宝井理人さんのレビュー一覧

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

文体が好きだー

杉原さんの作品のレビューを書くとき(あと高遠琉加さんのとき)って、同じことばかり書いてる気がするのですが、改めて文体が好きです。
実に美しい…!!
この作品はとくにそれを感じました。
とある無音のモノクローム映像がキーとなってる物語なんですが、それについてのエピソードが語られるときの文章が、やたらと美しいのですよ。「情景が浮かぶ」というより、「文章そのものが情景になってる」って感じ。たぶん私、その…

1

真夜中のレモネード 小説

松前侑里  宝井理人 

てっきり!

題名を見たときは「センチメンタルなビスケット」のスピンオフと思い込み
いやいや~前作の「コーンスープが落ちてきて」のスピンオフなんだって!と聞き
てっきり、叔父さま主役!やった!と思いきや・・・(笑)主役は別の方々でした
いや、叔父さまにもぜひとも幸せになって欲しいものです

松前先生特有の、本の中で流れる時間のチクタク感
非常に幸せな気持ちになります
もどかしさもそんな時間の中では…

3

セブンデイズ FRIDAY→SUNDAY コミック

橘紅緒  宝井理人 

短くて長い一週間

まず、作品全体の雰囲気がとてもきれいだった!
内容自体はシンプルと言えるものなんだけど、絵と展開の丁寧さで世界観に惹き込まれました。
冬至が甘々男だから、全体的にラブラブで、にやにやできた(笑)
お互いが気持ちを自覚してからの心の揺れ動きもよく描かれていて、切なかった。「人を好きになるのって~」の台詞はすごくじんときた。
すごく感動するっていうわけではないけど、ほんわかとした読後感を味わえ…

5

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

家族愛と恋愛の境界線

穏やかで、繊細な文を書く杉原さん。
好きな作品も多いですが、これは萌えに近い中立評価。


遼、そして英之がお互いに「恋」しているのかが、私にはイマイチ伝わってこなかった。

小さい頃なら親を通して得られるはずの身体の触れ合いや、家族からの愛を得られず、心を閉ざして生きてきた遼が、英之に対して求めているものが、どうしても家族愛に見えてしまう。
10年越しに再会してから、人との繋がりに…

2

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

タイトルが素晴らしい

メインカップルが割と簡単に体の関係を結んでしまったので。
やや拍子抜けをした部分もあったのですが。
その後、心の距離がなかなか埋まらないのが、
じれったくて仕方ありません。

端から見れば十分、「君は恋をしているんだよ」という状態なのに、
それを認めない(認められない?)遼。
頑なな遼の雪解けを、急がず、優しく待っている英之。
そんな二人の静かだけれども情熱的な心の交流が、
どち…

4

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

ゆっくり礼賛

この作品、すごく好みです。
ゆっくり、慎重に、遼の心に踏み込んでいく、英之の丁寧さがいいです。
それを受けて、自分で、しっかり、自分の心と向き合う遼も好ましい。

杉原さんの作品楽しみ所は、「恋愛している自分を、自覚して」、「受け入れる」過程だと思っているので、杉原さんらしさをとても堪能できた。
また、遼は、子どもの頃のトラウマ故か、自分の中での心と体の繋がりが希薄で、
割合と簡単にセ…

6

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

深い海の底をたゆたう感じで読みました

もどかしいのは杉原さんの十八番みたいなもんですから、まぁいいとして、今回はいつも以上に淡々とお話が進みます。

お話の半分くらいは12年前のことを振り返っている感じなのですが、主人公の一人、映画ライターの水原英之は16歳から28歳の今まで、始終落ち着いているのです。
取り乱すとか激昂するとかそういうことが無い。
父親が小学生の遼を預かってきた時も、思いがけず再会したときも非常に淡々と受け入…

5

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

まさに【音無き世界】音が無くても世界には闇もあり色もある

杉原さんの作品は、独特な湿り気があって
ちょっと手暗がりのような空間に入り込むような雰囲気があります。
そして圧倒的に再会モノ、●年片思いみたいなパターンが多い。
頭で理解するまで片思いが続くような・・・

今回の作品も1ヶ月だけ一緒に暮らした
言葉を話さなくなった小学生と高校生が
大学生と社会人になって再会する話でした。

幼い頃に愛する人に傷つけられたトラウマは重く
遼の行…

3

音無き世界 小説

杉原理生  宝井理人 

キレイにはまったタイトル

ここのところ杉原さんの過去作を読んでいて、傾向がちょっと違うけどそれなりに面白いと思っていたのですが、やっぱり今の作品の方がいいですね。


フリーの映画ライターの英之はフィルムコンテストの応募作品の中に、12年前に1ヶ月だけ家に預けられていた遼を見つける。
ほとんど口をきかない、わけありの子供だった遼。
再会した遼は映研の仲間と楽しく活動している普通の大学生へと成長していたが、やはり複…

3

セブンデイズ FRIDAY→SUNDAY コミック

橘紅緒  宝井理人 

一週間の終わりとその先

決められた時間の中でお互いがお互いを好きになっていく過程がすごくじりじりしてとてもよかった。
さりげなくヘタレな攻といざとなったらかなり男らしい受が個人的にとてもツボです。
攻より身長ちっちゃい受の方が足が速いとか、そういう些細なことにときめいてしまうんだ。

一週間だけの約束とか、本人たち意外から見たら結構バカバカしいものなのかもしれないけれど、それに縛られつつも恋をして壁を乗り越えてし…

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