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百と卍 6 コミック

紗久楽さわ 

葛藤の中にみつける、1番欲しかった愛の姿

大好きな「百と卍」シリーズ。
レビューもこの作品だけは書きたくなって、書いてしまいます。
まさか百と卍に続き、千と兆まで描ききってくれるとは、紗久楽先生の並々なら意欲と、そして百と卍とは真逆の世界の男同士の情愛を描き切ってくれる筆力に感服いたしました。
しかも!!!!!!
こんな素晴らしいハピエンと、特装版おまけ漫画の破壊力!!!!!

難しい、などの意見もあるみたいですが、これだけのストーリーをBLとして一冊にまとめて下さったことに対して、満足感が私は凄くありました。
これを読んでからまた漫画を読み返すと、兆や千の見え方がまた変わってくる気がします。
いや絶対に、最初から沼でしたがさらに二人のことが愛しくなりそうです。何度もまた読み返して噛み締めていきたいです。

ヤクザ者の魔窟で、千が受けた「とある依頼」からお話が広がり、後半に伏線が回収されるところなども鳥肌が立ちました。
兆、千、今は亡き億政の過去や感情が絡まり合い、やっと千が兆に、心を″奪われる″瞬間は、さまざまな葛藤が彼の中であったなかで、やっと吐露できた心の機微がきちんと描かれていたことで、ストンと腑に落ちて大層泣けます。そのページの絵があまりに美しい。

そしてその後にはあのイチャイチャ温泉ターンや、酔っ払い兆の和やかな笑顔が見られるんですよ?!
ご褒美の大洪水でした。
兆さん、体が丈夫でよかったね!!!
千が実はけっこう世話焼き攻めになっていきそうなのも◎
散々、兆を困り眉にさせたのだから、きっちり今後は存分に甘やかしてほしいものです!!

百と卍 3 コミック

紗久楽さわ 

あまりにあまりに大傑作

1巻の発売から色褪せない、さらに輝きを増す第3巻です。

紗久楽さわ先生の登場で、BL漫画に江戸ものが増えましたが、こんなに他の作家さんに影響を与えてしまう紗久楽先生の力に驚きを隠せません。
どの漫画にも紗久楽先生への憧れといいますが、
「百と卍」の世界観への傾倒や陶酔を感じます。
すごいことです、紗久楽さわ登場以前、以後がすっかり塗り変わってしまいました。
着物の描き方や、髷の描き方……。
紗久楽さわ流、風がスタンダードになっていくのでしょうか。

そして先生が生み出した「百と卍」の二人がまるで本当に恋をしあって、暮らして、悩んで、睦みあって……そんな実在感があまりに優しいです。
えっちです……可愛いです、たまらないです。
百のお尻、もう成長しまくってますね?!?!
卍がいっぱい揉んだからかィ?!?!すけべだね!!!

新キャラの兆と千、さらに火消し連中と、江戸のいい男たちがさらに絡み合って、次巻は何を見せてもらえるのか、楽しみでしょうがありません。
一生続いて欲しい……!!

個人的に祝さんの登場が再度待たれます!!

百と卍 コミック

紗久楽さわ 

はじまりの美しさ

二巻が出たので読み返しました。
ちょっと読み返すつもりがいつも、のめり込んで
最後まで流れるように読まされてしまいます。
そして毎回、湧き上がる感情が優しくせつなく、甘酸っぱいです。
醒さんとの決別シーンや、卍との喧嘩からの仲直りで、泣いてしまいます。
色っぽいシーンの百ちゃんのおいどに笑みがこぼれ、卍兄ィの艶めかしさに息を呑みます。

百と卍の二人の日々を淡々と描き、
お互いの愛情だけでなく、
これだけ二人のことを読者に愛させてしまうのは
並みのことでは無い才能の作家さんだと思います。
もはや受けとか攻めとか、そんなカテゴライズでははかれない、百ちゃんと卍兄ィというその人たち自身が生きているとさえ感じます。
きっと江戸の町にいるし、いたんだと思えます。

この作品がさらにひろくいろんな人に読まれて
愛されることを大事に祈るばかりです。
手にとって損は微塵もありません。
自分の好みにあったとしても、合わなくても、
かならず心に何か痕跡を残して行く、稀有な作品です。

百と卍 2 コミック

紗久楽さわ 

慈しみ、愛のカタマリ

百と卍の二人。
恋敵となる千と、死んだその元恋人。
祝の叔父貴に、火消しの仲間たち。
長屋の婆ちゃん、手習いの子供たち。
誰一人無駄な人物がなく、みんなが百と卍の生活を彩っている。
漫画は白黒の世界だが、百と卍の世界は画面も人間模様も色鮮やかだ。

逞しく、天然で、可愛い百。
今回の話では辛い面が見えた卍。
でも彼は歪まなかった。ずっと「すがりたかったもの」に一途な気持ちがあった。
一途さはまったく似ていない違う二人が持つ
似た性質なのだと、心がキュンとした。

二人を繋いだ「しあわせ」のかたち。
この答えを見て、作者は暗い話に持って行く気は無いと思った。

強かったり、弱かったり、清濁併せ呑む、
江戸男子たちの愛の生き様を、きっと次も描き切ってくれるだろうと信頼ができる。
あまエロスで、ゆるやかで、しあわせの空気が
ずっと溢れて止まらないのだ。