umeair
分かりやすく進展しない関係性だからこそ、長編で描くには難しそうなのに、5巻まで続いてもそれぞれの巻でしっかり新しい萌えを提供してくれるシリーズなのがすごいなぁと。今まで嫉妬なんてちょっとしても何でもない風を装ってきた吾妻が、この巻ではもう隠さなくなり。重たいところ、面倒臭いところも吾妻のことなら久慈はありのまま受け入れてくれる、と残っていた不安が消え去ったからですね。そして、吾妻を突然宿に連れて…
名前の付かない関係ってもどかしく感じることも多いのですが、この2人に関してはまったくそんな風に感じないので改めて稀有な作品だなぁと感じました。元同僚だから友人のような気安さもあれば、家族のような遠慮のなさもあり、もちろん、恋人のように愛おしさやときめきを感じることもあり。すべてが共存している居心地の良い今の関係にあえて名前など付けなくても、何でもない日に一緒に食卓を囲んだり、落ち込んだ時にそっと…
とうとう久慈のこの素敵なおうちともお別れかぁ、と私も寂しく思いました。傍から見ている分には美しくても、実際に住むとなると家も庭も綺麗に維持するのが大変だったり、お金がかかったり、時代に合わない住みにくさがあったり、困難も多い。田舎へのダム建設のように久慈兄が悪者のように描かれるのではなく、彼は彼なりに反面教師だった父親とは異なる家族に優しい父として暖かい家を建てたいのだ、と久慈が弁護するシーンが…
メイン2人の大人の魅力がたっぷり詰まった恋愛面が醍醐味なのはもちろん、久慈の古い家での飾らない日本らしい生活だったり、2人が父親や母親との関係性を見つめ直したりする現実的な側面の描き方もとても好きだなぁと感じました。久慈が劣等感を覚えていた兄だけど、彼には彼の苦悩があって。最後まで父親に部屋に入れてもらえなかったことを苦々しく思う彼と、幼少期は冷遇されているように感じていたけれど後に翻訳のノウハ…
波真田先生の振り幅に改めて脱帽しました。ちょっとドライで大人な雰囲気満載の作品なのですが、時折激しい情が飛び交って、その落差にドキドキさせられてしまいます。キャラ作りも秀逸でした。攻めの久慈は常に飄々としていて何事にも一定の距離を置き、冷たそうにも見えるのだけど、最初に迫ったのは彼の方で、再会後も吾妻と関係を持とうとする意外な熱量にギャップ萌え。MRに疲れきって無職となった吾妻も、鬱になりかけた…