WANLOVE
5巻で既に本番は済ませていますから、ダメ押しのこの最終巻は城谷がキスや頭を撫でられることへの抵抗感や、トラウマからずっと引きずってきた自分への嫌悪感、自分は汚れているという感覚などを昇華させるためのものになっています。トラウマの原因である植田と遭遇してしまう2人。でも、彼女から再び傷付けられる前に城谷は自分で回避することができましたし、黒瀬も彼女の下心を一蹴するので大したダメージにはなりません。…
まずは今まで濡れ場は寸止めが続いていたので、やっと挿入まで果たせて本当にここまで待った甲斐があったなぁと思いました。潔癖症の城谷が辿り着くには妥当な時間のかかり方だったんじゃないでしょうか。まだまだ羞恥心や素の自分を晒すことへの恐怖心は残っているとは思います。でも、それって別に潔癖症じゃなくても一般的に人間が持ち合わせている類の感情だし、潔癖症の人間にしては十分過ぎるほど城谷は性的な部分を解放で…
汚されたい、浅ましい自分を受け入れて欲しいという気持ちと、汚れたくない、醜い自分を知られたくないという対極にある気持ちとの間で、心が揺れる城谷が顕著になってきましたね。他人のせいで自分が汚れるのと、自分のせいで他人が汚れるのを比較した時、どちらも嫌には違いないだろうけど、後者の方が羞恥や嫌悪感がより強いというのは結構分かるなぁと思います。自分の方が汚いと認めたい人間なんていないでしょうから。
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初めて読んだ時は、この巻辺りから城谷がちょっとしたことで勃起させてしまったり、性行為中でないにも関わらず感じてしまったり、かなり際どい行為まで許してしまったりすることが多くなってくるので、潔癖症なのにいきなりここまで性的な部分を解放できるものなのだろうかと、疑問を覚えたように思います。でも、再読してみると、今まで彼が性に関する興味も欲望も徹底的に押さえ込んできた反動は、すごく大きかったのかなと少…
全巻読んだ上で今思うと、この2巻が2人の大きな転機であり、潔癖症である人間を性行為で汚すという背徳感を最も強く感じられる巻だったんじゃないかと思います。どんな塵や埃が混じっているかも分からない雨に濡れて夢中で走ってきた城谷、黒瀬の服に大人しく包まれた城谷、黒瀬に手を舐められたり手淫されたりしても振り払うことができなかった城谷。1巻からは想像がつかないほど速いスピードで、彼はいろんなものを受け入れ…