶も、『ル・ジャルダン・デ・レーヴ』も『ヤガミ』も『ゴルド』も一気に激変に晒されたクライマックス。
フレンチ・レストランの老舗として君臨するゴルドへの執着で凍っていた心が溶けてようやく前向きになったと同時に、自身の感情の機微にてんで疎かった理人にも大きな変化が。

一冊目から待ちわびていたシーンがついに出てきて、美味しそうに食事をしなかった理人が、じっくりと作った相手を思い浮かべ…

3

美女と野獣と紳士 ~愛と混乱のレストラン 2~ 小説

高遠琉加  麻生海 

俺様シェフが恋に落ちた瞬間

一冊目はレストラン再建し始めの仕事描写がっつりな内容だったが、二冊目からは修司と理人の心情にじっくりと浸る事ができる。
タイトルの『美女と野獣と紳士』について、作者の高遠さんは美女=理人ではないと明言されているが、私はどうしてもサラではなく理人を当てはめたくなる(笑)。

ところでこの小説は時折キャラクターの視点が変わっている場面がある。
一人称、三人称とかの視点が定まっていない小説って作…

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