水原とほるさんのレビュー一覧

月下の縁 小説

水原とほる  ひたき 

歴史の隙間に「もしかしたら、こんなこともあったかもしれない」。

昭和30年代の中華街、台湾人コミュニティを舞台にしたBLは珍しいですね。硬すぎず、甘すぎない文体でスラスラと読めました。
個人的には、登場する人たちの人物像や言葉遣い、ちょっとしたエピソードなどにもう少し「その時代の世相感」が出ている方が作品世界に入り込めるのに…という気もしました(読む人がサラッと読みやすいように、ということなのでしょうが)。

それぞれの登場人物の生い立ちや家のことなどに…

2

愛の奴隷 小説

水原とほる  水名瀬雅良 

ツンデレ攻め?

水原先生はヤクザ絡みが多いので好きな作家さまですが、萌えにハマるようなハマらないような…で、なかなか決定打に遭遇できず。このお話はキュンキュンしました。

やはり、こういうジレジレが好きで。言ってみたら(両)片思いの状態とジェラシーが萌えだからかな。なので、いつまでたってもハッキリしない曖昧な関係(この場合は遠慮が過ぎて卑屈にも感じる受け?)が苦手な方は御用心。

中学からの同級生モノです…

6

呪い宮の花嫁 小説

水原とほる  サマミヤアカザ 

史実についてはとても正確

非常によく調べてあって、歴史考証が正確だなという印象を受けました。
“呪い”についても、それを成立させる写本(願文)がちゃんとある(漠然とした“呪い”ではない)という設定も、おお……!と思いました。

ただ、それでも「しゅみじゃない」になってしまった理由は2つ。
①受けが少女すぎた
②受けと攻めの会話に入り込めなかった

①については、受けが心を許している妹の前でも常に「わたし」「〜…

4

ヘプタゴンは微笑む 小説

水原とほる  幸村佳苗 

シリーズ化しないのかな

理詰めで事件を追うアクションサスペンスかな。
なんとなく勝手にオカルティックミステリーとかもっとファンタジー設定かと思っていたのですが、全くそんなことはなく、地道な努力で問題に対処するお話でした。
主人公の七生は大学の講師をしながらある秘密組織の一員となっていて、その組織の仕事として公安警察官の鬼防と共にある宗教団体の調査をすることになるのですが…。
「ヘプタゴン」七角形が持つ意味が重要なモ…

3

狐火の夜 小説

水原とほる  タカツキノボル 

掴み切れない男の放つ灯

まず、タイトルや裏表紙のあらすじだけではどんな話なのか見当がつかなかった。
実際には特に奇をてらったものではなく、攻め受け二人の心情を読んでいく内容だった。

大学4年生で親の庇護を受けている身である皐が、図書館で出逢った木津根という男に惹きつけられていく。
木津根の素性を知って住む世界が違うと察した時に、彼への恋慕う気持ちをどうするのか?
その点については、皐が初めて本気で恋した人を想…

2

血のファタリテ 小説

水原とほる  兼守美行 

素直になれない攻めヤクザ

最初はかなり無理やり満載の陵辱プレイから始まりますが、だんだん受けの元耶が攻めの善司に心を開いて行くまでの恋愛模様のようなお話です。
最初は表紙から漂う病みのようなものを感じ取りつつ、あらすじの面白さに丸め込まれて拝読させて貰ったところ…


かなり萌える…はぁ…しんどい…


と言ったところでした。
俺様傲慢ですぐ機嫌を損ねると仕置だ躾だという攻めヤクザ、そんなヤクザに訳あって引…

3

唐梅のつばら 小説

水原とほる  山本タカト 

水原先生の最高傑作です!

間違いなく水原とほる先生の最高傑作だと思います。
挿絵もほのぐらくて雰囲気充分です。

運命に翻弄される主人公、初乃
お父さんの借金でやくざの親分に売られてしまいます。

ほぼ軟禁状態ですが
庭を手入れしていた将太に淡い恋心をいたきますが
打ち砕かれます。

そのあと手に手をとりあて駆け落ちシーンは
はらはらどきどきの疾走感です

後半は将太がかすむほど、やくざの息子悦司…

3

午前一時の純真 小説

水原とほる  小山田あみ 

水原とほるさんらしいストーリーです

安定の水原さん節です!

内気な大学生、史也はうっかりヤクザの鷲谷を助けちゃったのだけれど
それに乗じて鷲谷は慮辱、強姦まがい…

鷲谷は最初から史也が気になる存在なのですが
愛情表現はうまくない。
とりあえず、洋服など沢山プレゼントするしかなくって
でも、あんまり喜んでいないから
欲しがっていたパソコンのソフトをプレゼント
それはありがたく頂いた
史也でした。


そ…

1

司法の男 小説

水原とほる  兼守美行 

気骨のある2人のメンズラブ

「防人の男」の続編です。
前作に続き、視点としては受けの礼一中心。
そして今回の事件は、政財界+防衛省の贈収賄汚職。
礼一はT支部から本庁に復帰します。あんなに渇望していた異動だけれど、T市で出会った自衛官の大守と距離ができてしまう事に戸惑いと不安を抱く。
お互いに仕事を自らの生きる使命のように感じているから、相手第一の生活は送れない。だから恋人という確認の言葉を飲み込んでしまっている………

4

禍と一つ屋根の下で 小説

水原とほる  榊空也 

物の怪と人間の共同生活


怪奇小説家の了則(受け)は散歩していると暗闇から物の怪「肉吸い」の禍(攻め)に声をかけられます。
失恋のショックで寂しさに耐え兼ね自殺しようとしていた了則は自殺を思いとどまり、禍を家に連れて帰り食事代わりに精を与え、禍の話をきかせてもらうことにするのです。
それから3年がたち、その間に性転換した元雪女の小吹雪も住み着いて、三人で穏やかに過ごしていきます。

全体を通して温度の低い話だっ…

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