水原とほるさんのレビュー一覧

ふかい森のなかで 小説

水原とほる  小山田あみ 

乱暴な方法です

深い森=心の檻から引きずり出された主人公
ふかい森とは、主人公が引きこもる部屋。
心を守る城壁でもあるけど、外部遮断をする心を閉じ込める檻でもある。

陰湿ないじめを学校で受けていた主人公、
苛めに誰も気づいてくれない、助けてくれない。
家に帰っても両親は不和、
母親はある日突然恋人と出ていって、
浮気と仕事で忙しい父親は、金は出すけど子供に時間と手間を割くことが無い

誰も、…

1

見初められたはいいけれど 小説

水原とほる  ミドリノエバ 

孤独なふたり

女癖の悪いと評判の取引先の御曹司・ジョッシュ(攻め)の世話係を命じられた澄人(受け)の苦労

たくさんレビューがあるので感想だけ。

両親を早くに亡くし親戚も頼れず養護施設で育った澄人の生い立ちには凄く胸がつまります。
その生い立ちから、人とかかわることを避け、必要以上に普通の生活を送ること
に固執し、そのための努力を怠らない姿勢は感心しましたが、大手企業に勤めそこそこの給料を得るよう…

5

月がきれいと言えなくて 小説

水原とほる  ひなこ 

「手紙」好きにはたまらん

シーモアのあらすじのほうがわかりやすいのでこちらを載せます。

「隣家の前に佇む訪問客に声をかけた高校教師の須賀。
隣人が亡くなったことを告げると、その男・高村は茫然自失! 
実は亡き祖父から手紙を預かってきたと言う。
しかも、隣人もどうやら同じ手紙を書いていたらしい。
半世紀以上も封印されていた二通の手紙には、一体何が書かれているんだろう――好奇心にかられ、手紙探しを始めるが!? 

3

二本の赤い糸 小説

水原とほる  金ひかる 

自身をガニュメデスに例えるのはいかがなものかと…

2011年刊。
大体好みの3Pカップルってのは自分なりに見当が付いていて趣味に合わない予感はあったのだが、水原さんの小説はなるべく読破しようと決めたので。

大企業の跡取りとして仕事を任されている克彦と、大学院内で助教授候補として頭角を現してきている英章に対して、明らかに釣り合わない事でおどおどした印象の一実。
どうやら一実は"庇護欲を掻き立てる受け"らしいのだが、グズ…

0

箍冬 -cotoh- 小説

水原とほる  高緒拾 

続編も容赦ない痛さ

2004年刊、再読。
衝撃作『夏陰』の続編だが、この一冊も容赦ない痛さだった。
岡林も鬼畜一辺倒って訳ではなく、雪洋の様子を見ながら慎重に甘やかそうとする素振りもあるかな?って感じるものの、まだまだ痛いっす。

過酷な状況の中でも岡林に歩み寄ろうと、ようやく彼を「祐司さん」と呼ぶのに馴れてきたところだが、それでも二人の間柄は世間一般の夫婦とはかけ離れたものだ。
濡れ場も満載で、岡林は淫蕩…

1

夏陰 -cain- 小説

水原とほる  高緒拾 

"痛い"水原作品の原点

自分はよく水原さんの小説のレビューで「痛い」と騒いでいるが、その由縁となるのがこの一冊なのだ。
2003年刊、再読。
どうして当時新刊で平積みになっていたこの本を手に取ったか不思議だが、未だに手放さずにいるのもまた不思議なのだ。

何せ冒頭から初対面のヤクザ者にレイプされ、有無を言わさずに囲い込まれて同居を余儀なくされ、強引に周囲の者達にバシタ(ヤクザの奥さん)として認知されていく…
痛…

0

防人の男 小説

水原とほる  兼守美行 

自衛官×検事の重くて硬めのお話

美作は、捜査していた事件が大臣に罪が及ぶ可能性が見えた時権力に阻まれ捜査員は左遷され無罪判決が出た夜、自棄酒を飲んでそのお店で出会ったガタイのいい男 大守と一夜をともにすることに。
その後、自衛官の情報漏洩事件の調査で訪れた駐屯所で対応に出たのが大守陸准尉だったことから公私を分ける努力をすしつつも、あの夜の熱を思い出しては複雑な思いをしてしまうのでした。。

検事や警察官といった職業はお馴染…

0

名前も知らず恋に落ちた話 小説

水原とほる  yoco 

お仕事トラブル描写のほうが印象に残ってしまった……

「彼は優しい雨」が良かったので、積み本の中からこちらを選んでみましたが、あまりピンとこないまま終わってしまいました……

恋愛描写があっさりと淡々としていて、この二人はどうなるの?みたいなワクワク感も特になかったというか。
なにかが足りない感じというか。

最初の引っかかりは、ノンケの受けが早々に攻めとキャンプで触りっこをしたシーン。
いくら自然の中の開放感&酒の勢いとはいえ、早くない…

3

彼は優しい雨 小説

水原とほる  小山田あみ 

しっとりした大人ならではの恋

全編通してしっとりとした雰囲気が漂っていて、良かったです。
東欧文学をきっかけに知り合った二人が、少しずつ少しずつ距離を縮めていく様子が丁寧に描かれていました。

いいなと思ったのは、まったく知らなかったものに出会って興味を惹かれたことにより、自分の世界がさらに広がるといったものが描かれていたところ。

受けはデザイナーで、雨に降られて時間つぶしのために大学の東欧文学の講義に潜り込むんで…

3

見初められたはいいけれど 小説

水原とほる  ミドリノエバ 

小さな幸せに気付けるか

かなり久しぶりに触れた水原とほる先生作品でした。
水原先生といえば痛い系作品が多いというイメージがあったので、作風の変化にまず驚き。
ヒューマンドラマのようなラブストーリーでした。

海外大企業の御曹司・ジョッシュと、そのお目付役に選ばれた天涯孤独の会社員・澄人。
正反対の境遇で生きて来た2人がひょんな事から出会い、関わり合っていく内に徐々に心惹かれていく。

澄人のバックボーンが重…

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