一穂ミチさんのレビュー一覧

meet,again. 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

羽化、あるいは動き出した砂時計

「雪よ林檎の香のごとく」に出て来た非常に印象的な人物、栫(かこい)史朗。
彼は人並みはずれて整った容姿と明晰な頭脳を持ちながら、どこか空虚な
というより、底なし沼のような得体の知れない人物……
彼が主人公と知った時、まず思ったのは栫と恋愛ということのあまりの馴染まなさだった。

一方の町村嵐は、大学の生協でアルバイトをしながら
砂時計職人の父の仕事を手伝いつつ修行中の、ごく普通の青年だ…

16

街の灯ひとつ 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

一途と執着の境界

27冊目のジャンクション。
口絵が素晴らしい!

一途と執着の境界は街の灯の曖昧さと似ているような気がします。

気乗りしないまま出かけた同窓会で酔いつぶれた初鹿野(受)は見覚えのない元同級生に持ち帰られます。
翌朝、土下座して「ずっと好きだった」と告白してきた相手は逢いたくなかった片喰(攻)だった。

このふたり、過去に親同士の因縁があって、その一件は初鹿野に真剣に恋愛に向き合えない傷を残しまし…

6

ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

侑史みたいな子って

リアルに、いて欲しい。

ある時から不登校になって、
一日のほとんどの時間を、アイドル・ほたるんただ一人だけの事を考えて過ごしているようで、
実はちゃんと、卒業にぎりぎり間に合うように計算して学校にも行っているし、
試験もそれなりの成績を維持できるように自宅でお勉強もしている。
共働きで忙しい両親に、少しでも負担にならないように、トイレットペーパーの在庫を注意していたりもする。
そも…

2

ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

「らしさ」満載。

あ~これは一穂せんせいだから許される本だね。
ギリギリBLライン。だけれどそんなこと気にせずグイグイ読ませてくれる。
これよ!これなのよねぇ。
 
キラキラで切なくて、
何かに、あるいはどこかに届きそうで届かないもどかしい感じ…青春ってこんな感じだよねぇ。
そういうのが過不足なく、ことさらに青春崇拝されることなく、でも丁寧に丁寧に重なって紡がれるストーリー。
 
こういう書き方は一…

2

オンユアマーク グッズ

光に満ちた、…

数ある『林檎』の番外編の中でも、とりわけ好きな一編。

時間は付き合い始めて暫く経ち、志緒は高校に二年生になっている。
体育祭を前にした学校の情景、その中での志雄が桂の視点で描かれている。

生き生きと描かれる高校生達の描写の中、志緒が鮮やかに浮き上がる。
それは、志緒の持つ得難い個性の故もあるし、何よりも桂が見ているから。

そんな中、背筋の伸びた少女・山辺さんが志緒に恋している…

4

ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

青春なキラキラ

一穂さんらしい文体で、繊細で素敵だな~と
思える作品でした。

アイドルオタクで引きこもり高校生と
俳優の卵の高校生2人のお話でした。

侑史の家に、いきなり同級生の航輝がやって来て、
学校に来いと言います。
そして、侑史のような引きこもりの役のオーディションを受けるので、
一緒にいて、観察させてと言われるのでした。

侑史がなんとも素敵な人でした。
侑史のスレていない、丁…

2

2012 New Year 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

彼の救いのある未来

「meet,again.」の番外編。

本編の最後で、嵐は父親から他所での修行を持ちかけられていて、
明らかにそれを決めているシーンこそなかったが
彼がそうする事にしてどこかの町(?)に移り住んだ事は察っせられていた。

志緒には相談したし、美夏だって知っている。
でも栫には言っていない、言えない。
結局大学でのバイトの最終日になって、ようやく電話をかけて栫を呼び出したところ…

9

meet,again. 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

評価に悩む…

私にとってBLではなかった。
しかし!萌えなくても面白かった。という作品。

読んでる間、ずっと得体の知れないザラザラとした不安感と不快感に抱きすくめられたような気分になりました。
つまった喉をケホッと吐くと砂が出そう。
 
短めの文が淡々と繋がれて読みやすい綺麗な文章だと思います。

栫の静かな荒廃感漂うキャラクターのみがハッキリと印象づけられるのに対して話は嵐の母の資質・栫の家庭環境を含む生い…

6

ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

青春の象徴

最初読み始めたとき、今を時めくアイドル(AKBみたいな)の熱心なファン=ドルオタ。そんな男子がどうやって男子との恋愛ができるんだろう?
と不思議で仕方ありませんでした。
しかし、展開するにつれて彼が半ひきこもりになり、いあゆるアイドルに逃げた(この言い方が正しいかどうかはアレであるが、自分にはそう見えた)その理由が後半になり語られることにより、彼にはその素養はあったのだということは十分にわかり…

4

ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

“高校生”の透明感

まるで「ご自身が高校生なんじゃ!?」と思ってしまうような
学校行事でのエピソードや、会話中の崩れた日本語。
これ、他の作家さんだったらどうだろうと思ってもみましたが
贔屓目なのかもだけどミチさんのは凄く好き。
だって自然なんですもん!!
「あーいるよね、こういう若い子達」ってするする読めます。

さらっとアイドルオタの侑史に「キモ」っていうのに
嫌悪感をいだかせないって、
航輝そ…

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