藤たまきさんのレビュー一覧

Don't look back 小説

ジョシュ・ラニヨン  藤たまき 

堅実に手繰り寄せる過去

ジョシュ・ラニヨン作品二作目の邦訳。
事件を追う展開のなかで二人の関係が明らかに…という展開や
カップリング(皮肉屋で男前×傷心の意地っ張り)が
少し『フェア・ゲーム』と似ていて、作家さんお得意のパターンなのかなと思うものの、前作がチラついて集中できない程ではありません。本書は本書で面白かったです♪


男と身体を重ねる、甘い夢から覚めると、病院のベッドの中にいたピーター。
職場であ…

10

Don't look back 小説

ジョシュ・ラニヨン  藤たまき 

過去からの脱却

前作『フェア・ゲーム』が大変に面白くて関係性の描き方が好みだった作家さんの2冊目になるのだが、この2冊でこの作家さんの傾向がわかったと断言してしまってはいけないのかもしれないのであろう。
しかし、主人公はゲイであり、そしてこだわりとわだかまりが二人を阻むという距離があるところから、謎解きの進行とともにそれがほどけていく、という進行パターンは似ているかもしれない。

事件的には犯人は容易に予想…

6

桜並木袋小路 コミック

藤たまき 

絵本のようなファンタジー

この本を買うとき、とてもどきどきしながら買った記憶があります。

この本に出会ったのは「やおい」にはまってまだ間もなかったころです。
丁度BLに移行するぐらいの過渡期ぐらいの頃でしょうか。
値段は600円。
その頃の私にとっては普段買う漫画より高価なものでした。
たった数百円の違いも自分にとっては大きな違いだったので、
これを買ったらあれが買えなくなるかも…などあれこれ思いめぐらし。…

5

蛇崩、交差点で コミック

藤たまき 

青春漫画的

ちょっと盛り上がりに欠ける気がしました。藤さんのモノローグは相変わらず幻想的で素晴らしくてグイグイ引き込まれてしまい飽きることはなかったのですが、一番の山場であるマドの秘密が後日談として語られてしまうと、それまで物語を牽引してきた緊迫感が一気に萎んでしまいました。結局マドの問題はマドだけで解決したし、主人公の問題はマドの不在期間に起きて、全てが済んだ後にもう一度出会いを繰り返すという消化不良な(読…

1

明日が世界の終わりでも 榎田尤利作品集 小説

榎田尤利  藤たまき 

極端な

作品が収録されたこの作品集。

largo
受けの嫉妬心や自尊心が、攻めの存在で徐々に変化する様。明るくていつもヘラヘラとした感じを受ける攻めが見せた激情。ドキドキ、キュンキュンしました。青春だなぁ。当て馬くんとの友人関係が続いたのにはちょっと驚きました。

明日が世界の終わりでも
少々アブノーマルな作品。受け視点で物語が進むため、攻めの心情が伝わりにくかった。ただ、全部読んだ後には、…

2

明日が世界の終わりでも 榎田尤利作品集 小説

榎田尤利  藤たまき 

これもまた作者の顔なのだ

この一番新しい榎田尤利作品集の作品コンビネーションは今までで一番両極端をいってしまった組み合わせかもしれません。
片や青春の悩み苦しみを通してのびやかに成長していく姿を音大を舞台に描いた【Largo】と、
片や愛する人に触れてもらえない苦しみと、触れられない苦しみがすれ違い痛い展開を見せる表題【明日が世界の終わりでも】と
同じ榎田作品でも、読者の好みと評価が極端に別れる作品が詰め合わせされて…

10

明日が世界の終わりでも 榎田尤利作品集 小説

榎田尤利  藤たまき 

評価が難しい

全く味わいの違う作品が2本で1冊。
音大生の物語「largo」が一つめ。
これは、音大のピアノ科の同期生が、音楽の才能と恋愛との間で葛藤する話。
爽やかなハッピーエンド。
表題作「明日が世界の終わりでも」は、「明日が世界の終わりでも」「約束」「集い」の3章と「witness」までで一つ。
この表題作が、なかなか無茶な設定と展開でガツンとかましていて、あとの2編でいい話の方向へ持って行こう…

3

蛇崩、交差点で コミック

藤たまき 

ざわざわと音を立てるような・・・

攻めの片思いの話が読みたい!というのと、表紙が淡く優しいような綺麗な色合いに惹かれました。
話は優しい話というより、切ない感じがします。1回目読んで上手く言葉に出来なくて、2回目読んで悩んで、数ヶ月置いて改めて読んで、やはり言葉で表現出来ない感情になりました。でも嫌な気分では無くて、泣けてくるんですけど良かった・・・とじわりじわりときます。

好きなのに、そしてお互いが好きって気持ちも分かっ…

5

寄せては返す波のように 小説

六青みつみ  藤たまき 

いつまでも幸せにと願う

前作で残念な人だったエルリンク・クリシュナの物語。
エリィはショアに似た記憶障害を持つルースと関わり、それを利用してルースをショアの身代わりにしてしまいます。
そんな自分に嫌けがさし、ルースとの距離をとろうとしますがエリィにとってルース自身がなくてはならない存在になっていました。
全てを記録したうえでルースが大切だと伝えるべきだったのにルースの記憶である手帳からショアの名前を消すという間違い…

3

蒼い海に秘めた恋 小説

六青みつみ  藤たまき 

弱そうに見えて強い心

幼い頃から実験体として研究所で生きてきたショア。
実験体としての価値を失い育ての親で愛するエルリンクに裏切られ(誤解だったんですけど)研究所を出たショアは、資料室のディスクで見たグレイに会いたい一心で海を渡ります。
最初から最後まで誤解とすれ違いの連続でしたが、ショアの誠実さや健気でしなやかな強さに好感が持てました。
それに比べて攻さま二人のヘタレっぷりといったら・・・グレイにはショアがいる…

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