かわい有美子さんのレビュー一覧

君と僕と夜の猫 小説

かわい有美子  笠井あゆみ 

個人的にはあと一歩欲しいかなという印象

京都BLに飢えていまして、何日も前から書店を覗いて楽しみに待っておりました。
やはり色々読んできて、京都といえばかわいさんだなあという感じでしたので、表紙もエロくない笠井さんで嬉しい!にゃんこも可愛らしい。

で肝心のお話ですが、個人的にはあと一歩欲しいかなという印象です。
三十路だし土地柄こういう静かなお話はたまらないのですが、結局きっかけは何だったの?という感じで、話というよりも感情の…

8

君と僕と夜の猫 小説

かわい有美子  笠井あゆみ 

京男の粋

かわい有美子さんの京都BL、そして挿絵が笠井あゆみさんと来れば手に取らずにはおれません!
期待通り京都の魅力が詰まった一冊で、笠井あゆみさんの美しい挿絵も堪能できました。

京都で小さな刃物店を営む夏生(受け・30歳)と、近所の町医者・智明(攻め・32歳)は幼馴染み。

「なっちゃん」「智ちゃん」と呼び合い仲の良い二人ですが、京男同士故か?
互いに容易には本音を口にせず、なかなか恋愛に…

17

墨と雪 小説

かわい有美子  円陣闇丸 

臆病な白蛇と黒い鷹

かわい先生の警察シリーズ。
凄く好きなのですが、この作品に至っては購入を躊躇ってました・・
理由は2つ。
①受けの篠口が他作品では余り好きじゃなかった
②痛々しいシーンがあるらしい
ーー結局我慢出来ずに買ってしまいましたが、読後は「早く買ってれば良かった~」と唸るくらい、本当に購入して良かったです。

まず、①についてですが。
失礼ながら、『甘い水』を読む限り、篠口って嫌みなインテ…

6

空色スピカ 小説

かわい有美子  小椋ムク 

清泉学院シリーズ(1)

シリーズの記念すべき第一弾です。青春群像劇としては面白かったのですが…うーん、今いちハマりきれませんでした。

シリーズ最初の作品のためか、設定上の説明文がまぁ多かったです。これは私がシリーズの別作品を既読のせいも多分にあるでしょうが、それにしても総文字数の割に二人の恋愛にまつわるエピソードが少なく、代わりにこの世界観における学院や生徒会とそのメンバーのコンセプトみたいなものが何度も語られて、…

2

世界の半分 小説

かわい有美子  葛西リカコ 

両親と兄の仇に惹かれるまで

小国の第二王子だったカイ(受け)は、母国が大国に攻め滅ぼされる時に父王たちから女性の格好をさせられ逃がされた。しかし敵国の皇子エルヴァンに捕らえられ、女装していたため亡き姉姫アイラとしてエルヴァンの後宮へ入ることに。両親や兄を殺した憎き相手。しかし伽を強要せず、穏やかにカイを気遣うエルヴァンに徐々に惹かれていくカイだったが…。


まず相手は両親と兄を殺した人物で、自分は女だと思われていると…

4

星屑シトロン 小説

かわい有美子  小椋ムク 

清泉学院シリーズ(3)

「空色スピカ」から始まるシリーズの第三弾。作中の時系列では一番古い世代の二人が描かれていますが、前二作を知らなくても読める内容になっています。私は「流星シロップ」のみ既読の状態で読んだので、峰と衛守が思ったより登場していてちょっと嬉しかったです。

前作でしばしば「伝説の世代」と書かれていた弾正と堂本のお話なので、一体どんな強烈なキャラクターなんだろうとワクワクしながら読み始めました。が、結果…

0

上海金魚 小説

かわい有美子  花本安嗣 

異国での恋

シリーズ続編に当たる「透過性恋愛装置」を先に読み、滝乃×佑季の作品があるとな!?と思って読みました。「透過性恋愛装置」ではすっかり落ち着いて同棲に踏み切ろうとしていた二人の出会い編は、しっとりと、エキゾチックで、優しく、ロマンティックなお話でした。

滝乃も佑季も穏やかな男性ですが、ビジネスマンとして必要な強引さや頑固さを備える滝乃に少しずつ心を委ねていく佑季の様子が、本当に花が綻ぶようで微笑…

2

いとし、いとしという心(2) 小説

かわい有美子  南田チュン 

攻の必死具合が気の毒になる

いやぁ……前回、見事にモヤモヤエンドだったので、今回は素敵にほろ苦エンドでとっても良かったです。
無駄な甘さはなく、最後は静かに甘い。
苦いお抹茶を頂いた後に、落雁食べた時のような……そんな感じのいい塩梅でした。
甘酒と塩昆布みたいなね。甘すぎず、苦すぎず、しょっぱすぎず。

作品世界は相変わらず和風で、情緒の塊のような空気感です。
そして、ストーリーに抑揚は本当にありません。
こん…

4

いとし、いとしという心 小説

かわい有美子  南田チュン 

表紙から漂ってくる色気

京都老舗旅館跡継ぎ息子×京都老舗紙司跡継ぎ息子。
徹底的な攻の片思いで滾りました。
腹黒キツネ×強気兎とでもいいましょうか。
流されるかと思えば、容赦なく攻をひっぱたいてみたり、振り払ってみたり、そのくせ妙に色気があってエロかったりと、もうすごい何なのこの魔性の受。

内容全然甘くないのに、お腹いっぱいなんですけど!

続きがあるので、この巻ではまだ曖昧な関係のまま。
受はひたすら…

3

墨と雪 小説

かわい有美子  円陣闇丸 

不思議の国の眠り姫

「男にとって好きになった相手はいつだって姫君だ」って、犬飼ののさんの「裏切りの薔薇」で攻めのレイザックが言ってました。けだし名言だと思います。常日頃およそその言動からはロマンの欠片も感じさせないような男であっても、胸の奥底にはそんな柔らかい思いを後生大事に抱えていてほしい。

 本書の攻め、黒澤一誠も、公安警察のキャリア官僚で、齢39にして理事官の出世頭。切れ者すぎてモンスター呼ばわりすらされ…

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