椹野道流さんのレビュー一覧

お医者さんのお引っ越し 小説

椹野道流  黒沢要 

終の棲家づくりを通して、深く寄り添っていく二人が素敵

人生のビッグイベントは数々ありますが、パートナーと過ごす家を建てるのは最大級のイベントではないでしょうか。二人の好みや何を大切にするかなど、様々な場面で歩み寄りや妥協が必要になり、本当に一緒にやっていけるかが試されるからです。九条と甫は、家に求めるものは実用性が第一という点で一致していましたが、一人分しか作れない書斎スペースを九条が甫に譲ろうとしたことで揉めてしまいます。

今は甫の弟・遥がパ…

0

お花屋さんに救急箱 小説

椹野道流  黒沢要 

一歩ずつ確かめるように関係を深める二人が、とてもいい

表題作「お花屋さんに救急箱」を読んで、おや?と思いました。作中に救急箱は一度も登場しませんし、花屋の九条を医者の甫が手当てするような場面もありません。うーん…と考えて、思い至ったのは、救急箱で手当てするのは深刻ではない軽いけがということ。甫は九条を想うがゆえに、昔のバンドの相方とやり直すよう勧めて、九条の心を傷つけてしまいます。でも、そんな九条を癒したのも甫の不器用で正直な告白。二人にとって、終わ…

1

とある冬の日 小説

椹野道流  みふみこ 

年の瀬の心温まる物語4編

みふみこさんの表紙イラストがとても可愛いです。

1. 年末の大掃除(茨木と京橋)
茨木から一緒に窓ふきをしましょうと誘われた京橋。部屋の中と外に分かれて窓をふき始めます。京橋はいたずら心を起こして窓にスプレーで文字を書きますが、茨木の返しがすごくて、赤面してしまいます。「くそ」、「しくじった」と悔しがる二人が可愛いです。暖かい部屋側を京橋に譲る茨木は、優しいですね。

2. 明日は仕事…

1

離れていても、隣にいても 書き下ろしペーパー 特別なランチ グッズ

嫁の篤臣が男性で、よかったです

本編での大阪出張から江南が戻って日が浅い、ある週末のこと。一人こもったキッチンで篤臣が作っていたのは、なんと江南のお母さん直伝のシチューでした。小さい頃からの好物に、江南は放っておかれた不満など吹き飛び、「ええ嫁もろた」としみじみ喜びます。

江南家のシチューの具は、ぶつ切りの鶏肉と大ぶりに切った野菜。バターと小麦粉でとろみをつけてあり、牛乳は入れないのだそうです。『シンプルだが滋味深いスープ…

0

離れていても、隣にいても ~右手にメス、左手に花束12~ 小説

椹野道流  鳴海ゆき 

恋人の胸の中で遠慮なく泣けるって、いいですね

椹野さんの作品は、お医者さんシリーズの数冊と、本作しか読んでいないのですが、好きだなあ、と思うところがあります。登場人物たちが根はいい人たちばかりで、彼等の暮らしや仕事ぶりが丁寧に描かれていることです。そして、彼等が日々の中で気づいたこと、嬉しかったことを中心に物語が展開していくことです。大きな事件のドキドキハラハラ感はありませんが、心が温かく満たされる気がします。ゆったりした気持ちで読めるのがあ…

3

離れていても、隣にいても コミコミ特典書き下ろしSSペーパー 足りない天使 グッズ

旦那ばかりか嫁も惚気てます

本品は『離れていても、隣にいても』の
コミコミスタジオオリジナル特典ペーパーです。

本編後、
バーザーの準備中の小話になります。

バザーまであと10日、
会議室に挽かれたブルーシートの上で
篤臣は天井を仰いで嘆息していました。

予想を超えた数の品物が寄せられ
嬉しい悲鳴を上げつつも
品数が多いとその日のうちに
分類が終われないこともあります。

城…

0

離れていても、隣にいても 書き下ろしペーパー 特別なランチ グッズ

ゆったりした休日の過ごし方

本品は『離れていても、隣にいても』の
フェア書店限定特典ペーパーです。

本編後、
2人そろった週末の出来事になります。

とある週末、
珍しく2人ともに呼び出しがかからず
2人はこれは貴重な機会と
とことん自宅でことにします。

しかし、
篤臣はキッチンにこもってしまい
いちゃついて映画でも見たいと
江南にはいささか不満です。

しかも普段なら
江南に手伝いを…

0

離れていても、隣にいても ~右手にメス、左手に花束12~ 小説

椹野道流  鳴海ゆき 

サブタイトル通りなラブっぷりです

本シリーズは
消化器外科医と法医学教室所属医師のお話です。

攻様が他病院での出張オペ、
受様が大学バザー準備で新たな思いを育むまで。

攻様と受様は医大時代からの同級生です。
院内でも2人はパートナーとして認識され
受様に惚れ抜いている攻様は
受様を"俺の嫁"と呼んで惚気放題です。

そんな攻様は2人の休みが重なった休日に
食事をしようと受様を誘ってい…

2

離れていても、隣にいても ~右手にメス、左手に花束12~ 小説

椹野道流  鳴海ゆき 

バカップル万歳

医者2人の同棲シリーズもなんと12巻目。長いシリーズなので最初の頃はうろ覚えの所もあるけど大好きなシリーズです。両方医者と言っても攻めの江南は外科で受けの篤臣は法医学の方なので、それぞれの仕事描写もリアルで面白いのです。なんてったって作者の椹野さんが元医者ってのがすごい。よくBL作家になってくれたものです。有難や。しかも男同士医者カップルも実際のモデルがいたっていうから萌えが倍増です。そのお二人も…

3

お医者さんにガーベラ 小説

椹野道流  黒沢要 

甘えるのも勇気が要るんです

周りに厳しすぎて孤立してしまった医者の甫(はじめ)と、病院に出入りする花屋の九条。二人の恋のお話です。

甫に共感しながら読みました。
自分にも他人にも厳しい甫は、努力家なのでしょう。「頑張って認められたい」という気持ちが強すぎて、弱音を吐くことも甘えることも知らずにきてしまいました。私も昔はそうでしたので、甫の気持ちが分かるような気がします。甫はとても不器用なのですね。

そんな甫が、…

3
PAGE TOP