Sakura0904
2巻で翔のことはある程度解決したと思っていたけれど、やはりこの親子がそう簡単に割り切れているわけではなく、仕事にも影響してよりディープな関係になっていました。翔が最終的に枕という手段に甘んじたのは、自分の尻を自分で拭うあくまでけじめという理由だった。けれど、それを恥じてないわけではないし、性的搾取を自ら許したことを受け入れきれているわけでもない。確かに、未成年には少し酷だったかもしれません。それ…
いやぁ、今回もどっぷり濃い話でしたね。香藤の甥で岩城にも可愛がられている洋介と、岩城が昔抱いた女性の子供かもしれない翔。香藤と岩城によく似た子供2人が絡んで、様々な嫉妬や恨みが交錯する泥沼のような展開で、お腹いっぱいになりました。洋介の方はともかく、翔については結局本当に岩城の実子だったということで、抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。ただ、私は芸能界の厳しさ、お茶の間からは見えない汚さを突…
新シリーズになってもやはり波瀾万丈な2人。それでも根っこにある強く太い絆が常に感じられるからこそ、2人の間に何が起ころうが、ドキドキはしても1つの章が終わるまでにはきっと穏やかな日々に戻れるだろうという安心感があります。かつて2人に恋人になるきっかけを与え、優しく見守っていてくれた佐和が、雪人を大切にできていなかったり、香藤に当たったりしたのは残念でした。けれど、長く生きていればいるほど、相手へ…
前巻まで有名な割にレビューが少ないなぁと少し寂しかったのですが、この最終巻にまとめてレビューされている方が多いのですね。安心すると共に、嬉しく思いました。最終巻だからといってやはり甘々にはならず、どちらかといえば波乱ばかりが起きて全然落ち着かない展開となっていましたが、そういう状況になればこそ、人は本来の姿が現れるもの。まずは自分の体調管理を徹底することが相手の幸せに繋がるのだ、という香藤の言葉…
冒頭では香藤がAV男優を始めたきっかけと、岩城と初めて会った時のエピソードが描かれていました。当初の岩城はAVであろうと真摯に演技に取り組んでいて、演技には邪魔な恥じらいもなく、とにかく生真面目さが目立つ。どんな仕事にも真剣な分、友人に頼まれてたかがAVに出てやるだけという態度だった香藤には、冷たい態度で鋭い指摘を入れる岩城。互いにムカついた出会いだったけれど、この頃に岩城に刺激されたからこそ香…
前巻までは冬蝉の撮影と痴情の縺れがメインという感じでしたが、再びそれ以前のような日常が戻って来ます。甘々になるというわけではなく、仕事面の描写が多め。相手の自分の心への侵入をここまで許した今、どうしても仕事か愛する人かを選ばなければならないとしたら2人はやはり後者を選ぶんでしょう。それでもそんな究極の選択を迫られでもしない限りは、2人はとことんまで仕事にも精力的に取り組み、時には失敗し時には相手…
前巻の最後に宮坂に襲われかけ、脅迫まで受けた岩城。彼の性格からしてやはり最初はなんとか香藤に隠し通し、自分が我慢して上手くやらなければと思い詰めてしまう。けれど、そういう考えが長くは続かないところが春抱きのすごいところ。香藤のたわいない言葉から、岩城は香藤がけっしてそういった事実を隠すことを望まない、ということに気付きます。どんなに香藤を傷付ける内容であっても、隠すこと以上の裏切りはない。それに…
宮坂がここまで動くとは。香藤と岩城の深い絆で結ばれた関係性を目の当たりにし、岩城みたいな相手が欲しいという妄執に囚われてしまった宮坂。その辺に転がってればいいけれど、そんな都合の良い誰かが現れるはずもなく、やはり岩城が欲しいという気持ちに変わり。彼の面白いところは、本気で香藤から奪えるとも、岩城の気持ちを自分に向けさせられるとも考えてはいないんですよね。2人の絆が絶対に切れないことは理解した上で…
岩城がダメになった時は香藤が、香藤がダメになった時は岩城が。どちらかの気持ちが迷ったり落ちたりしている時は、必ずもう1人が相手の感情を落ち着いて分析し、温かな目で見守ってあげる。そういうことが自然とできるようになってきた2人の空気感というか、まさに手と手を取り合って生きている感じが、これを伴侶と言わずして何と言うと思わず口にしたくなるような尊さでした。
中盤で、香藤の身を案じるあまり芝居…
今回は岩城の精神的安定感、強さ、香藤を信じる心などがたっぷり拝める巻となっていて、もはやその尊さに平伏したくなるほどでした。序盤の仕事のプレッシャーに崩折れそうになる香藤を、ただ優しく慰めたりするのではなく、冷静に喝を入れた岩城。俳優としてプロである香藤を信用しているからこその行動ですよね。1巻ではもらった役に誇りを持てず腐り、年下の香藤にそれを指摘されていた岩城が、いつの間にか仕事のことに対し…