茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

造花の解体 小説

西条公威  茶屋町勝呂 

「壊れた身体」を撮るカメラマンが切り取るのは、様々な愛の“果て”

滅多に手を出さない小説ですが、運命的に出会えましたね、西条公威さん。
あらすじからの期待を裏切らないグロテスクな表現やBLとして読むには幾分厳しい性描写が頻出しますので誰もにオススメという訳にはいきませんが、埋もれてしまっては勿体無い作品だと思いました。

「壊れた身体」を撮るカメラマン〔スペル・イー・エス〕の目を通して切り取られているのは、バランスを崩しながらも愛を尽くしたい人間達の様々な…

4

厄介な連中(7) しあわせな憂鬱 小説

柏枝真郷  如月七生  茶屋町勝呂 

長くなればなるほどに

厄介な連中の第七巻。
五巻で美雪の出生のことや遼一郎の過去があかされて、前回で篤史が少しそのことにふれ、今回は……え、これだけ?という感じでした。

遼一郎のニューヨークでの出来事を少し知ってしまった篤史は、詳しくききたいけどいつものようにベッドになだれ込んで…。
これじゃ、前回からなんら進展していない。
篤史が遼一郎の過去を知ったという点では少し進展かもしれませんが、それだって本当は前…

2

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

運命の出会い、運命の二人、運命の恋に号泣。゜゜(´□`。)°゜。

今作の前に読んだ木原先生の「薔薇色の人生」がとっても面白かったので、同じく人気のある本書を手に取りました。結果めちゃくちゃ面白かったです。文句なしの神評価!


あと、茶屋町勝呂さんのイラストがまた素晴らしい。インパクトのあるタッチが秀逸です!
充(攻め)の膝に跨るように座る啓太(受け)のイラストや、報われない恋に涙する充(攻め)を宥める従兄弟=榎本のイラストが、特に好き。


●「…

16

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

推理小説かと思いました

ハッピーエンドです
木原音瀬作品ではかなり優しいと思いました。

いきなり、人を殺した。というところからこの物語は始まります。
ですが、読み進めていくうちに、あ〜なるほど〜と納得してしまうのが木原先生の面白さだと思います。

ディスクレシアという言葉や意味も初めて知りました。周りの人には理解されにくい難しい問題だなと思いました。辛い過去がありながらも素敵な男性に成長した充くん。
充く…

7

夏の子供 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

心に刺さる作品

「夏の塩」を読み終わった直後に間髪入れずに読み始めて読了しました。
引き込まれる物語です。
小説は時間の流れをうまく切り取ってシーンとしてつないでいくことで、その世界の空気やキャラの思いや関係性を読者に見せていくと思うのですが、切り取られるシーン、会話、モノローグのどれも素晴らしくてどっぷりその世界に浸かった数日間でした。
読み終わった後も何度も気になる箇所を読み返しました。
バッドエンド…

4

夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

言葉を失う体験。

電子書籍で購入し、すごく量がありそうだったのでなんとなく後回しにしていたのですが、読みだしたらもう止まらなくて、他のことが手につかないほど物語の世界に心がのめり込んでいました。
心揺さぶられる作品でした。
小林秀雄の何かの評論に「美は人を沈黙させる」という言葉があるのですが、本当に感動すると言葉は出てこない、という体験をすることができました。

1

造花の解体 小説

西条公威  茶屋町勝呂 

知らなかったこんな恋の形〜サンプリングハッシュ

前半「スペル・イー・エス」シリーズ、後半webサイトよりの掌編、そして書き下ろし作品1点が収録されております。
この前半と後半のテイストの違い、というか振り幅が大きくて、この一冊が見た目の厚さ以上の一つの小宇宙のようです。
後半の掌編たちは、あとがきでの作者様の言葉で言えば、白であり透明でありまたピンク色の淡いグラデーション。
BL未満の、年上の従兄に抱く憧れや、仔猫を抱く友達にお前の方が可…

8

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

胸が詰まるような2人

まず、茶屋町勝呂さんの暗い色合いの、切り絵のような表紙・挿絵の迫力が凄いです。題名の「秘密」との相乗効果で、追い立てられるような、色のない作品世界が迫ってきます。

(ネタバレ注意)

知的障害っぽい攻めと統合失調症っぽい受けの物語。
攻めの杉浦充の障害は、実際はディスクレシア。識字障害というものです。知能指数的には決して劣ってはいないけれど、その違いのわからない厳格で権威主義の父親から…

4

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

名作!

なんつー純愛……
主人公の啓太、クソかと思ってたけど後半で挽回!
愛に満たされてました。
何しろ杉浦の一途さと健気さ!
読み終わるまでに2度、涙を流しました。
2度目に読んだ時も同じところで涙が出る。
名作!

7

弁護士は恋を自白する 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

シリアスになりきれていなくて良い

表紙は綺麗ですが、裏表紙がドロドロしていたため病んだ感じに見えて買ったまま後回しにしていた作品です。
なのですが、読むと意外と明るい作品でした。後半は少しドロドロした展開ですが、そこまで重くなくコメディーに感じる部分もあります。
本編は170ページくらいで短いのに、起承転結に山場やオチ、主人公が相手を好きになる様子や主人公のダンスの能力、業界についてもきっちり書かれていて読み終わったときの満足…

4
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