total review:280959today:18
ようこそ!ゲストさん
無料会員登録
ログイン
ログイン 無料会員登録
3/4(合計:33件)
高村薫
renachi
ネタバレ
合田シリーズ第三弾の中巻。 引き続き中心となるのは誘拐事件。 情報に不自由する閉塞感の中で、どうにか折り合いを付けようとする合田の描写が辛かった。ついには捜査を外され、城山の警護担当へ。合田の世界はどんどん狭くなり、転職を考えたりと、三十男の苦悩が深く心に突き刺さる。 大企業を背負う城山の心理描写も行きつくところが衝撃的で、とある合田とのやりとりに胸を打たれた。 一方、記者視点に移…
合田シリーズ第三弾の上巻。 面白かった!寝食を忘れて没頭したい作品。 上巻冒頭から読者をふるい落としにかかるのはお馴染み(?)。今作は1947年の怪文書から始まり、旧漢字が飛び交う読み辛さ。そこを超えると、今度はあちこちで起こる小さな出来事の諸々が語られる。先への布石として頭に入れつつ一章を読み終えると、二章からぐっと引き込まれる。男たちの犯罪計画から実行、そして捜査へ。 上巻は事件が表…
合田シリーズ第二弾の下巻。 これもまたBL面からレビューするのは難しく、しかも合田の行いがあまりよろしくないため賛否両論ありそう。物語がスピード感を持って進み始めるのは、終盤の四章。面白く確かな読み応えはあるが、重く暗く、リアルな知り合いには薦めにくい内容。 始まりから「堕落」と評されているように、合田が一人の女に一目惚れして奔走し、不正にまで手を染める。 上巻同様合田視点・達夫視点が織…
合田シリーズ第二弾の上巻。 できれば第一弾の「マークスの山」を読んでからが良いと思う。しかし「マークスの山」で得た合田像は容赦なくぶっ壊されるので要注意。このシリーズを読み始める際、「照柿」を一冊目にするのはオススメしない。 今作は序盤からリアルな工場描写が続く。熱処理工程が詳細に描かれ、機械油の臭いや工場内の熱気が眼前にむわっと漂ってきそうな緻密さ。専門用語が容赦なく降り注ぎ、視点主の達…
合田シリーズ第一弾の下巻。 もはや何と戦っているのか……という不条理の中で進められる捜査。押さえ付けられる現場と板挟みの上層部、さらに強大な権力の影。全ての描写が緻密で素晴らしく、よりスピード感の増した展開に目が離せなかった。 上巻から続き、合田視点と犯人視点が切り替わる。合田側では、じわじわと真実に迫っていき、点と線がつながりその先が見える興奮を味わえた。合田の苦悩がとても人間臭く、日々…
合田シリーズ第一弾の上巻。 匂い系と言われる本シリーズ、一作目はまだ微香。とはいえなにかしら感じるところはあると思う。 過去から現在へ、さまざまな場所で起こる事件が、点としてぽつぽつ提示される。犯人探しのミステリでなく、各点がどのように線になり、裏にどんな秘密が隠されているのかを合田視点で追っていく物語。 人間ドラマとしても面白く、圧力に潰される閉塞感の中で戦う刑事に痺れる。狂人(上巻で…
甘食
警察小説です。事件を通して捜査一課七係のまるで動物園のように個性豊かな捜査員達が魅力的でした。皆出世のために周りを出し抜こうとして仲間にも手の内を全て見せない。でも犯人とかキャリア官僚とか共通の敵に対する時だけ一致団結する所が面白かったです。 皆面白いあだ名がついてて、童顔なのにキレキレで仕事できるペコこと吾妻とか、ゲイの雪之丞とか、風の又三郎とかお蘭とか(森蘭丸からとったらしい)、同僚をあ…
ちょっとー!情報登録しようと思ったら既に他の姐様によってレビューまでついていました。やはり腐女子センサーに引っかかる作品というのは呼び寄せられてしまうのですね。 今一般小説のBLっぽい話にハマっていますが、「聖なる黒夜」などとは違い、ガチエロシーンはないのですが、中国人の絶世の美青年の殺し屋・李歐とものづくり大好きな工学部系日本青年・一彰は出会った瞬間にお互い惹かれ合った運命の2人。BLじゃ…
ももよたん
匂い系一般小説して必ず紹介される本作。 長編で、時代設定も内容的にもハードルの高さを感じつつも読み始めました。 読みにくいのかなと思いきや、案外スルスル読める。 ただ話の大半が工場を舞台としたお話で、機械の名前や部品、銃の仕組みなどは私には難しく「何となく」で読みました。 あらすじにある"平凡な大学生 吉田一彰"ですが、平凡とは…。 普通の大学生のようで、中身はか…
snowblack
1992年刊行の「我が手に拳銃を」を、文庫化にあたって改稿改題した作品。 1999年の出版だが、今更ながらに手に取り、 どうして今まで読んでいなかったのか!?と歯噛みをし、 以来頭も魂も鷲掴みにされて日々が過ぎる。 これは、文革と東西冷戦の時代の1970年代後半、 22歳で運命的に出会い、時代に翻弄され それぞれの場所で必死に戦い抜きながら、 15年目見えることなくとも、魂の絆を…