高遠琉加さんのレビュー一覧

さよならのない国で 小説

高遠琉加  葛西リカコ 

本を読みながらにして映画を見ているよう

文句なしの神作です。生きるって何か、家族って?愛って?とたくさんのことをこの本は投げ掛けてくれます。

レビューが既にたくさんついているので私は既読者向けにこの思いをまき散らしたい!

月彦さんは心が凪いで全幅の信頼を置ける相手だったけど、康は春希にとってまさに太陽だったんですね。日向に連れ出してくれる人。(ここら辺ツリーハウスの描写からもよく分かります)

月彦を失って自分の殻に閉…

7

ここは限界ハウス 小説

高遠琉加  三尾じゅん太 

底辺の人々の幸せな話

ブラックな会社で精神をすり減らして働いていた羽瀬に、借金の督促状が届く。親友だと思っていた桐谷に騙され保証人になっていたためだったが、羽瀬は親友の裏切りにショックを受け、気付くと電車に飛び込もうとしていた。
神薙に助けられ、彼がやっているシェアハウスに連れていかれ。。。

羽瀬のお人好し過ぎさに疑問を持ちました。なぜ借金を肩代わりさせられて、なお騙されたことばかりに落ち込むのかとか。でも、彼…

1

狼と狐の夜 小説

高遠琉加  ヨネダコウ 

萌えより情

ゴリゴリのヤクザものだと思い込んでいたせいで、読後感はハードボイルドならぬ半熟玉子かなぁ…
まず、主人公の2人がヤクザではない。
ヤクザ絡みの事件、というか奇妙な依頼に巻き込まれて命の危険まであるわけだけど、攻めの桐島がなんとも情深い男で。
別に正義漢というわけじゃない。それでも弱った人を放っておけない、一度関わったら決して見捨てない、苦しみを一緒に背負ってくれる、そんな事を自然にする男。

0

壁の中の嘘と秘密 小説

高遠琉加  小椋ムク 

閉塞感な壁の中で生きる若者達

瑛琳学院大学付属高等学校。
そこは、東京の山奥ある高い城壁に囲まれた全寮制の名門男子校。
陸の孤島とも呼ばれている学生寮が舞台です。

視点は9.5割攻め視点。
ほんの少しだけ受け視点も入ります。
しょっちゅう女の子と遊んでいるような、政治家の息子で遊び人の攻め・香司が主人公。
ある日の夜、合コンで引っ掛けた他校の女の子を寮内にひっそりとある屋根裏部屋に連れ込むと、そこには先客が居て…

0

溺れる戀 小説

高遠琉加  今市子 

名家の大人しいお坊ちゃん、恋心に揺れて溺れる

2008年発表の、高遠琉加先生による時代物BL。

時は関東大震災後の大正〜昭和初期あたり。
主人公は上流階級のお坊ちゃま。銀行頭取の三男・成實祥彦(なるみ よしひこ)。
倫敦への50日間の豪華客船での船旅を舞台に、忘れられない学生時代の恋と、名家に生まれ「個」の自由のない自らの境遇、そして首飾りの盗難事件というちょっとしたサスペンスも盛り込まれています。

この成實は大人しいお坊ちゃ…

0

観賞用愛人 小説

高遠琉加  北畠あけ乃 

欲情を知らぬ男のゲーム

高遠琉加先生の2006年発表作品。
タイトルの「観賞用愛人」から見目麗しい系が登場するお話かと思いきや…
実は「監禁もの」なのです…!

女にも馬鹿騒ぎにも飽き飽きしている今どきの大学生・瑛(えい)。
ある晩行きつけのバーで場違いな大人の男性と出会う。
彼・音無悠一は大学の植物学の助教授だが同時に老舗宝飾ブランドの跡取り。
いつも冷静で何事にも心を動かさない悠一に興味を持ち、何かと挑…

1

さよならのない国で 小説

高遠琉加  葛西リカコ 

情景や音楽が浮かぶ繊細な作品

物語を想像させるタイトルに惹きつけられ、挿画と装丁の美しさに見惚れ、物語の儚い美しさにため息が出る。
それは、どこか高い山の上にあると言う。
都市伝説のように語られる「天国ホテル」
そのホテルでは死者と再会し、共に暮らす事が出来る。

高遠先生の余情的な文章と繊細な表現で、哀愁や儚さ、物語全体を包む幻想的で夢を見ているような雰囲気に次第に飲み込まれていく。
読みながら、あまりの情景や心…

6

さよならのない国で 小説

高遠琉加  葛西リカコ 

終始ホラーチック

怖い話、不思議な話を好きな方にはお勧めです。生と死の間のような世界の「天国ホテル」。あらすじではどこかロマンチックな話かと思ってましたが、ほぼホラーです。ホテルにいる人とか雰囲気がとにかく不気味で素敵。「シャイニング」みたいなホテルて…恐怖しかないでしょ。

主人公の受け攻めだけじゃなくエリート風サラリーマン、訳ありそうな母娘連れなど他の登場人物の運命も気になって気になって…BLというより一般…

4

さよならのない国で 小説

高遠琉加  葛西リカコ 

生きる

2015年単行本で出されたものの文庫化。単行本の方を読んでいないので詳細わかりませんが、加筆されたそうです。ハラハラ引き込まれて、いい話だなと思いますが、話の筋として驚きはなかったので萌2にしました。本編380P弱+あとがき。ラブなお話は少ないですが、ダークよりなファンタジーお好きな方でしたら是非。

共に暮らしていた月彦を失って5年。彼の住んでいた家に、月彦の甥である康(こう)と暮らし、ピア…

4

さよならのない国で 小説

高遠琉加  葛西リカコ 

さよならのない国は天国か?それとも……

めちゃくちゃ泣いた(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
死者に会える『天国ホテル』を舞台にしたファンタジー作品です。


ピアノ講師の春希は、慕っていた先生・冬彦を病気で亡くしています。
冬彦の甥・康と同居している春希は、康といる事で心を動かされる自分に戸惑うように。
そんなある日、死者に会えるという都市伝説のような『天国ホテル』の噂を耳にしーー…

冬彦に恋をしていた春…

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