水原とほるさんのレビュー一覧

ピアノマンは今宵も不機嫌 小説

水原とほる  ミドリノエバ 

しっとりとした恋愛話で良かったなぁ。

タイトルから「いつも不機嫌を撒き散らしてるちょっと変わった芸術肌の男」みたいなマイナスイメージを抱いてたけど、読んだら違いました。

攻めの泰介は、ピアノで語る人っていうのかな。
言葉で飾らないから無口なんだけど、内に秘めている豊かな感情を、ピアノを奏でることで解き放つことができる魔法の指を持っている。

そして医者を目指して頑張る苦学生でもあるんですね。
ほんと苦労人なんだけど、挫け…

3

チャイナ・ローズ 小説

水原とほる  佐々木久美子 

読了後に萌えを噛み締められる不思議さ

2006年刊。
子供の頃に香港から流れ着き、成人後は横浜中華街のチャイナタウンでキリトリ(借金取り)として生きている潔は、類稀な美貌を持つ少年・春来(ツァンライ)に一目惚れしてかっさらって来てしまった。
衝動に駆られてさらってきた割りには春来に手を出さず、日々痴話喧嘩しながらの共存生活が5年余り経つ中で、年頃の春来は己の美貌を活かし女装姿で夜の街で働くようになる。
しかし、そんな二人の生活が…

1

夜夜の月 小説

水原とほる  町田九里 

芸術を愛でる水原作品、入門編

2006年刊。
電子書籍にて購入、挿絵あり。
水原さんの作品を読んでいると、絵画の心得でも有るのだろうか?と思う位、よく画家とかアート関係者が登場する。
ちょうどこの辺りから芸術を愛でる水原作品を楽しめる、といったところかな。

但し、水原さん初期作品で避けて通れないのが攻めキャラのDV気質で、今回の画廊オーナー・澤にもその傾向が引き継がれてしまっている。
最初のベッドシーンでサディス…

1

愛の奴隷 小説

水原とほる  水名瀬雅良 

純なすれ違い、10年もの。

タイトルから感じるイメージとはちょっと違うかな…
奴隷でも獣でもなく、ずっとモダモダジレジレが続いて、読者的に「あ〜もうっ!」っていう感じです。
無口で言葉の足りない攻め。
何かと卑屈な受け。
視点は一貫して受けの宏樹なので、僕みたいに足の悪いのがくっついてて彰信に迷惑がかかる、とかそんな事ばっかり延々続くんですよね…
読んでる方は、彰信の方こそ宏樹に執着してて宏樹の思い込みが全くの的外…

2

刹那と愛の声を聞け 小説

水原とほる  みずかねりょう 

攻めの存在感が薄れているような

読み始めてすぐに何かの続編かと思った。
ヤクザとリーマンの恋人同士が跡目争いに巻き込まれていく話だが、出会いから再会までの全てが回想で語られる。その内容は文庫一冊分はありそうなほど盛りだくさんなのに、簡略化されて詰め込まれているため、前提とする別の一冊があるかのよう。しかも過去回想の中でさらに過去の学生時代の回想を始めたりするものだから、読んでいて置いてけぼり感が強かった。

受けの貴生は自…

2

氷面鏡 小説

水原とほる  真生るいす 

表紙を見ると複雑な気分に

電子新刊だが旧作?試し読み一行目からリバ要素を匂わせてくれる親切設計だった。
水原さんはたぶん初読みだが、文章がとても好み。リズムが心地よく、徹底した一視点で視点主以外の描写に適度な中立性が保たれている(たぶん)。感情移入して読むのが苦手なため、客観視しやすいこうした文章がすごく好き。

ストーリーは単純明快、双子の片割れが呪縛から逃れ恋を知る話。
登場時の見城は、自身を傷つけてまで郁を引…

1

面影 小説

水原とほる  タクミユウ 

母没後に実父を探す物語

母子家庭で育った主人公、瑞希。
親戚の付き合いもなく、母が独りで働いて育ててくれていたが、母が癌で死亡。
母の死で抜け殻のようになった瑞希、葬儀も大家の御婆さんが仕切ってやっと終える。
家賃を払う時、大事なものをいれる引き出しの中から古い母の日記を見つけて、実父と思しき男性の名前と写真を二つ見つける。
瑞希は、とりあえず、父を探す事を今後の生きがいにする。
名前と日記にあった場所を頼りに…

1

正体不明の紳士と歌姫 小説

水原とほる  yoco 

大人の真面目なラブストーリー

イラストはyocoさんの大人同士のおしゃれな恋物語。最近の水原作品の傾向です。受けは顔は良いけど性格や趣味が地味でイマイチ女性にモテない30代の平凡な会社員。攻めは受けより2歳年下の30代だけどクォーターで容姿端麗、何だかお金持ちそうな謎めいた人です。友人付き合いが深まっていくと共に自然に恋愛感情も生まれ…さほど大きな障害もなくカップル成立。

少し前に年下の御曹司の攻め×会社員受けの話も読ん…

2

小説の登場人物と恋は成立するか? 小説

水原とほる  サマミヤアカザ 

意外に受けの性格がつかみにくい

優秀な研究者でビジュアルも麗しく、ファッションや日常生活も丁寧系で
文才もあって、陶芸にも手を出しちゃう趣味人で、だけど友達少なめって、むしろ孤高じゃん?
単4電池とか陶芸展の件とか、全て鈍感で片付けるんじゃない、お前はもっと出来る子のはずだ、と思ってしまう。
性格はともかく表面上は出来る男のカズと、これまた嫌味なくらいの釣り書きができそうな攻め様で、むしろ萌えは生まれなかった。

そし…

1

夜夜の月 小説

水原とほる  町田九里 

憎んでも反発しても。でも求めずにはいられない

傲慢な若きやり手の画商と、経済的に困っている画家志望の青年。
画商は、道端で絵を売る青年の美しい顔と磨けば光る才能を見出し、パトロンになる代わりに俺の愛人になれ、と。
も〜うベタすぎる設定ではある。
青年は嫌悪や恐怖や色んな事を考えるんだけれど、結局はどうしても絵を描きたい、と画商に抱かれるわけだ。
画商は少しサディスティックだけど、約束通りにカネも時間もくれる。
そのうち青年も画商の心…

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