れもんれもん
千年の真っ直ぐだけどどこかちょっとズレているキャラクターが面白く、繊細でシリアスなシーンも多いのですが、雰囲気がしっとりし過ぎず常に柔らかかった印象でした。事故で小指を怪我し、大好きだったピアノが楽譜通りに弾けなくなった野杁。彼の絶望や虚無感は、きっと他人に推し量れる程度のものではない。
でも、世界から隔絶されてしまわずに、周りに目を向ける敏感さを持ち続けていれば、千年との出会いのように…
◆同性の恋人と同棲して6年が経ちました(表題作)
とにかく2人のやりとりが穏やかで、適度に甘くて、可愛らしいんです。丈から迫られて睦人が思わずめんどくさい、と返してしまうところから始まるのもリアル。本当に面倒なんじゃなくて、きっと長年の付き合いによる甘えが生じて、言葉に気を遣わなくなった結果ですよね。それに対して拗ねてみせる丈も、可愛げがあったり。結婚を期待される歳になって見合いを断れずつい行…