王道ではない。けれど、刺さる人には凄まじく刺さるファンタジー
この作品、答えて姐さんの「小説憩い場」の方で絶賛されておりまして……
「おうおう、そんなに言うなら吟味してやろうじゃないの」という、半ば挑戦的な気持ちで読みはじめたのですが、、、ガツンとやられました。
陳腐な感想しかいえなくて歯痒いのですが、「すごく良かった…」これに尽きます。
ただ、多分攻めと受けの人物像からなんとなーく一般受けしないんだろうなあ…と思います。攻めは序盤放蕩者の印象ですし、受けは とにかく逞しいんですよね。肉体的にも精神的にも。わたしは二人とも大好きでしたが、、、
この作家さんの小説をこの作品以外存じ上げないのでなんとも言えないのですが、すごくファンタジーと調和した文体だと感じました。登場人物の会話も、どことなく翻訳物っぽい雰囲気で小気味よく、自分に合っていて良かったです。
そして、ハイ・ファンタジーものではありましたが、現実世界の、特に中世ヨーロッパの雰囲気にリンクしているシーンなどもあり、すごく楽しめました。
おそらく作中で出てくる神話の話は創作神話だと思われるのですが、現実世界の神話についても、きっとよく勉強されているんだろうな〜、と。ま、私は詳しくないので偉そうなことは言えませんが…。
BがLするためだけに作られたハリボテの世界観ではありません。
正直、よくある
"為政者のくせにちゃんと政治してるのか疑わしい頭の中受けのことしかない恋愛脳な王子様と、何も特別なことできないのに何故かモテモテな健気だけが取り柄の受けが結ばれるファンタジーBL"(表現が暴力的ですみません…)
みたいな小説にはうんざりしていたので、しっかりと骨太なハイ・ファンタジーBLが読めて大変満足致しました。しばらく他のファンタジー作品は読めそうにありません。
すすめて頂かなかったら恐らく出会えていなかった作品です。新人さんのこういった優れた作品はどんどん紹介してほしいと思いました。