金ひかるさんのレビュー一覧

セーフティ・ゲーム 小説

砂原糖子  金ひかる 

臆病とずるさは同義語か

うわー!何だ、この面白さ!!
愉快痛快の面白さじゃなくて、主人公達の性格からくるこの物語の心理戦の面白さとでもいいましょうか。
臆病なのかヘタレなのか、はたまたずるさなのか、そんなものが混然一体となって、素直じゃねぇなっwwって、そういう愉快さなんですよ。
ちょっぴり痛いけど、酷い痛さでもない。程良いピリっとしたものなのでそれが物語に味を与えています。

製薬会社のMRの香島は、個人開業…

4

彼の孤独を、飼い慣らせ。 小説

神奈木智  金ひかる 

めぐりめぐって

またまた奈央&室生カップル。
今回は奈央くんの過去に関わる詠弥と、室生の元妻夏美さん龍哉親子。
こんなんが出てきちゃ、奈央くんの胃も痛くなるってもんです。
もちろん、それだけで痛くなってるわけではないですよ。
前回奈央くんを拉致った暮林の言葉がひっかかっているのです。

今回は色んな人が出張って来たおかげで、奈央くんちょっと卑屈気味。
でも仕方ないかなぁ、みんなお互いを思いやっての事…

1

君が、ひとりで泣く夜に。 小説

神奈木智  金ひかる 

ほのぼのなのに、ハードボイルド

シリーズ3作目。
とおても病弱な一ノ瀬彗くん。なんと前作主役だった響の双子のお兄さん。
つまりヤクザの息子ですね。もちろん体が弱い為、ヤクザ稼業なんてしてません。
野獣である響が、唯一護ってやりたいと思っている(兄弟としてですよ)存在でしたが。
その彗くんの想い人が少年課刑事の橘さん。暴力を憎み、未成年の世話ばかり焼いていて上からも煙たがられるほどです。

このカップル、一昔前の清純派…

2

おまえは、愛を食う獣。 小説

神奈木智  金ひかる 

ややこしくてめんどくさいカプ

シリーズ2作目。
モグリのお医者さんと、野獣としか言いようの無い一ノ瀬組次期二代目の年下攻めカプ。

前回主役の一人だった室生の友人でもある「優先生」。室生のつてで医師免許を持たぬまま、モグリのお医者さんしてます。そこにお手伝い行ってる室生の恋人奈央くん。
室生がお目付け役してる「響」と、一卵性双生児の彗くん。彗くんの思い人で刑事の立花さん。相変わらずの面子がそろっております。

今ま…

1

やさしく殺して、僕の心を。 小説

神奈木智  金ひかる 

三流ジゴロにほだされて

三流ジゴロって言葉が良く出てくる。
しかし、この話でいえば「ペット」or「かわいいヒモ」ではなかりけり?

主人公である奈央くん。未成年で親無し家無し、顔がとりえの男の子。
別れ話がこじれて刺されてまさしく絶体絶命。
そこにあらわれたのが室生龍壱。一ノ瀬組ヤクザで、次期跡目候補のお目付け役もしている。
「助けろよ」
死にかけてるのに命令口調。すごいよ、奈央ちゃん。
そいでもって道に…

2

アロー 小説

一穂ミチ  金ひかる 

脇キャラクターに萌えてしまっ……。

作家買い!な一穂さん、毎回わくわくなんですが、今回の新刊は登場人物というか主役カップルのふたりがどっちがどっちかよく分からなくなってしまい、うまく感情移入できなくて残念でした。

なぜかめちゃくちゃキャラだちしている脇キャラクター金子くんがすごくツボに入ったので、萌えはそこから(笑)

ただ、金子に牛乳差し入れにいくところでいろんな意図に気づき心が近づく描写はさらりとしていながらさすが一穂さん、で…

3

アロー 小説

一穂ミチ  金ひかる 

まっすぐに、飛んでいく

この、「アロー」というタイトル。
日本語で「矢」。
カタカナで「アロー」だからまだ何とか格好付いているけど、実に素っ気ない。

主人公の葛西草は「来るもの拒まず去る者追わず」誰とも距離を置いて、時間に取り残されたような通りの裏のバー「底」を切り盛りしている。
そんな草の店にある日、同じ通りで古着屋をやっている中学の同級生だった金子が、やはり中学の同級生だった湯浅麦を連れてきます。
行く…

6

ruin -緑の日々- 小説

六青みつみ  金ひかる 

なんて穏やかな日々!良かったね。

前作がすごく切なかっただけに今作も心配でしたが、ルドワイヤの自然やそこで生きる人々、ガルドランが壊れたカレスを癒していくのです。
幼児退行して先が見えなくても、ガルドランはこのままでもいいとさえ思ってくれています。

もーっ!こんな男、どこにもいないよ!
ガーディ、いい!
彼の大きなカレスを包み込む愛情は、そのままこの物語をも包み込んでいるようです。

しかし、彼も普通の熱い男の一面…

4

ruin -傷- 小説

六青みつみ  金ひかる 

久しぶりにこんなにハマッた。

切ない、なんとも切ない。
でも人生ってこうだよね。

自分の大切な人のために、身も心も削って生きている。
誰にも気付いてもらえないけど。
本当は気付いて欲しい。
少しサインも出している。
気付いて欲しい人に気付かれず、自分を大きく包むその存在にまた自分も気付かない。

カレルが切なくて、壊れていく姿もまたきつい。
本当に救いといったらガルドランだけだ。

もーお!バカカレル…

8

蠱蟲の虜~螺旋への回帰~ 小説

六青みつみ  金ひかる 

前作よりだいぶ落ち着いた感がありました。

前作でとても勢いがあり、山あり谷ありでとてもハードな内容だっただけに、今回はその勢いが感じられませんでした。
しかし、受けが今回もハードな展開に巻き込まれることにはかわりないのですが。
今回はファンタジー要素満載で、ファンタジーが好きな方にはいいと思いますが、私はファンタジーは圏外なので少し残念でした。
前作はこういう世界観でも勢いがあり、どんどん引き込まれあっという間に読み終えてしまったの…

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