木原音瀬さんのレビュー一覧

B.L.T 小説

木原音瀬  稲荷家房之介 

利用するつもりだったのに気がつけば……

中学生の頃、北澤は電車で大宮という男から痴漢に遭います。
それをネタに金をせびり、ご飯を奢らせ……と何だかもう序盤から北澤の傍若無人っぷりがすごい。
家庭環境に恵まれず両親が離婚したことで愛情に飢えてる北澤は、誰よりも自分を欲してくれる人間である大宮を利用し尽くします。そして最後に捨ててしまう。

それから5年。
再会したふたりは惹かれ合って付き合うようになるんですが、北澤の可愛さが破壊…

0

セカンド・セレナーデ full complete version(新装版) 小説

木原音瀬  北畠あけ乃 

性格悪いの勢揃い

表題作よりも、1作目の【水のナイフ】が衝撃でした。
この作品、投稿作品で期待賞を貰ったそうなんですが、投稿作品でこの鬼クオリティって……と愕然とします。
もう先が気になって気になって、大事に噛みしめるように読もうと思うのに、それを許されずにぐいぐい強制的に引っ張られます。
読んでると周囲の音がなくなるくらい、夢中になってしまいました。

作品自体がかなりの昔になるので、携帯電話が存在しま…

7

箱の中(文庫版) 小説

木原音瀬 

文庫版のメリット

今さらではありますが。この作品はBLにおけるお約束の展開、萌え、非日常などエンタメ要素のみを求めておられる方には受け付けないかと思います。こうして一般書としても刊行されたことが示している通り、BLというジャンルで括るにはあまりに人間臭く、文学的で、お決まりのロマンティックさはありません。

私も当初、BLにはエンタメ性だけを求めていたため、予備知識なく初木原さん作品「熱砂と月のマジュヌーン」を…

7

B.L.T (新装版) 小説

木原音瀬  元ハルヒラ 

そのままベーコン・レタス・トマトサンド

タイトルだけ見るとどんな感じなのか分かりませんでしたが、歳の差ラブのステキな話でした。
攻めの大宮と受けの北澤は14歳差で、大宮が中学生の北澤に痴漢をしたのが二人の出会いです。時にドロドロでいて微笑ましいラブが「ライン」から「dessert box plus」の4編に渡り描かれています。
中学生に振り回される大宮と、不安定な中学生からいい感じの大人になっていく北澤と、美形なのに酷い役回りの千博…

2

箱の中(文庫版) 小説

木原音瀬 

喜多川の言葉に迫るものを感じる

萌えるかどうかではなく、評価という意味では間違いなく神作品です。
一般文芸としてとか、BLとしてとか、括って考れば
異なる評価になるとも思いますが、細かいことはどうでもいいと思わせる熱量があります。
傷ついた堂野が自分を一途に必要としている喜多川を受け入れたのは理解できても
なぜ喜多川が堂野に執心したのかは読了後もよくわからない。
(なつやすみやすすきのはらなどの番外編は未読なので)

2

FRAGILE 小説

木原音瀬  高緒拾 

身体の震えが止まりません

一言で言えば凄まじかったです、今まで読んだBL小説の中で、いや今まで読んだ普通のホラー小説などを含めても一番衝撃的で怖かったです。ただ、真に勝手ながら個人的にはもっとエロエロなものを想像していただけに残念、大河内に対する青池の仕打ちには全然エロスを感じなかったし、個人的にこういう設定の物に(勝手に仕事を辞めさせられて大河内が泣きながら騒ぐシーンなどといった)現実的な描写?が多いとなんとなく受けが可…

2

牛泥棒 小説

木原音瀬  依田沙江美 

いじらしく、愛する男を守る。徳馬という男

「牛泥棒」というタイトル。これは何だろう?
そう思って皆さんのレビューを読み、妖怪モノと知って手に取りました。
プロローグから佐竹家の使用人の息子徳馬が、人の死期がわかる事、見えざるものが見える事が語られます。
そして危篤の佐竹家の一人息子亮一郎の命と引き換えに、亮一郎の母親が沼の神大ガマガエルに喰われる所を見てしまった徳馬もまた、ガマガエルとある契約をする、という冒頭。
そして本編は、亮…

6

薔薇色の人生 小説

木原音瀬  ヤマシタトモコ 

こんな愛があるのか?

神、一択。それしか言えない。
弱く流されやすい性格の成れの果て、前科3犯でシャブ中のモモと、偶然モモの自殺を止めた真面目警官、浜渦論(ロンちゃん)。
この2人の馴れ初めはモモの酷い八つ当たりの強姦。そのまま脅して関係を続ける。そして2年、3年、4年…
モモの、自分がロンちゃんに相応しくなくて、でも別れられなくて、それなら一度でも役に立って死にたいって思う気持ち、胸に刺さる。
人と人の結びつ…

12

期限切れの初恋(BBN) 小説

木原音瀬  糸井のぞ 

これが木原音瀬!

掲載されていた「泣けるBL」は読んだのですが、個人的には、その時は泣けませんでした。
「人でなしの恋」で一気に受けに感情移入して涙が出ました。
木原さんだったらもしかしたらバッドエンドになってもおかしくない!
読んでいる途中でこれはもしかして決別エンドになるのか、そこらじゅうに散らばってている「自殺」というキーワードがフラグに見えて、もしかしたら死ネタになるのか??と途中でヒヤヒヤしました。…

6

深呼吸 plus story ~単行本未収録短編集~ 小説

木原音瀬 

ロンドン暮らしのその後

木原さんはラスト30ページくらいから攻・受の間合いが詰められるというか、急展開になることが多い気がします。
これからいよいよ…というところで終わるので、ある意味余韻があるとも言えますが、やはり大多数の人は物足りなくじれったいのではないでしょうか。
この短編集はそういった「痒いところに手が届かなかった感」を解消してくれます。

『エアメール』
2ページ程度のショート。
谷地がロンドンに行…

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