金ひかるさんのレビュー一覧

やさしく殺して、僕の心を。 小説

神奈木智  金ひかる 

みんなちょっとずつ足りない

 神崎菜央は、二歳で両親と死別し、その後は施設で生活をしてきた。
 そんな菜央は、住むところを確保するために、自分の顔だけを武器にして、好きでもない相手の家を転々としていた。
 ところが、その相手との別れ話がこじれ、菜央は殺されかけてしまう。
 そんなピンチを助けてくれたのは、エリート然とした男で、数ヶ月後、今度は本当に刺された菜央を再び助けてくれたのは、同じ男だった。
 意識が遠のく間際…

5

捨てていってくれ 小説

高遠琉加  金ひかる 

年下攻め好きには是非!!

これはもう、高遠さんのお話の中で一番好きかもしれません。
何度でも読み返したくなります。

「犬と小説家と妄想癖」のスピンオフですが、
未読でも問題はないです。
(私は一応読みましたが)

水梨がワンコといえども、ただ闇雲に沖屋を慕っているわけでもなく、
これが結構しっかりしてて好感が持てました。
やたら「好き好き好き!!!」みたいなのよりツボります。

体は許してくれても、…

5

でも、しょうがない 小説

榊花月  金ひかる 

のほほん学園もの

榊花月さんにしては珍しい王道ちっくな学園ものでした。全寮制の、山奥の男子校。しかも生徒会長がいて寮長がいて、というベタベタな設定あり。
主人公なそこに3ヶ月間限定で中途入学することになる。で、小学生時代に犬猿の仲だった攻めと再会する。かつて狂犬のようだった攻めは、メガネをかけた優等生な寮長になっていた。

随所に面白いところはあったんですが、全体的には物足りなかったかなァという印象でした。
キャラ…

1

法医学教室の美女と野獣 小説

うえだ真由  金ひかる 

うえださんのお仕事もの(?)

ホントにひさびさ~の新刊です。

うえださんのお仕事ものは、仕事描写が多くてもなぜか好きです。それどころかこの作品に至っては、『BLじゃなくてもいい』(『こんなのBLじゃねえよ!』ではありませんので)と思うくらい、ラブ抜きでも面白かったです。

うえださんらしく、事件ものでも淡々とストーリーは進んで行きます。ただ、作中の『事件』(とはいえ、法医学者から見た形ですから、傍観者的ですが)にまつ…

1

ぼくの履歴書(表題作 ゴミ置き場から愛をこめて) 小説

白銀みるく  金ひかる 

深い。

これは、表紙やあらすじのほのぼのした雰囲気とは違って、かなり『痛さ』や『重さ』を含んだ作品です。『センシティブ・ラブストーリー』ってつもりで読むと、ノックアウトされかねません。
竜也(攻)の一人称で、語り口がちょっとコメディテイストなので、そのぶん和らいではいますが、容赦なくグロい描写もあります。昴(受)自身が、かなりひどい虐待を受けて来ていますしね。

私はいわゆる『痛い作品』は苦手で、そ…

0

スリーピング・クール・ビューティ 小説

鳥谷しず  金ひかる 

相性の問題です(私との)。

新人さんとは思えないほどの力量です。それは素直に感服します。でも、それと(私の個人的な)作品の評価は別なんです。

なによりも、ディアプラスにあるまじきHの濃さ(プレイの種類も描写の仕方も)に愕然としました。まったく余計なお世話なんですが、なぜディアプラスに投稿したんですか?とお訊きしたいわ・・・

あ、私は濃いH描写そのものがダメなわけではありません(何よりもHを求めるというタイプではな…

3

籠の鳥はいつも自由 小説

松前侑里  金ひかる 

もう最高です!

『年の差もの』で、『先生と生徒もの』という、私にとっては黄金の組み合わせです。

とにかくキャラクターがよかったんですよね。美耀(受)も直人(攻)も大好きです。

美耀は、少なくとも見える部分は『健気』というタイプではありませんが、(健気な受が大好きな私ですが)それでもよかったんです。美耀の強気なところ、反面すごく弱いところ、そして直人に惹かれて行く気持ち(そういう自分への困惑・動揺も含め…

5

恋する記憶と甘い棘 小説

黒崎あつし  金ひかる 

自分であって自分でない

記憶喪失ものは好きなので楽しみに読んでみたものの・・・
読後感がこれまたストンと心の中に落ちてくれませんでした。
読み応えはこれ以上ない!ってくらいあるんだけど。
なんだかモヤモヤ感でいっぱいです。

記憶を失った期間の自分と今の自分への違和感に嫉妬し苦しみ悩む涼
行き着いた先は、愛する功一を幸せにしてあげたいということ。

読み手の受け取り肩次第なのかもしれませんが
一見ハッピ…

2

夏の贖罪(表題作 1989リベンジ) 小説

うえだ真由  金ひかる 

10年の別離の果て・・・

うえださんの中では異色作、でしょうか。もともとデビュー前の投稿作だったそうです。

でもこれ、ものすごく好きなんです。私の中で、うえださんの作品中1・2を争うインパクトでした。

ひとことで言うと、幸せな家族を壊された京介(攻)の復讐譚なんですが、復讐される側にいる馨(受・本来の京介の復讐の対象は馨の父なんです)がただ翻弄されるだけじゃないのがよかったんです。というより、京介と関わった…

6

ロマンス作家は騙される 作家・羽根くんシリーズ 小説

榎田尤利  金ひかる 

やっぱり好きです、わけもなく。

作家・羽根くんシリー2作目。『ハードボイルドに触れるな』の続編です。

ホント好きなんですよ、このシリーズ。キャラクターが好みなんでしょうね。逆に、キャラクターが好きになれないとダメなんだろうと思います。

では以下、激しくネタバレしますのでご注意を!

さて、前巻ラストでは、自分に思いを寄せる2人のいい男よりも『(自分にとって大事なのは)小説に決まってるだろ!』と言いきった羽根くん(…

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