鳩かなこさんのレビュー一覧

帝都万華鏡―たゆたう光の涯に 小説

鳩かなこ  今市子 

恋で弱くなる。恋で剛くなる。シリーズ第4作

「帝都万華鏡」シリーズ4作目。
1作目のメインCP・京介x琢馬アゲイン。
2・3作目が、京x琢が成立する途中(せつ子さまがまだご存命の時)の春洋の物語でしたので、こちらは原点に立ち返って…というかたち。
1作目の後の時間軸で、京介と琢馬は想いを通じあわせています。
その上で、やはり運命はそう簡単に恋人たちを安らかに愛し合わせてはくれない…
琢馬は、詩が書けなくなる。
そしてそれを京介に…

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帝都万華鏡―巡りくる夏の汀に 小説

鳩かなこ  今市子 

くちなしの残り香を追う男、シリーズ第3作

前作「梔子香る夜を束ねて」の続きです。
誤解とすれ違いの果てに恋人同士となった紘彦と春洋。
だが、運命はいまだ春洋につらくあたる。
紘彦は材木商の次男で、兄が家業を継ぎ妻も跡取りももうけていたのだが、その兄が事故に遭い儚くなってしまう。
そうなれば次男の紘彦が家業に染まらざるをえない。
それを知った春洋は、またぞろ身を引くわけで。
「家」なるものを背負う紘彦の傍に自分がいるわけにはいか…

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帝都万華鏡―梔子香る夜を束ねて 小説

鳩かなこ  今市子 

くちなしが香る男、シリーズ第2作

「帝都万華鏡」シリーズ2作目。
本作の主人公は、前作の高市京介や石木琢馬の一高の同級生で、今は日本画家の横山春洋(はるみ)。
スピンオフ的な展開とも言えるけれど、前作「桜の頃を過ぎても」と同じ時間軸での横山サイドとしての物語です。

生家は吉原の廓である春洋は、ある晩贔屓筋の息子が座敷で一人になってしまったので座持ちを、と言われて挨拶に出向くが、廓付きの色子かと間違われたのか、その後その若…

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帝都万華鏡―桜の頃を過ぎても 小説

鳩かなこ  今市子 

日本語の繊細と美があふれている

トピ内にて匿名のお姐さまにおすすめいただき、手に取りました。
タイトルの「帝都万華鏡」、そしてイラストは今市子先生、すでに「文藝」の高貴な薫りが…
そして読んでみれば、時代は大正。
正に大正浪漫。
少し(いや、かなり)堅く上品な文体でありながら、選ばれる語彙は耽美的でもあり、そこが非常に硬質な官能性を醸し出しています。
今どき文体の読みやすいBL小説に慣れていた身には、ガツンと鉄槌を喰ら…

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番外編ショート16作品

ショートなんですが、後日談ということで甘い話ばかりでした。

尾上セイラ「ジンの鍵と三つの願い」 (「千の夜とジンの鍵」より)
「三つの願い事」を考える仁の話。そして、ただ一つの願い事を叶えるユクセルの話。

さとむら緑「恋のない国」(「魔法のない国の王子」より)
イリアがヨアヒムに心を許していく様と、静とヨアヒムの山桃かけヨーグルトの話。

「vital signs」凪良ゆう(「…

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愛に溺れるバンビーノ 小説

鳩かなこ  Ciel 

イタリア貴族の溺愛攻め♡♡

イタリア貴族らしい歯の浮くようなセリフ。
ひたすら溺愛し、受けをドロドロに甘やかす姿。

これが違和感なく板についてる王子様のような攻めに萌えた〜!!(∩´///`∩)
ヒィヒィするほど甘くてニヤニヤしちゃいますv

まぁ…これが裏目に出ちゃって、
普通の兄弟だと思ってる受けは「いつまでたっても子供扱いされてる」と憤慨し、
他の兄姉は「攻めが溺愛しすぎて、受けが世間知らずになった」…

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よしはら心中 帝都万華鏡秘話 小説

鳩かなこ  今市子 

夏洋編(完結)

春洋の兄、夏洋と久助のお話し。シリーズ5作目。

春洋編でちょこっと登場した久助の恋。顔がよく似た売れっ子花魁と、同じ絵描きの先生(男)を好きになった久助だが、自覚もないまま一途に心に秘めた恋だった。

そんな久助を、幼い頃からずっと好きな夏洋。商才がありなかなか切れ者の夏洋は、実家の老舗遊郭を切り盛りするようになる。しかし、自分の気持ちはなかなか素直に出せない。

一度無理矢理久助を…

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帝都万華鏡―巡りくる夏の汀に 小説

鳩かなこ  今市子 

春洋カプ完結編

際2作につづき、紘彦×春洋の完結編。2冊揃えてから読んだ方がいい。

すれ違っていた二人。最初は何者でもないときに出会ったから、そのままハッピーエンドとはいかなかったろう。
今回は、画家となった春洋と、跡取りの自覚が出てきた紘彦の再会。過去の誤解の種明かしに、事件を経てようやく素直になる二人、という展開。こちらもお約束ですな。

春洋のいじいじにイライラさせられた分、すっきりとハッピーエ…

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帝都万華鏡―梔子香る夜を束ねて 小説

鳩かなこ  今市子 

シリーズ2作目だが別カプの第一弾

帝都万華鏡は5作で1シリーズだが、1,4作が京介×啄馬で、この第2作と3作は、彼らの友人である春洋のお話。

お相手は、材木問屋の跡取り息子、紘彦。吉原の跡取り息子(経営は男性ということになっている)が春洋の兄。春洋は実家とは無関係に画家としてひとりだちする。

最初の出会いは吉原。たしなみとして訪れた純情な紘彦は、陰間と勘違いして春洋を抱く。一途で純情な紘彦にほだされる春洋。

しか…

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帝都万華鏡―桜の頃を過ぎても 小説

鳩かなこ  今市子 

文芸の香りのする

鳩かなこさんの作品を初めて読んだ時、あ、岩波文庫の文芸小説みたいだ、と思いました。BL小説というとどちらかと言うとラノベ感ありますけど、鳩さんのは古き良き時代の文芸小説です。
この小説は最初から最後まで切ないです。だって受けに死にかけの妻がいるんですよ…。妻と攻めと受けが3人で行動しちゃうんです。溺愛系の攻めにノンケ受けがほだされる…と一応王道となりますが、まあそれも間違っちゃいないのですが、く…

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