杉原理生さんのレビュー一覧

夜を統べる王 小説

杉原理生  高星麻子 

舞台は華やかな異界へ

杉原先生のヴァンパイアシリーズ2作目。
今作も美形キャラクターが多く、とても華やか。
こちらの巻からでもいけるとあとがきで書かれていますが、専門用語や人物相関図的にもやや厳しいかと思いますので、前作を踏まえた上で読まれる事をおおすめ致します。

前作「薔薇の接吻」でヴァンパイアである櫂の伴侶となった律也。
今作は人間界ではなく、夜の種族達が暮らす世界が舞台となります。
2人の蜜月…新婚…

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薔薇と接吻 小説

杉原理生  高星麻子 

薔薇香るヴァンパイアファンタジー

ヴァンパイア、と言えば耽美な印象がありますよね。
高星麻子先生の麗しいイラストも相まって、こちらの作品も美形キャラクター満載の耽美で美しい1作となっています。
元人間のヴァンパイア×特殊な力を持った大学生のお話です。
シリーズものの第1作という事で、まずは導入といったところでしょうか。

舞台は現代の日本。
主人公の律也視点で物語は語られる。
19歳の大学生の律也は、昔から人ならざる…

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夏服 小説

杉原理生  テクノサマタ 

むずむずするほど甘酸っぱい

・甘酸っぱい
・キュンキュン
・キラキラ
・爽やか
・先輩×後輩ワンコ
・憧れの先輩を見かけたときの胸のドキドキとか、ためらい
・すべてが「初めて」

青春だー!!と叫びたくなるようなのが詰まってます。
こそばゆいほど眩しい。

現在同棲中の恋人とケンカをしてしまった受け。
家に戻る気になれず映画館でオールをした朝、高校生の夏服姿が目に入った受けは、先輩と出会ったあの頃を思…

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夜の寓話 小説

杉原理生  木下けい子 

アンニュイ攻め

杉原先生の攻めが好きです。
本作はじっくりと読める時間的余裕と心理的にムラッとくるようなBLに浸りたい時に読みたいですね。

以前、電子で読んでいたのですが、やっぱり紙で欲しいなと思います。もう、BL本の収納スペースがえらいことになっているので、なるべく電子版にも挿絵付けてください笑

本作は作者の『世界が終わるまできみと』に近いものを感じます。受け攻めの物語ではあるけれど、かなり家族が…

3

恋を綴るひと 小説

杉原理生  葛西リカコ 

静雨の中で

作品全体にしとしとと雨が降っているような、モヤがかった雰囲気があります。
梅雨の時期にぴったりですね。
淡々と、じっくり、静かに進む物語でした。
作品を俯瞰で見ているような…ちょっと不思議な感覚になるかも。
葛西リカコ先生の挿絵が本当にぴったり。

古い日本家屋に1人で住む、どこか浮世離れをしている小説家・和久井と、大学時代からの同期で腐れ縁のような面倒見の良い蓮見。
蓮見視点「恋の…

0

制服と王子 小説

杉原理生  井上ナヲ 

青葉のような良質な学生寮もの

舞台は坂の上にある、全寮制の名門ミッション系男子校・森園学院高等学校という閉鎖的な空間。
大正時代に建設された蔦の絡まる煉瓦造りの旧めかしい学び舎。
胸元にエンブレムを着け、仕立ての良い揃いの制服を身に纏った少年たちが聖書と讃美歌集を手に礼拝堂で祈りを捧げる。
青嵐寮と若葉寮から成る学生寮に棲まう"坂の上の囚人"たち。
やや現実味のない、どこか浮世離れした空間で繰り広げ…

2

錬金術師と不肖の弟子 小説

杉原理生  yoco 

とぼけているのに切なくて

胸がキューっと絞られる様な切なさを綺麗な文体で綴る杉原理生さんがとても好きだったのですけれど、新しいお話を発表しなくなってから3年とちょっと。気にはなりつつも、何となく読めないでいた今作を読んだら……とても良かった。

リクトの一番古い記憶は、7歳位の頃に人買いに捕まえられて奴隷として売られていたところを錬金術師のエレズに買われたこと。それ以前のことは覚えていません。
これは『自分は一体誰な…

7

錬金術師と不肖の弟子 小説

杉原理生  yoco 

BL×100%ガチファンタジーから見える景色

大作ですね。
久しぶりに「読んだ」という感覚。

このページ数に比してBL濃度は薄め。
だけどそれが上品で良い。
そのさじ加減で良い。

あれ?このあたりでBLの香りが漂うんだけど勘違いかな?くらいの奥ゆかしさが丁度良い。
なぜなら、主人公は純真無垢の拾い子であり、高貴で悲運な王子でもあるから。
明け透けにガツガツと見せつけられては、逆に興ざめしてしまう。

男の子たちの「ラ…

7

親友の距離 小説

杉原理生  穂波ゆきね 

静と動なら静の小説だと思う

ダイナミックサスペンスもドラマチックラグジュアリーもコミカルファンタジーもなくて、ひたすらに旧友同士の心の機微が描かれた作品。

リーマンものだけど仕事内容は地味めで可もなく不可もなく、
全体を通して真面目で淡々とした印象。

なのに全然退屈しない。
ちゃんと、引き込まれる。
終始穏やかなのに、底の方から熱量が伝わってくる不思議な作品。

その秘密は、飾りすぎないキャラクター、過…

5

恋の記憶 小説

杉原理生  山田ユギ 

「でも、欲しかったんだ。」

開始後早々に既視感を覚えて、あれ?!これもしかして読んだことある?と思わず自分のレビューを確認してしまったほど、杉原さんらしさに満ちていると思います。
(結局未読だと判明したけど)

静かに淡々と、溢れそうで溢れない表面張力ききまくりな感じ。
そしてある日、もう相手のいない世界は考えられない事にふと気づく……というじわじわの真骨頂みたいな。

こちらの作品は、幼い頃から毎日一緒だったけ…

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