尾上与一さんのレビュー一覧

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

本の構成が違っていたら

キャラ文庫で復刊されている1945シリーズ4冊目。
本ごとにCPが異なります。本作のCPは、3冊目「碧のかたみ」と同様に複座の航空機のペア。操縦士と偵察員ですが、「碧のかたみ」とはだいぶ様相が異なります。
偵察員のカズイは最前線のラバウル基地に配属になり、操縦士である千歳と組むように命令される。だが高所恐怖症で怖がりで脆弱な千歳は、飛行のたびに恐怖に叫び喚き嘔吐を繰り返し、身体が弱すぎて訓練も…

4

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

こわい

1945シリーズ4冊目。空中戦を見たような心地になるお話で、予想の斜め上に受けが可愛かったのですが、キャラとして極萌~というほどではなかったので萌にしました。本編220P弱+受け視点の本編を補足する小編60Pほど+別カプとの小編10P超+小編2編。戦時中の異色の艦爆乗りが気になる方でしたら。

出世を!と意気込んでいたものの、ようやく宛がわれたペアは飛行直後は出すものが何もないのにげえげえ吐い…

1

『プルメリアのころ。』1945シリーズ コミコミスタジオ限定連作SSフェア小冊子「とりのはなし4 鷹居千歳」 グッズ

優雅な鳥のような艦爆乗り

『プルメリアのころ。』コミコミさん特典小冊子のこちら。
本編のような緊迫感は少ない、ほっと息をつき、リラックスして読める内容です。
といっても、カズイが序盤ちょっと暴れてはいるのですが。

千歳への加糧品が不正にくすねられていると知り、くすねた者たちのところを訪れるカズイ。
罵り合い、時には拳をかざしながら品物を取り返した後、顔見知りの通信員から
「フィルムの現像が出来あがった」と声を…

0

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

毛色が異なる雰囲気には惹かれたけれど

新装版として連続刊行されていた1945シリーズ。
戦時下という激動の時代を背景に、時に激しく、時に苦しく、時に切なく、時に愛おしい青年たちの生き様を夢中になって追いかけた数ヶ月でした。
こちらのプリメリアのころ。でひとまず一区切りとのことですが、どのお話も非常に印象深い作品ばかりだったように思います。
同じ時代背景・同じ題材なのだけれど、人生や生き様にかぶりがないというのかな。
人の一生に…

5

セカンドクライ 小説

尾上与一  草間さかえ 

静かだけど温かな物語

作者様の作品を全て読んでいるわけではありませんが、私は今のところ「セカンドクライ」が一番好きです。

作中、大きな事件は特段無いんです。敢えて言うなら、攻めのお兄さんの死。
その一番大きな出来事は既に起こっており、お兄さんの葬儀から話が始まります。
攻めはお兄さんの遺言によって、一人の青年と同居生活をスタートさせます。
”普通の生活”を送るうちに、孤独だった二人の心が少しずつ開かれ、惹か…

1

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

命を乗せ、預かること。”ペア”という言葉の意味を考えさせられる

呼吸を整え、「読むぞ」という気合のようなものを入れてから読むことにしている
「1945シリーズ」。

直近で読んだ「蒼穹のローレライ」が一番深く深く胸に刺さっていたのですが、
またそちらとは違った意味で、この「プルメリアのころ。」も深く、忘れられない作品になりました。
こんな時間までまた読み耽ってしまった…

全く勇敢ではなく、とんでもなく怖がりで、臆病で、軍の中でバカにされまくる

5

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

千歳が愛おしい

1945シリーズ新装版、第一期完結おめでとう御座います。
それぞれの魅力あるシリーズ作品の中でも極まって個性的な千歳にまた会えて嬉しいです。

幾度となく読んでいるのに、彼の生い立ち、育った環境故に負った心の傷とその痛みが今回もなんら変わりなく胸に突き刺さり涙が出てきて止まりません。
カズイへ寄せる千歳の想いが切なく、哀れでもあり、そしてその一途さに胸がいっぱいになって彼に対する愛おしさが…

3

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

魂の片割れのような2人の深い絆と想いに胸が詰まる……

面白い切り口のお話でした。

艦上爆撃機の操縦員なのに超怖がりで、出撃中は泣き叫び、無事帰還すると嘔吐しまくる最弱メンタルの持ち主が主人公。そして、そんなオエオエ男とペアを組み何かと世話を焼く偵察員とのペアBLです。

ダメダメ操縦員と思いきや操縦に関して言えば天才的。素質はないけど才能がある。出撃中はワーワーギャーギャーするけど、操縦テクのすごさは一流です。
最初はこんな奴の後ろに乗れ…

3

『蒼穹のローレライ』1945シリーズコミコミスタジオ限定連作SSフェア「とりのはなし 1」 グッズ

二人の距離が縮まる前

『蒼穹のローレライ』コミコミさん特典小冊子のこちら。

三上視点、二人がラバウル基地で知り合って間もない頃のお話です。
三上が機体を整備するのを、いつも陰からこっそり見ている塁。
そんな塁に気付いて話しかけようとする度、さっと逃げられることを繰り返している三上は、ある策を練ってなんとか塁と話をしようとするのですがー

という内容です。

本音を言うと、心を預けた後の二人のささやかな…

0

蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

刺すような胸の痛み

8月15日、終戦の日。
意図したわけではないのですが、奇しくもこの日にこの一冊を読み切る形となり、悲しみと切なさで胸がいっぱいです。
このレビューもうまく言葉にできないかもしれないのですが、、それでも、素晴らしい作品を読むことができた感謝の気持ちを記しておきたいと思いました。

復刊した「1945シリーズ」、「天球儀の海」そして「碧のかたみ」は既読ですが、一番最初に購入したこの一冊だけはど…

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