竹美家ららさんのレビュー一覧

すべての日は灯 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

“灯”より官能的な“赤”

ミチさんの新作は、
なんとなく深呼吸してから読むようになってしまいました。
物語の初めの文から、すっと世界に入れるのです。
この度も私の大好きでしょうがない片喰×初鹿野、
甘くてくらくらしました。

カタバミという雑草が江戸時代にホウセンカと混ぜて
マニキュアとして使われていたと百に聞き
人の役に立ってたんだとこっそり喜ぶのがまた片喰らしい。
最初から百の爪に試すのではなく、自分…

6

ちょうちょ結び 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

着物と、スーツと。

美夏の初恋に、自分の気持ちを重ねてみる志緒。
自分にとっては桂こそが初恋で、
片想いだからこそのドキドキを楽しむ余裕も無かった事を
勿体なく思います。
他の人ならきっと一生の内何度も経験出来るかもしれないけれど
志緒は桂しか見えないし、いらないのだから…。

教授のシンポジウムの手伝いでスーツに身を包み、
ホテルでせわしなく働いていたのに
大学の時のゼミの先生と会うと言っていた着…

5

千流のねがい 小説

玄上八絹  竹美家らら 

これは、『SFファンタジー』であり、同時に健気で一途な攻が素敵な話(なんです、私にとっては)。

玄上さんはこれが初読みで、見事に虜になりました。好きです。大好きなんです。

神社のご神体である《きつね》の5体目のレプリカである凜(受)と、参拝に来て偶然出会ったサッカー少年・颯太(攻)との、10年以上に渡る可愛く微笑ましく、そして切ない恋。

↑(レビュータイトル)通り、とにかく颯太が一途で健気です。いいです、この子はホントに好き。攻を好きになること自体ほとんどない私が、手放しで好…

7

二度目の恋なら 小説

高岡ミズミ  竹美家らら 

10年前の忘れ物

高校時代の同級生の再会ものになります。
受け様はゲイで男妾を3か月間していたのですが、その相手が亡くなりその家族に
無一文で住んでいた家を追い出される事になり、受け様の唯一の財産である車の整備を
頼んでいたら、やって来たのが高校時代の恩人であり、片思いの相手だった攻め様。
皮肉な再会に動揺するが、意地っ張りな受け様は覚えていたのに知らないふりをして
攻め様から久しぶりだと言われ、自己紹介…

5

meet,again. 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

meet, again

この愛はプラトニック・ラブだったと思いました。

『愛の起源』を話したと言われているプラトンは同性愛者で『プラトニックラブ』の語源であり、またその言葉は同性同士の愛のことと書いてある記述を読んだことがあります。
同性愛は肉体関係の持てない愛だからだとか…いや、ま、持てますけどね(笑)
私は肉体関係のない恋愛が純粋な愛だとは思っていません。

例えば、がっつり肉体関係(笑)ですが、この主…

3

あまやかなくちびる 小説

高峰あいす  竹美家らら 

健気で臆病な受け様が愛おしい

このお話の受け様はとっても可愛そうな背景があるんですよね。
虐待なんてBLの中ではかなり王道ですが、この受け様の虐待はお腹を空かせた子供に
わざと腐らせたものを与えて、苦しんでる姿を見て笑ってるような手合いと
過ごさなければならなかった受け様はほんとに哀れなんです。
それまでも貧しいながら親子で暮らしていたのに実父を病で亡くし、
母親と二人で上京し、やっぱり貧しい生活をしていたが、母親が…

2

羊とオオカミの理由 小説

杉原理生  竹美家らら 

羊さんもオオカミさんも、お花畑で和みましょう♪

某所で出ていた羊話からの連想で読みました(笑)
杉原理生先生、「夏服」「ハニーデイズ」と私的にはイマイチが続いたのですが、
これは三度目の正直というか、三人目の正直というか
(だって、前二作受けがダメだったんだもん)好きな作品でした。

基本的に作者も後書きで述べているように、ラブコメならぬホームコメディです。

章彦(玩具メーカー勤務、担当はぬいぐるみ♡)は、弟の太一(大学生)と二…

5

雪よ林檎の香のごとく 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

女の生きざま

言わずとも知られている作品。

私は 「葉子」という女の意地物語だと思っています。
お昼のメロドラマです。
女教師と教え子の禁断の恋。
思ってた以上に嵌まってしまう二人。
女教師には 婚約者がいた。
それでも逢瀬を重ねてしまう。
・・・妊娠。
愛してしまった教え子の子ども。
身体を壊してしまうほど想い悩む。
・・・別れ。
婚約者が女教師と子どもを連れて行く。

私は葉子…

4

Summer Tune 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

いつまでも、いつまでも、愛する人々が 欠けないビー玉のようであって欲しい、という願い

夏休み、遠方の法事に出かけた両親の留守の数日間。
大学生になった志緒は、幼稚園児の妹・美夏と二人で過ごすこととなる。
美夏はお兄ちゃんが大好き、
両親の留守も「しーちゃんがいるから平気」と言ってくれるが、
幼児と二人の慣れない生活はなかなか疲れるものだ。

猛暑の昼下がり、庭にビニールプールを広げて美夏を遊ばせていると
丁度差し入れを持って りか がやってきて、水着になって一緒に入る…

4

BLOOMIN’! 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

匂へどもしる人もなき桜花…

「Lie to me」のあと、湊の大学の入学式前後の話。
この2冊の番外編を読んで、湊の進学先を京都にした作者の上手さに改めて舌を巻く。

進歩的で閉鎖的な街、余所者に邪険で学生に寛容な街。
生まれた時から「若様」として特別だった湊も、この街では一人の新入生だし、
なんとか定職なんていう馴染みのないものが続いている来杉も、
普通にうさん臭い余所者だ。

新しい生活に好奇心の眼を輝か…

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