小野塚カホリさんのレビュー一覧

我れに五月を コミック

小野塚カホリ 

黒いマリア像が見守る先に…

そこはかとなく薫る解放され切らぬからこそのカタルシスが覆う世界に浸れる1冊

表題作+短編で構成されています
表題作前に同時収録の「メガネをかけて」という短編
こちらは商業BLでは珍しいジジ専青年、園田の終わってしまった恋のその後を同年代の男との関りで覗くようなお話し
亡くなった恋人のメガネを後生大事にする園田が健気なお話しです

そして表題作!
こちらは小野塚先生文学とでも言いま…

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美剣士 コミック

小野塚カホリ  団鬼六 

せつない

団鬼六氏の原作をコミカライズされたとのこと。
昔は侍であった大月は脱藩して盗賊の用心棒となっている。大月に剣の指南を受けた菊之助は、大月を探しに出る。殿の寵愛を受けるかわいい菊之助 (名前 :-)。
お互いに慕っているにもかかわらず、なかなかその本性をさらけ出せない。
実は、江戸時代の方が今よりも衆道に理解があったのかもしれませんが、そこはそれ。

盗賊のいじわるというか助けというかで、…

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虜囚 コミック

小野塚カホリ 

ゾクゾクするのが楽しみ

独特なストーリー展開が魅力的な小野塚カホリ先生の作品。
ラブラブなハッピーエンドとか、王道ものからは外れた異彩。
いつも、どんなゾクゾクがあるのか楽しみに読んでいる。

どの短編も面白かったけど、、、
「ぼくはね」
ふたなりの編では、胸があるの描写は初めてだ。
正直〜主人公に、胸がある描写は好きではないなぁ〜。
けど、男でも女でも無い、子供を作る事もできない、産む事もできない。

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恋愛をしてもセックスをしても、すべて虚しい少年のためのポルノグラフィティ コミック

小野塚カホリ 

自分を理解するのが一番難しいかもね

 このけっして糖度の高くない、熱量もどちらかといえば低い、どこにも気持ちのやりようがないような、けれど誰にでも経験があり共感しやすいストーリーは、小野塚先生の年代の漫画家さんにしか描けなくなってきているのかなぁと感じます。タイトルにもある「虚しい」という言葉が一番しっくりきますね。片や自分勝手な人がいて、片や我慢をしてしまう人がいて、倫理道徳と欲求の狭間で葛藤している人がいて。BLも絡めつつ、各キ…

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コミック

小野塚カホリ 

すっきりしたようでちょっと寂しい余韻の残る短編集

◆夏が来れば思い出す
 こういう題材好きだなぁと思います。死が1つのテーマになっているけれど、重たい終わり方ではなくて、希望も持てる終わり方になっていて。心臓が悪く亡くなってしまった池谷。沓澤は自分が気持ちを伝えたせいなんじゃないかと後悔していたわけですが、生前の池谷の言動を他人から聞くことで、彼も自分の意思で応えたいと思ってくれていたことを知る。もう彼は戻ってこないけれど、恋愛経験のなかった人…

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深夜少年 コミック

小野塚カホリ 

思ったより爽やかだった

◆欲望は立ったまま眠っている
 片想いものですが切ないトーンではなく、最初こそ意中の相手にそういう対象としてまったく見られていないことに悶々としているものの、終盤にかけて積極的に迫ってやる、という気概を見せてくれた小日向に好感が持てました。伊勢谷もなんだかんだまんざらではなさそうで、この2人がくっつくのは意外と早いかもしれませんね。

◆深夜少年(表題作)
 表題作でありながら最後に収録さ…

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燃ゆる頬 コミック

小野塚カホリ 

最期はきっと綺麗な思い出に

 耽美な雰囲気が全編に亘って漂っていました。儚い青春の中で輝く少年達に、小野塚先生のタッチがとても合っていますね。三枝が美しいのはもちろん、主人公の少年もあどけなさが残りつつ、大きな瞳が愛らしい美少年。三枝に心酔していく彼のいじらしい葛藤や、歓喜に共感できました。

 初めて三枝が主人公を誘った時、彼の大人びた仕草が目立って、きっとからかっているだけなんだと感じたんですね。実際、彼自身も最初は…

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僕は天使ぢゃないよ。 コミック

小野塚カホリ 

痛めつけられ模索しながら居場所を見つけようとする男達

◆「僕は天使ぢゃないよ。」(表題作)
 いわゆるクズ攻めの関と、彼になら何をされても構わないというポチ。こういう組み合わせの場合、一見受けの方がずっと可哀想に見えるのだけど、関係性をより深く掘り下げていくと、実は攻めの方が不安定だったりするんですよね。ポチは無体をされれば悲しむけれど、関さえ傍にいてくれればいい。でも、孤独を暴力や言葉で覆い隠していた関は、少し突かれれば簡単に崩折れてしまう。傲慢…

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夢のまた…夢 小説

剛しいら  小野塚カホリ 

ミステリとオカルトそしてサスペンスの融合と高揚

剛しいら先生の1998年発表作品。
内容は、一言で言うと「複雑怪奇」。
過去と現在が交錯し、その上憑依と多重人格が絡まる不可思議な物語。
私は個人的にホラー系・オカルト系が好みなので、この作品はドストライク的!

まず古物商の矢島。
続き、SM小説家の羽田。
相次ぐ不幸。
葬儀を担当する溝内葬儀社。死を知らせてくる若い男…
矢島・羽田の両方の葬儀に参列するは、溝内の恩師・的場。

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美剣士 コミック

小野塚カホリ  団鬼六 

死をも恐れぬ覚悟はやはりこの時代の美徳

 原作の方は未読なのですが、BLではなかったものをBLとしてリメイクした作品だそうですね。『美少年』とはまったく繋がりのない作品ですが、あちらで団先生と小野塚先生の掛け合わせがどういう風体になるのかは察していたので、やはりこの作品でも予想通りの耽美さを味わえて至福でした。移り変わる時代とそう簡単には変わらぬ武家社会の掟との間に捕らわれて、時折足掻きながらも相手への純情を貫くために覚悟が据わっている…

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