佐田三季さんのレビュー一覧

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

愛とは甘いばかりのものではない

まずお話の前半をざっくりとご紹介します。

斉木明史には、知的障害を持つ双子の姉、朋がいた。

双子でありながら、健康、正常に生まれついた明史は彼女に負い目を持ち続けているが、同時に、プロの画家である父、感情的な母からの愛情を一身に受けている朋に複雑な思いを抱いていた。
彼女の持つ優れた画才も、明史には羨望の的であった。

隣家に住む明史の幼馴染である神成静彦も、また天才的な画才…

10

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

ネタバレ注意

執着責め大好きな私としては、佐田さんは作家買いしてしまうほど好きです(・∀・)
今回の攻めである神成はまさにストライク!!!最初読んでる時は「あー…昔は好きだったけど今は憎んでいるのか(´Д` )」となりましたが、ページをめくっていくうちに神成の一途すぎる想いが見えてきます。例えば、後ろから抱きしめて寝ていたのに目が覚めたらいなくなった明史を必死で探し、ニ階に避難して寝ていた明史をまた抱きしめて…

7

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

どう評価すべきか、悩む

佐田さんの作品なので、心がキュウキュウする話まずはないですね。
約450ページの大ボリュームですが、結構すらすら読み終わりました。

話は簡単です。
才能がない受けが絵の才能がある攻めの愛を拒め、知的障害を持つ姉の死の罪悪感、諦めきれない理想(仕事)など、盛り沢山、そして受けはどうやって全てを乗り切れるかって話です。

まず、受けの性格あまり好きじゃありません。むしろ地雷です。
絵が…

1

「青、八号キャンバス」ショコラ文庫「彼は死者の声を聞く」特製ペーパー グッズ

ツンデレ彼氏に

ヤンデレワンコ?

両面印刷で2枚と、オマケペーパーSSとしては、割合長め。
本編中で、斎木が実家で父親から貰ってきた、あの神成の絵が登場するお話。

本編で、かなりな壊れヤンデレキャラを展開していた神成、
このお話からも、斎木に対する異常なほどの執着ぶりが充分伝わってきます。
それでも、まだまだこれくらいなら、かわいげのあるヤンデレワンコ。
斎木もここでは、ちょっと意地っ張りなツ…

0

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

盛りだくさん

文庫にしては、ずっしりとした厚みで、お話もいろいろと重い要素盛りだくさん。

この、渾身の盛り込み度に、読んでいて途中からちょっと引き気味になってしまった。
お話の構造としては、これがあれでこうなったのはこうだったからそうなってもしょうがないし、それがアレしたらこうなって最後にはこうなったのねって、この盛りだくさん具合に納得はいくし、読んでいる時のドキドキハラハラはなかなかな物だけど、最終的…

2

クライ、くらい夜の終わりに 小説

佐田三季  麻生海 

狭い世界から逃れられない恐怖

色んな意味で、狭い世界がどこまでも追ってくるような恐怖がありました。
追われるのは受けであり、追ってくるのは攻めであり、受けの過去であり、受けを取り巻く過去・現在の環境であり。
そんな描写の数々は、受けのような壮絶な過去を負ってはいなくても、リアル社会に生きていても感じるような身近さがありました。

展開としては、幼少の記憶がない受けの過去に何があったのか?という謎が、受けの旧友らしい攻め…

7

「青、八号キャンバス」ショコラ文庫「彼は死者の声を聞く」特製ペーパー グッズ

神成が見えた気がします。

本編の二人が付き合い出した後の「restart」も素敵でしたが、このペーパーも本に入れた方が、神成の好感度が上がったような気がします~(^▽^;)(笑)お話は受け視点です。

--(以下ネタバレ含みます)--
本編で出てきた「青い絵」ですが、静寂な雰囲気なのに、どこかいびつで、綺麗でいて、心を乱す何かがそこに存在している。神成の部屋で絵の詳細を描かれている時、何となくそうではないかと思ってい…

3

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

本の厚みも重かったけど、話も・・・

個人的に心がときめくような甘~い萌えは、感じられませんでした。でも購入して良かったです。序場、中盤は背中に刃物で刺され抉られるような感覚で、苦しい。終盤、アトリエの中の姉との話は号泣しました。優しくて優しくてとても悲しい。

救われたかと聞かれれば、「自分が求めている救いが何だったのか。自分にはわからなくなった」と答えると思います。でも・・・この本、大切にします。モナストラルブルーに触れてみた…

8

「青、八号キャンバス」ショコラ文庫「彼は死者の声を聞く」特製ペーパー グッズ

ふっと何かが溶けるような・・・

普通おまけのSSって用紙片面分が普通ですが、縮小したとしてもびっしり両面分に値する4Pは、とても価値観のあるペーパーだと思います(佐田さん!太っ腹)
そして内容のほうも、ちょっとした後日の甘甘、、、
という軽いモノではなくて、本編の余韻をそのまま持ち込んで甘いけれどその中に緊張感が走るような、そんな本編の終わりに付いていても良いようなSSが仕上がっていました。

お話はもちろん本編後。

2

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

人間は弱いよね。

この作品は好き嫌いがはっきり分かれる作品ではないかと個人的には感じます。
痛い、辛い、苦しい、怖い、様々な負の感情がこの1冊に凝縮されている。
ラストに行くまでのどうだと言わんばかりの感情が溢れ出るような作品で、
軽めで心が浮き立つような作品を好まれる方にはちょっと辛いのではなかろうか?

そして私も後者の部類に入る典型だから、作品自体は凄いなと思っていても
この作品に心を揺さぶられる…

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