木原音瀬さんのレビュー一覧

COLD LIGHT(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

明らかになる過去

COLDシリーズの2作目。
前作は透視点でしたが、今回は藤島視点で、悲惨な過去がすべて明らかにされます。
母親に捨てられ、引き取られた家で虐待された幼い透の不幸。
一方、いい家に生まれ育ち、物質的には何不自由なく育った藤島も相当に不幸です。
子供にとって母親というのは本当に大きな存在なのに、それが優しさの仮面を被った変態的暴君だったら……。
実の母親が透を虐待するのを目の前で見ながら、そ…

2

COLD SLEEP(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

記憶、なくしてよかった。藤島さんを嫌いだった自分を全部忘れてよかった

大好きなコールドシリーズ3部作の1作目。

いきなり「ここはどこ?私は誰?」な状態になってしまった透の不安は、読んでいる方にも伝わってきて、この藤島の正体はなんなんだろうと思いながら読んでました。
藤島はやっていることはものすごく親切でありながら、なぜかよそよそしく、透に興味もない写真の専門学校に行くことを勧めてきたり、何か隠していたり、嘘をついていたり。
でもよそよそしい藤島はケーキが好…

3

恋について 小説

木原音瀬  大竹とも 

木原さんなのにほのぼの

痛さは全くなく、ほのぼのと優しい気持ちになれるお話で、おまけにエロはほとんどなし。朝チュンの上に、最後までイタしてないし……。いやいや、これはこれでこの2人にはふさわしいかな?と思えるんですけどね。
笹川にしろ朝霞にしろ、全くのノーマルで、恋愛は女性としかしてきていないのに、ちゃんと恋愛に落ちるんですよねぇ。それが自然で。あ~、落ち着くところに落ち着いたか……みたいな。でも、ノーマルなだけに不器…

2

眠る兎 小説

木原音瀬  車折まゆ 

生徒×臆病な先生

その場のノリで、ゲイ雑誌に載っていた文通相手募集にでたらめな手紙を書いた高校生の浩一と、過去の実らなかった片想いを引きずって臆病になっている高校教師高橋の物語です。
女の子が好きなくせに、ゲイのふりをして手紙を書き、なりゆきとはいえ女の子と一緒にその相手を盗み見しようとした浩一はかなりしょうもない奴です。
心底悪い奴ではなくて、ちゃんと断ろうと思いながら、でも相手が自分に会って喜んでいるのを見…

8

さようなら、と君は手を振った 小説

木原音瀬  深井結己 

与える恋から求める恋へ、そしてその先は…

名が体を表している作品です。

ただし登場人物は違います。誠一という男(攻め)は名前に似合わず誠実とは程遠い人間です。高校時代に一時だけ夢中になった相手、従兄弟・啓介の上京の面倒を見るうち、再び『都合の良いセックスフレンド』として接するようになります。奇妙なことに、啓介は自分から誠一を求めることはしないし、女性とも平気で付き合っているらしい彼を責めることもしない。その理由が明かされる瞬間、誠一…

4

無罪世界 小説

木原音瀬  よしながふみ 

木原先生流のユーモアとアイロニーに満ちている

シュールラブコメディ…かな。ハートフルという言葉ももしかしたら入るかもしれません。excitedでなくinterestedの面白さです。

しかしなぜこのテーマを選ばれたのか…未開のジャングル(ブラジル)でインディオにさらわれ育てられた野性児と、詐欺商法で借金を返済する『ひとでなし』男との恋愛って。まずその発想がすごいです。

恋愛、と書きましたが情の交わし合いと言った方がしっくりと来ます…

4

COLD FEVER(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

透のことがすごく好きになりました。

遂に最終巻です。
ここまでの2作は途中少しくらい休憩入れながら読んでもいいかなって感じで読めたのですが、この巻は最後まで一気に読まずにはいられませんでした。
この物語が「激痛」と評価されていた部分が次から次へと出てきて。
少しは覚悟をしていたつもりでしたが、それがここまでいくつも波状攻撃になって押し寄せてくるとは思ってなくて。
けれど、それゆえなのかどうなのか。
これまでの2作よりも惹き…

9

COLD LIGHT(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

甘い日々が続くほどこわい…。

なんといっても藤島の母親の印象が強烈でした。
藤島の生い立ちについてもそうだし、その後の藤島に対する溺愛っぷりっていうか過保護っぷりっていうか。
それ以上にもう「異常」としか言えないような執着みたいなのとか。

藤島と透の出会いについても今回のお話でわかり、その後の彼らの関係が少しずつ深まっていって。
けれど、藤島が母親に対する畏怖もあって透のことを助けることができなくて。
関係はこじ…

3

HOME 小説

木原音瀬  藤田貴美 

鬱だ死のう。となりかねない…

最後まで読み終えて、なんじゃこりゃあ、と呆然としました。もう何と言うか怪作ですね。序盤で設定が分かった辺りではこんな展開予想もつきませんよ。ついてたまるかという話ですよ。
いやー、もうホント…何だこれ。

この話はですね、非常に自己愛の強い二人の話だと思います。自分の望む愛を受けて来なかった人間が、自分の最も愛して欲しい人間に対して、とにかく愛して愛してと求めている。ところがその二人ともが態…

3

COLD SLEEP(新装版) 小説

木原音瀬  祭河ななを 

遅ればせながら木原作品デビューです。

来年にCDが出ることも決まって好きなキャストだったので欲しいなーと思って。
しかし、木原作品を読んだことのない私が果たしてついていけるのかと思いまずは読んでみることに…(ちるちるの特集でもこのシリーズは「激痛」に分類されてましたしね)

今回はまだ最初の段階だからでしょうが、比較的穏やかに物語が進んでいて。
どこか無器用だけど時にかわいらしくもある藤島と、徐々にそんな藤島に惹かれていく透の…

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