東雲月虹
2巻まではどこか一線を引いて弥生に接していた踊場。でも、この3巻では自分の弥生への気持ちも完全に認め、それでも自分から前には踏み出せないのだけれど、弥生の言葉に背中を押されてとうとう吹っ切れたみたいですね。皆が皆、世間の目を気にせず堂々と付き合わなければならないわけじゃない。周りに知られないようこっそり付き合うのもありじゃないかという弥生の台詞が、シンプルなんだけどこの歳で言えるのはすごいなぁと…
踊場が弥生からの好意をちゃんと認識していながら、結構振り回していましたね。それは別に安心して胡座をかいているわけではなくて、年齢差やノンケへの配慮だったり、自分が傷付かないようにするための予防線でもあったりするんでしょうけど。でも、弥生にとっては狡い大人のやり口には変わりなくて。踊場の態度のせいで喧嘩したりもするけれど、お互い週1の逢瀬を楽しみにしているのは同じで、顔を合わせれば自然と楽しそうな…
受けの踊場が黒髪眼鏡という真面目そうな容姿なんですが、物語が進むにつれて色気の出てくるようなキャラでとても素敵でした。意外と口調が男っぽいところもいいですね。波真田先生の作品は『おはおや』シリーズしか読んだことがなかったので、こういう大人の余裕がある受けは初めてで、新たな魅力を知れた気分です。年下の攻め・弥生を無自覚に惹き付ける踊場、ゲイではないのについつい彼を目で追ってしまう弥生という関係性が…
今まで出会った当初を除いて全体的に2人がそんなに喧嘩をしているようなイメージはなかったのですが、こちらではお互いの虫の居所がちょっと悪い日など、穏やかな日々だけではなくマイナスな感情の日だってある、ということが一番リアルに描かれていたような気がします。また、同棲を始めた当初の2人がどう振る舞っていいか戸惑いながら、いつも通りの日々を取り戻していく過程も描かれていました。なるほど、こんな風に伊介は…