攻めのライルが落馬して植物人間のような状態になってしまい‥‥というところが今まで読んだことない!ということで面白かったですね。
どーせ何もわからないだろとぞんざいな扱いをする人々ばかりのなか、ただ一人、名前を呼びかけ、語りかけ丁寧な介護をしてくれたのが受けのリク。
ようやくライルが意識を回復し、あのお世話をしてくれた青年は誰だ?とひたすら探すもすれ違い……。そしてすれ違いが長い。
後半の攻めのおかーさま・リハームが非常に印象深く、裏の主役といってもいい存在感だなと思ったら、あとがきに「まず最後のリハームの話を書いてから物語を作り始めました」とあり、超〜納得。
初読み作家さんですが、残念ながら文体が私には合わなかったです。
「〜なリク。」「〜なライル。」「〜な二人。」「〜ドアの隙間にリク宛の手紙。」「そう言いながらも豪快に笑うシーリン。」のように状況説明の文章で体言止めがちょいちょいありました。
作家さんの癖なんでしょうね。
会話文ならまったく気にならないのですが、状況説明している地の文章での体言止めは他の商業BL小説ではまず見ないので違和感がすごかったです。
作家さんが脳内で喋ってる文章をそのまま読まされているというか、どことなく悦に入って語る講談のように感じてしまうというか……。
「転生したら竜族の王子に猛愛されてます」というタイトルから、自分が転生したことを自覚しているのかと思いましたが、主人公のハルトは自分が輪廻転生者であることは知りません。
だから攻めのアレクシスには、愛する婚約者を亡くした過去があると知り、その亡き婚約者に劣等感を抱いたり嫉妬したり……。
ハルトは努力家の下っ端事務官で、王子とは無縁の世界のはずがなぜか王子自身に「あやしい」と目をつけられてしまいます。
なにが「あやしい」のか訳がわからないまま王子自身に観察されるハメになり囲い込まれてあわあわする。
そこが面白かったです。
でも「はわわ」と慌ててるところがあり、「はわわ」はねーだろ…とも思ってしまったけど。
「猛愛」とあるけど、王子自身もハルトを「あやしい」やつとして扱っているため、最初はそこに愛情は感じられないけれど、それが次第に変化していていくところも良かった。
後半、愛に暴走しがちなアレクシス王子を唯一諌めることができる有能脇役キャラであるヨハンネスの存在が好き。
あらすじにもある「イオはルキウス王の暗殺の命を受けイリア王女に同行することに」という肝心要のところが納得がいかなかったので、ちょっとモヤモヤしつつの読書でした。
だってノースガルトのルキウス王を暗殺した後、どーすんの??って。
暗殺者であるイオが死んで終わり!ではなく、絶対に絶対に絶対に国に攻め込まれて、国が滅亡させられるにきまってるじゃんと思ったんですよね。
サザンランドが攻め込まれても全く問題のない大国ならいざ知らず、サザンランドの国王はぼんくらだし、ノースガルトのほうが技術力も上回る大国。
勝ち目のない戦争へ持ち込むための大義名分を相手にみすみす与えてどーするよ……と思ってしまって。
国の命だからと悲壮感満載で相手国へ乗り込むイオには悪いけど、イオも少しはそこらへん頭使って考えなよ……とか思ってしまい……。
そこがどうやっても納得いきませんでした。
でも、ドラマチックなお話とみずかね先生の美麗なイラストが楽しめました。
裏表なく真面目で一直線な攻めに愛されて…というお話でストレス無く楽しめました。
受けのセノは娼館育ちの男娼オメガですが、本番行為は禁止のお店なので処女、そしてキスはNGで基本的に話術で爺様たちの心を掴みエロ行為もさほどしてない感じなので、そこまでの悲惨さは感じさせず…
従兄弟に連れられてやってきた生真面目な攻めのイルドネは、セノに仕事と父親との確執を打ち明けるんですね。
で、きちんと話を聞いてくれるセノに惚れ込み結婚前提のお付き合いをしてほしい!と頼み込むんですが、セノは、いやいやいや…いいとこのおぼっちゃんととじゃ釣り合わないし、頭冷やしな…とあしらうも、まったくイルドネはめげないんですよ。
ウザくはない程度に、でも最大限の求愛をしつづけるんです。
「イルドネはただまっすぐ進んでいく。そういえば、光はくねくね曲がることなんてないんだった」ってセノがイルドネを評して思うここが好きですね。
ほんとーーーーにまっすぐなの。
しかも裏表がほんとにないの。
めちゃ良き年下攻めだったし、聖騎士ということで童貞だったところも高ポイント!
きな臭い噂が絶えない政略結婚相手の実情を探るべくセノがあれこれ動いて情報収集するんですが、癖の強いおじ様たちの心を掴んで味方につけていくところが良かった。
結婚に猛反対していた攻め父も、話の通じないクソ親父ではなく、それどころか自分も過去、オメガに猛アタックしてたとか、親子揃って…なところもあり、なかなか味のあるキャラでした。
攻めの一城は甘えたがりなのにそれを封印して、俳優業に全力で取り組みクールなキャラを確立させ、他人にはつけ入る隙を見せずあれこれ我慢して頑張っているお方。
それがプライベートになると、たがが外れたように全力で受けのヒナに甘えまくるんですよ。
ヒナも一城の頑張りを知ってるからこそ、せっせとご飯作ったり甘えさせたりしてて男前。
とは言うものの言葉巧みな一城にのせられるまま、住み込みのハウスキーパー始めちゃうし、演技の練習に付き合わされてキスだのエッチなこと許しちゃうんですよね。
えーっ、いくらなんでも騙されホイホイ過ぎない?と読んでてテンションがちょい下がったけど、最後の方でそーだったのね、と。
だから再読のほうが楽しめるかもしれない。
それにしてもこんな甘えたがりなのに、ヒナと再会するまでよく頑張ってたねぇ…
二人の高校時代を振り返って言う「俺の青春は、ヒナの弁当箱に詰まってる」ってのがまさに!で良かったな。
小中先生の作品ですが、終始ほのぼのとしてて良かったですねー。
攻めのナタンが浮世離れした美貌の魔王様なんですが、なんとDTなんですよ!(狂喜)
なぜなら魔王になるための英才教育を受けていたので、恋愛するヒマすらなく育ったという有難い設定。
普段はさすが魔王様って感じの威厳ある感じなのに、受けの伊折の手をうっかり握ってしまっただけで、オタオタ、モゴモゴ。
せっかく二人がいい感じになっても恋愛初心者同士なもんだからモダモダしまくりなんです。
これがめちゃくちゃ甘酸っぱい!!
も〜!こいつら何やってんだ!!と存分にニヤニヤさせてもらいました。
家庭にも会社にも居場所が見つけられなかった伊折が、異世界で自分の居場所を作って変わっていく様子も良かったです。
ちびっこ達や、ヴィンセント・ユリ組との生活も良かった!
「受けちゃん同士が仲良く過ごす」様子萌えがあるので、この作品はそこも楽しめました。
童貞攻めが大好物なので、さぞや童貞丸出しか?とワクワクしてましたが、まさかのスパダリ感!!
あれれ?と思ったら、その次の展開がまさか!でめっちゃ良かったです。
ナタン、か〜わ〜い〜い〜!!!!!!
攻めがかっこいいのに可愛くてキュンキュンしました。
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あとがきで 「自分の作品にしばしば現れる『攻めがヘタレ問題』は、真剣に解消したいと思っております。」とありましたが、どうか解消なさないでください!!(土下座)
というか、小中先生=ヘタレ攻め多いという認識はまったく無かったのですが……??
パッと思いついたのは、ラプンツェルのあいつくらい。(あいつ呼ばわりしてもバチは当たるまい)
むしろもっとヘタレ攻めが多くても困りません!!
攻めが前髪ありの長髪、しかもまつ毛のカールが綺麗に決まってるせいで、BLのBだと理解してても、え?これ女子では??となる瞬間がしばしありました…
もちろん表紙では特に女子とは思わなかったし、なんでだろ??と中の絵を見て気づいたんだけど、美形ということだからか、まつ毛がやたら上向いて描き込まれているんですね。
表紙にも三角形の黒々としたまつ毛がありますが、下から見上げた構図ということと、情報量が多いこともあり視線がバラける。
それに対して漫画だと顔だけのシーンとか、下から見上げた角度でもまつ毛がしっかり上向いてるとオネーサン?!となってしまう瞬間があり…
さて、中身についてはまさかの再会ものだったけど、そんなんでここまで好きになるのか?と思ってしまったり、ヘビーな出だしかと思いきやライトなノリでした。
同時収録の超短編は体毛濃ゆ濃ゆおじさん受けでインパクトがありましたが、唐突過ぎて、この組長とやらはタイトル作品のスピンオフか?(受けが取り立て業やってるから、裏社会的な繋がりの)とかなり戸惑いました。
おまけして萌で。
健気なワンコ攻めが読みたくて、攻めの属性で「ワンコ」「健気」にチェックして検索したらヒットした作品がこちら。
でもその当時は電子化されていなかったので見送ったのですが、最近ようやく電子化されたので読んでみました。
舞台は大学の相撲部。
なんと受けの泉田は相撲部員。
でも、おデブさんではなく細マッチョの黒髪キリリ系。
そんなキリッとしたお顔に性別超えて一目惚れしてしまったのが真木。
真木はゲイってわけではないけど……と自分でも戸惑いながらも、泉田に会いたくて泉田が通う理系部がある「緑の孤島」と呼ばれる僻地へ足繁く通います。
真木がいいワンコでしたね。
ゴールデンレトリバー系で周りを明るくする雰囲気がある。
誰とでも屈託なく素直に接することができるので、相撲部の先輩たちからも可愛がられているし。
お互いノンケ同士でしたが、わりとスムーズにくっついたのでライトな雰囲気。
後半は受けの泉田視点。
俺は性に淡白なはずだったのに男に抱かれて気持ちよくなっちゃってるし、まさか淫乱だったのか??と悩んでます。
「パリピな狡猾ワンコ攻」ってどーゆーことなんだ??あらすじからしてもワンコじゃないだろ??新しい世界が開けるのか?と思いながら読み始めましたが、ワンコ感は皆無。
それどころかモブ男との絡みや、元カノ(いい子ですが)まで登場するし、恋心をうっすら自覚してからもモブとのエッチを匂わせたり、女の子を惑わしたりしてるので、攻めのヤリチン力が半端ないことがわかります。
コミュ力高めで来るもの拒まず去るもの追わずな攻めが、純情な受けと出会ってペース狂わされて初めて恋を自覚するみたいなやつなんだけど、なんかイマイチ攻めが信用ならないというか……。
あらすじに「ワンコ」と書いたのは編集さんでしょうか?
わんこ攻めの本を少なくとも五千冊は履修してから出直してこいって感じです。
一巻では到底足りなかったですね。
お互いに孤独を抱えた殺し屋×盲目の青年という二人が出会って……というお話で、なかなか読ませるものがありましたが、雰囲気漫画の枠を出ていないような気がします。
殺し屋稼業もふんわりしているし、殺せないのに仕事していない間はどうやって食べてきたのとか、妻さえ殺す千夏の父があっさり消えるはずはないだろ…と思ってしまったり、銃やナイフを持つことができない、つまりそういう事には圧倒的に向いていない千夏に殺し屋稼業を強いる父って意味不明と思ってしまったり、細かな疑問点が……。
時代も大正かと思いきや、現代っぽいし……。
とまぁ、??マークが頭のなかに湧いてしまうところちょっと残念でしたが、初めての漫画ということなので不慣れなのかもしれませんね。
でも、二人の間を取り持つ絵本や、キラキラと明るい水族館のシーン、暗い海のシーンから夜明けの描き方といったところや、明暗の見せ方に物凄いセンスを感じました。
今後が楽しみな作家さんです。