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一穂ミチ 竹美家らら
snowblack
ネタバレ
「雪よ林檎の香のごとく」に出て来た非常に印象的な人物、栫(かこい)史朗。 彼は人並みはずれて整った容姿と明晰な頭脳を持ちながら、どこか空虚な というより、底なし沼のような得体の知れない人物…… 彼が主人公と知った時、まず思ったのは栫と恋愛ということのあまりの馴染まなさだった。 一方の町村嵐は、大学の生協でアルバイトをしながら 砂時計職人の父の仕事を手伝いつつ修行中の、ごく普通の青年だ…
数ある『林檎』の番外編の中でも、とりわけ好きな一編。 時間は付き合い始めて暫く経ち、志緒は高校に二年生になっている。 体育祭を前にした学校の情景、その中での志雄が桂の視点で描かれている。 生き生きと描かれる高校生達の描写の中、志緒が鮮やかに浮き上がる。 それは、志緒の持つ得難い個性の故もあるし、何よりも桂が見ているから。 そんな中、背筋の伸びた少女・山辺さんが志緒に恋している…
「meet,again.」の番外編。 本編の最後で、嵐は父親から他所での修行を持ちかけられていて、 明らかにそれを決めているシーンこそなかったが 彼がそうする事にしてどこかの町(?)に移り住んだ事は察っせられていた。 志緒には相談したし、美夏だって知っている。 でも栫には言っていない、言えない。 結局大学でのバイトの最終日になって、ようやく電話をかけて栫を呼び出したところ… …
クリボウ
私にとってBLではなかった。 しかし!萌えなくても面白かった。という作品。 読んでる間、ずっと得体の知れないザラザラとした不安感と不快感に抱きすくめられたような気分になりました。 つまった喉をケホッと吐くと砂が出そう。 短めの文が淡々と繋がれて読みやすい綺麗な文章だと思います。 栫の静かな荒廃感漂うキャラクターのみがハッキリと印象づけられるのに対して話は嵐の母の資質・栫の家庭環境を含む生い…
志緒、大学4年生の夏休み。 彼は家族とともに沖縄に旅行に来ている。 本編で生まれた妹美夏も、もう来年は学校に上がる年齢だ。 偶然職場の親睦旅行が同じ時期の沖縄に重なった桂と、南の島で一日だけのランデブー。 離島の空港に迎えにくる志緒、降り立つ桂。 家族が出払った明るい昼間のコテージで抱き合った後は… 桂が「珊瑚の骨を踏んでいるようで申し訳ない」というシーンが好き。 志緒の研ぎ…
志緒の通う高校の男子生徒達が、電車の中で同じ沿線の女子高生達のいたずらにあう事件が続く。 ある日志緒も、見ず知らずの女子高生に耳を舐められ笑われる。 女子高生達にとってはからかってスリルを味わっているただの遊び。 今まで被害(?)にあった男子生徒達は、まんざらでもない気分もあって 事はそれほど大げさにならずに来ていた。 が、志緒にはとてもじゃないけれど理解できないし、許せない。 単…
同じタイトルの絵本があるなー、とまず思った。 黒地にネコが腕組みしている絵の表紙、大人扱いして欲しいヤンチャ坊主の話。 http://www.amazon.co.jp/キスなんてだいきらい-世界の傑作絵本B-トミー・ウンゲラー/dp/457940100X 本編の最後、桂は「明日の朝起きたらキスしてもいい?」と聞いた。 でも夜が明けても、桂はキスをしてこなかった。 経験値の違いをあれこ…
『おとぎ話のゆくえ』の番外編。 本編のあと大学生になった湊は、京都で暮している。 そこには来杉もいて、生まれて初めて若様としてではなく過ごす日々…、 「そして二人はいつまでもなかよく暮しました。めでたしめでたし。」 というのがおとぎ話の定番だが、湊のそれは4年の(6年や9年かもしれないが)期間限定だ。 生まれ育った土地で当たり前だと思って背負っていた荷物が、実は重く窮屈なものであ…
『藍より甘く』の番外編。 故郷に帰って家業を手伝う遥と、時間を作って通ってくる暁行。 ちょっと無理しながらの遠距離恋愛の日々だ。 かなうと思っていなかった恋の成就に、まだ戸惑っているような遥。 くたびれ果てても遥のところにやって来た暁行の、忙しくて伸びきった足の爪を遥が切ってやる。 遥と真逆に決めたらまっすぐ力強い暁行なのに、爪を切って貰うのに照れる様はちょっと可愛い。 切り取…
「雪よ林檎の香のごとく」の番外編、本編の翌日の物語。 新千歳で一泊した志緒と桂が、飛行機に乗って帰京するところから物語は始まる。 心が通じあったものの、何もなく過ぎた夜。 志緒の頭の中を、寝る直前に桂が言った「明日の朝起きたら、キスしてもいい?」という セリフがぐるぐると回っている。 遅刻して辿り着いた学校は、文化祭の真っ最中。 浮かれた空気の中、いつもの学校の中でいつもの教師…