尾上与一さんのレビュー一覧

碧のかたみ 小説

尾上与一   

空でも陸でも最高のペア。まさに唯一無二の存在の2人。

ラバウル基地はパプアニューギニア北の方の島にあって、第二次世界大戦時は、南方作戦の一環として日本軍の重要拠点基地の一つとされた場所。そんな場所で出会った、航空隊所属の戦闘機操縦士と偵察員の激動の愛の物語……めちゃくちゃ沁みました!

時代背景やストーリーの設定的に、どこか死と隣り合わせな世界観に胸がヒリつきますが、過酷な状況下だからこそ彼らの間に芽生える想いにグッと惹きつけられました。
偵察…

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碧のかたみ 小説

尾上与一   

命を懸けた青春の思い出

1945シリーズ 復刊 第3弾。
ありがとうございます。

こちらは旧版で拝読していたのですが、第2弾までと同じく書き下ろしが40ページほどありまして、名編ですので旧版既読の方もぜひ。
(把握していないだけで既出の短編でしたら申し訳ありません)

書き下ろしの2編は
『鳥が還る日』・・・『雨のあと』の前日譚。
『青のかたみ』・・・『鳥が還る日』の後日譚。
の2編で、個人的に『青の…

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蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

「聞け。ローレライの声を。」

1945シリーズ、復刻の第1弾。蒼穹のローレライは本当に浅群塁の生きた証そのものだと思います。
ずっと家の名誉のために戦果を挙げて死ぬことだけを目標に生きてきた塁。
そんな塁にとって三上との日々がかけがえのないものとなり、最後は名誉のためにでは無く三上を守るためにあの選択をしたことに三上が気づけた、これだけで救われます。
『月と懐中時計』も文庫版に収録されてたのも嬉しかったです。
生きて欲…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

「海に映さなければ本当の形を知ることができない」

1945シリーズ、復刻の第2弾。
命の恩人資紀の身代わりに、特攻隊として出撃することとなった希。再会しお礼を言う希に対して資紀は冷たく拒絶してきて。でも時折見せる優しさに触れ、その態度の裏にある想いを知った時には……。
天球儀の海、海に希の右手を映すとオリオンとなりそれを辿った先にシリウスがいる。お互いがお互いのシリウスなんですよね。
そして、海に映さなければ坊ちゃんの本当の心を知ることが出…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

モチーフの使い方が秀逸

地元の名家成重家の跡取り息子、資紀(坊ちゃん)と、
天文学者の四男、琴平希(ゆき)。
希は成重家の要請で戸籍上成重の次男となり、ひっそりと屋敷の離れに迎えられる。
ごく幼い頃に坊ちゃんに助けて貰った恩を胸に、彼の代わりに「特攻」の出撃命令を待つために。

シリーズ新装版2作目。
帯や裏表紙に書かれていること以外前情報なく読んだ。



まず驚いたのは、「助けて貰った思い出」のさ…

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『天球儀の海』1945シリーズコミコミスタジオ限定連作SSフェア小冊子「とりのはなし2 琴平希」 グッズ

ずっと自問自答しながら生きていくんだろう

小冊子付きで買いたくてこのシリーズはコミコミスタジオさんで毎回注文する事に決めてます。

文庫本の付録SSですが、コミコミさんのSSってA5サイズです。大きくて読みやすいですが、一緒に保管したい派なのでサイズ揃えて欲しいななんて思ったりします。

さて内容ですが、こちらは本編終了後の資紀視点です。戦後10年と言っているので2人が再会してからさらに2年が経過してますね。
あの時の判断は間違…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

ときに優しさが痛い。

幼い頃、自分を助けてくれた坊ちゃんのためならば、特攻隊の身代わりとして命を差し出せると考えていた希。
しかし、再会した坊ちゃん(資紀)からは冷たい態度を取り続けられて、、、
という始まり。

出逢いから丁寧に描かれており、すぐさまググッとお話に惹き込まれました。

が、度重なる坊ちゃんの希への荒ぶりように、なにかその感情に思惑がある! と分かっていても辛く苦しくて、、、
しかもその荒…

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蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

涙がボタボタ落ちる。

冒頭は戦後18年。
戦時中は航空機の整備員として従事していた三上の元に、当時世話になった男の息子から連絡がくる。
亡くなった父からの預かりものとして、
詫びの言付けと共に渡された封書には一枚の紙が入っていて……



戦時中の話であること、どうやら辛い展開がありそうだということ以外、あまり前情報なく読んだ。
冒頭の紙、書かれた文字を見た三上の反応に、物語の世界へグッと引き込まれた。…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

ロマンティックと戦慄

旧版未読。今回文庫版で再発売されたキッカケで読み始めてます。前回と発売順を変えているのは何故なんだろう?と思いつつ、旧作では第1作目だったらしい今作を読み始めました。(追記:尾上先生のつぶやきによると中古価格が尋常ではない金額に高騰している作品から発売する事にした為とのことでした)

これ一作目に読むのはヘヴィかもしれない。初恋の思い出を胸に身代わり特攻隊を受ける事を決めた主人公 希に対して、…

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初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

本格将棋BLでした。

といっても受けがプロ棋士で攻めがなんでも屋という異業種BLでもあるのですが。

まず、受けの雪の初登場シーンに度肝を抜かれました。これまでの人生で読んできたBL作品の受けの中でも、最も奇っ怪な登場のしかたをするせっちゃんです。

棋士としての二つ名も「後退王子」という奇妙なもので、その由来もまあ、まあまあまあ、キャラ立ちが半端ないですね。きっと、対局ちゅうにひふみんがおもむろに鞄からベビー…

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