牧さんのレビュー一覧

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

シリーズで毎回泣かされてる気がする

【碧のかたみ】【彩雲の城】と同じラバウルが舞台です。
兄弟山盛り貧乏畳屋の息子・偵察員のカズイは、一旗揚げて内地で出世をするためラバウルに赴任したけど、そこでペアになったお飾り貴族様の搭乗員・千歳が、まさかの高所恐怖症でとんでもないチキンだった、あぁどうしよう、な話です。

腕は確かで凄まじく強いけど、搭乗の度にげーげー嘔吐してるヘタレ健気受と、俺が内地の家族を守るんだ! という意識が薄くて…

5

碧のかたみ 小説

尾上与一   

最後までお前とペアだ

なんて美しい文章。戦争という重いテーマとblをここまでしっくりマッチさせるとは、さすが尾上さん。さすがこのblがやばい第二位を取った作品。

まあ、こんなに綺麗なはず無くて、もっとどろどろでぐちゃぐちゃな男たちがいたはずなんだけど、そこはいいです。飛行機を4度も撃墜されてそれでも生きてるというのもありえんと思うんだけど、嫌嫌そこも生きていてくれただけで良いです。六郎と恒が生きていてくれ…

4

天球儀の海 小説

尾上与一   

blと侮ることなかれ

2013年このblがやばい第3位。もう泣ける泣ける。

資紀が、希を助けるというただ一つの目的のために、父をだまし、同級生の新多を利用する。そして、希自身にもつらく当たるのは、見ていてつらかった。本当は優しいはずの坊ちゃんにつらく当たられながら、それでも坊ちゃんの求めに応じて毎夜のように身体をつなぐ希が健気だった。

やはり、戦争はつらい。死にたくない、生きていたいと、そう主張…

3

碧のかたみ 小説

尾上与一   

碧々とした空と海と、そして

タイトル、帯、そして表紙の二人の全開の笑顔を見ただけで胸にこみ上げてくるものがあります。
碧の中…空で死ぬか、海で死ぬか。
戦時下、日本を離れ常夏の最前線でペアとして戦う二人。航空機月光の沈没にマラリア…何度も生死の境をさ迷いながら、ラパウルでの穏やかな一時の日常も描かれる。戦いの切迫感と星空や小さな線香花火の元で穏やかに笑い合う二人が繰り返されるのは、まるで航空機の上と下、何十度もの気温差と…

3

彩雲の城 小説

尾上与一   

「彩雲の中に住もう」

尾上先生の戦争シリーズ第三弾。「碧のかたみ」に次ぎ、南国の最前線ラバウルで戦う航空隊のペア二人の話です。
今回も巧みで美しい文体と愛しいペアのやりとりに魅せられました。
「彩雲の中に住もう」「待ち合わせ場所は靖国の右手の柱」…生きて果たす約束ではなく死後の待ち合わせ場所を決めて、そこで会う約束を交わす。そのやるせなさと二人の確固たる恋心に胸が痺れました。
儚い彗星、未来を信じられないでいる伊…

5

彩雲の城 小説

尾上与一   

帰る場所

「天球儀の海」「碧のかたみ」に続く今作品。話題作だったのでどちらも読みましたが戦争モノは評価に悩みます。日本で戦争が終わってまだたった数十年。未だ世界には戦争している国もある中、こうしたフィクションは不謹慎ではないかという思いがあるからです。

でも戦争モノとは思わず、BLとして読んでみようと思い手に取ってみました。内容は書いてくださっているので感想を。

どうしても感情移入できませんでし…

9

彩雲の城 小説

尾上与一   

じっくり読んで欲しいお話です

戦争モノという事で敬遠していましたが皆さんの評価が高いので読んだ作家さんです。

私も天球儀の海から読みましたが、最初は戦時期の独特の雰囲気に慣れず、内容も重めのためなかなか入り込めず苦労しました。が、読み進めるうちにどんどんハマっていき
…気がつけばすっかり作者さんの虜になってしまいました。

碧のかたみは最初からとても楽しんで読めました。
そして今作は本当に発売日を楽しみに待ってい…

3

彩雲の城 小説

尾上与一   

読みでのある物語

『天球義の海』『碧のかたみ』に続く、シリーズ第三弾。
まずは、表紙が素晴らしい。

この作品も、前作と同じくラバウル基地が舞台となる。
六郎をペアにと望んでいた操縦士の谷藤十郎。
彼の前に現れたのは、道具ではなくて工芸品と言われる
美しい高速爆撃機・彗星と、
人を寄せ付けない美しく有能な偵察員・伊魚だった。

それぞれが、共に内地での傷付きから逃げ出すように
死に場所を求めるよ…

10

彩雲の城 小説

尾上与一   

主人公たちの魅力にはまってしまうのです

伊魚は今までにない「静」の子。
養子として、転々と家庭を渡り歩き、
養子先の家族に優しくされながらも、愛情に飢えている。
ようやく得たと思った、愛情は、裏切られ戦地に送られた。
藤十郎は、逆に「社交的」。
どうして 伊魚が 孤立するかがわからない。

さんざん藤十郎を 振り回すが、
振り回しても自分についてきてくれる
藤十郎を 一緒に家に住みたい「家族」
と認定。
此れも呪い…

8

彩雲の城 小説

尾上与一   

家をつくろう

前作『碧のかたみ』と同じラバウル航空隊を舞台に、前作同様、操縦員と偵察員の組み合わせで描かれた本作。
前作と比較するならば、前者が”生への執着”ならば今作は”死への憧れ”
但し決してその姿はネガティブでもなければ絶望でもない。
そして、戦争の時代という死と隣り合わせな一見すれば悲愴な環境と時代を舞台にしながらも、主人公達は生き生きと物語の中で生き抜く。

操縦士と偵察員という関係は前作も…

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