BLを読んでいると、まつげの長さに代表されるような(笑)相手を意識するポイントがあって、「かわいい」と気持ちを自覚したり募らせたりします。
そこで共感するよりも、「ここはかわいいと思うところなんですよ」と誘導されたような冷めた印象をもつことがあります。
そうなると作り物の世界と向き合っている距離感をすごく感じ、最後まではまれません。
マミタさんの作品はどれも登場人物が「かわいい」と発すると「そんなお前がかわいいよ」みたいな感覚があって、次第にその人物をとおして相手もかわいく見えてきます。
「かわいい」が自然としみこんでくる感じで、キャラに共鳴しながら読めるとやはりおもしろさや印象深さが違います。
特にこの作品の攻め青天目さんが受けのしろさんに言う「かわいい」は、上司だしふだんはミスを叱っているし、遠慮もある中でどうにもふわっともれてしまう感じがしてたまりませんでした。
青天目さんはしろさんのスーツ姿も女装のときも好きって感じですが、しろさんのほうは素のときはまだすこし戸惑いがある感じだったので、続きがあれば嬉しいなと思いますが、年齢や立場、見た目などから『40までにしたい10のこと』が似た感じなので、スーツのふたりのその後もちゃんと幸せだろうなと思います。
まずさいしょに良かった点を挙げておきます。
絵はきれいです(ただし着物や体がおかしいときはちょくちょくあります…)。
ライバルでもある兄弟子さんのお芝居は迫力が伝わってとてもよかったです。
ここからはしょっぱい感想です。
一言で表すなら「ごちゃごちゃ」とか「めちゃくちゃ」。
まず展開がありきたりなネタのぶつ切り詰め合わせという感じ。
男同士だと子どもができない悩み、兄弟子の嫉妬、仕込まれる媚薬、不慮の事故、やたら勘がよく解説役も務めながらスムーズに話を進めてくれるカモフラ元カノ、実は過去にあの人とあの人も……などなど、とにかく使いたいエピソードモリモリてんこもりにしましたって感じ。
あまりマジメにツッコむもんでもないかもしれませんが、そのケガで車椅子になるか? 看護師さんそんなとこで噂話しちゃう? (のちに誰のことを話していたかもバラしているけど個人情報どーなってんの)、そしてあーこう誤解するんだろーなーハイキタ、すぎる展開あたりはかなりしんどかったです。
でもって公演直後の楽屋、なぜかフリーパスで出入りできちゃう舞台、障子1枚隔てただけの部屋など、誰からものぞかれ放題聞かれ放題な場所でサカりすぎ。
そしてなにより、いくらなんでも歌舞伎の襲名をなめすぎだ(笑)
冒頭の通り、絵はきれいだし見どころのある(すごいウエメセでスミマセン)表現もあるのにもったいなくてしかたがない内容でした。
KindleUnlimitedにあったので読みました。
いきなり私事ですが、誕生日やなんやかや身の回りのものが4にまみれているので数字では4が好きです。
なのでマチさん4はそんなに悪くないから! 4を愛してあげて! と思いながら読みました(笑)
基本的にはハイテンションでスピード感のある展開でコメディ路線なので、サクッと読めて笑えました。
「楽しくいいもの読んだなー」って満足感。
トラウマのもとと会ったときのマチさんはツッコミいれる余裕すらあったけど、けっきょく向き合う勇気をもてた時点である程度は折り合いがついていて、そうできたのは与四哉くんがいるからなんですよね。
本当にイヤなら余裕で逃げ出せる旅程なので。
よしやくんは自分が恵まれていることに気づいていなかったけど、そうと気づかないくらい自然体で(必ずしも周囲に悪意がなかったわけでも、諦めがなかったわけでもないけど)生きてきたことが彼の大らかさでもあり、彼のその真っすぐさがマチさんの救いでもあり、やっぱり運命なんでしょう。
18歳は子どもだ。
このセリフに集約されますが、登場人物みんな、自分視点だけでなく相手の立場になって考えて行動してゆるして……って優しいお話でした。
シンプルに、いい、好き、そんな感想が浮かびます。
あらすじで菊池くんは鈍感と紹介されていますが、鈍感力と言ってよい長所で、進路相談中に熟睡かます図太さもおおらかさの裏返しで、そしてとてもフラットだから安心できる。
人によって態度を変えたり感情の浮き沈みが激しかったりすると疲れますが、菊池くんは良くも悪くもぶれない。
瀬戸くんは多くを望むことにブレーキかけてしまうけど、菊池くんがそんなふうにどーんとこいなので受け止められるいい組み合わせです。
当て馬的な人も出てくるし高3ならではの進路の悩みもありますが、絵も話も淡々と、激しく泣いたり笑ったりという動きはなくあくまで淡々と、でも青春の酸っぱさも眩しさもあって、気持ちよく読み終えました。
なんかこうじわっと「いいなあ」と染み込んでくるような作品でした。
とりあえず笑えるし登場人物もぽやぽやしていてよくわからないし、気軽に読むものとしては最高でした。
もうなんど読み返したことか。
リアルワールドではそんな言い訳は絶対に許せませんが、と前置きしておいて、どうも受けくんは中学時代から攻めくんをイジメというよりは「かまって」いた感じです。
されたほうがイジメと認識する以上、マンガの世界でなきゃ許されませんが。
攻めくんも、おどおどしているわりには遠慮がなかったりして、いいとこの坊っちゃんである受けくんには取り巻きたちとは違う空気感が良かったのではないでしょうか。
家柄とかしがらみとか考えなくてすむ、素をだせる相手なんでしょうね。
我ながらムリやりな解釈ですけど(笑)
まあどこが好きなのとか考えなくても、わりと攻めくんは大事にされているししているし、お似合いです。
すこし穏やかすぎて、すこし優しすぎて、特に刺激はなく物足りなさと紙一重になりそうな雰囲気ですが、そういうふんわりと心にしみいるようなものを読みたいときがあります。
めっちゃスキー! とほとばしるような熱量は生まないんだけど、あれば安心、いやなくては困る。
あくまで私の場合ですが、掃除や準備もめんどくさいし入浴剤に凝るほど好きなわけでもないけど、でも浸かるとやっぱりじんわりあったまって気持ちいいお風呂的な。
われながらよくわかりませんが。
そんな本です。
湊くんはぽやぽやしているようで、ヨーグルトが好きすぎて仕事にしてしまうくらいひたむきな情熱は秘めていて、航くんは賢そうなのに「栄転」がわからない程度にはアホで体育会系で、そのわりに繊細に悩むんですよね。
なんかお互い性格がチグハグ感あって、でも海にちなんだ名前同士、この二人だとそのチグハグ感がふんわりフィットしている感じです。
このマンガでいちばんテンションあがったのは、『ぼくのパパとパパの話』の三浦家3人の写真でした。
鳥飼がとにかくかわいい。
めちゃくちゃ優秀なのにうっかりさんで、うかつなことを口走って焦るのとかたまらなくかわいい。
そのあと開き直る潔さがまた際立つ。
そんなにわかりやすく大げさな表現ではないのに、ちょっとしたことに喜んでいるのとか、必死さとかすごく伝わってきていじらしい。
そしてレスキュー隊員を目指す男性の力強さ。
服をつかむ仕草、大の男をベッドへ投げ出す動作などがしっかりした画力で描かれて迫力あります。
でもぎゅっとなるほどせつないシーンもある。
それでも鳥飼はかわいい。
それは矢島の前では正直になれるから。
救いの物語でもあるんですよね。
ちょいちょい笑えて、最高です。
発売からおよそ2年がすぎた作品にぐうぜん興味をもち、読んでみた結果、
えらいもんに出会ってしまった……!
という感じです。衝撃です。
どぼんとはまり、数日ですりきれそうなほど何度も読み返しました(電子ですが)。
クルマのトランクをすりすりしてまったくの無意識に魔人のまーくんを呼び出した(?)仁くん。
恐怖、怯え、警戒、そして無警戒へーー
人は慣れる
ここまでの段階に無理がない。
ものすごいスピード展開しているのに、無理がない。
入り込んでいる。
まーくんすごい(笑)
当て馬的元カレのナカモトは、むしろBL的には彼との作品のほうがよくある、自然なのではないかと思います。
まーくんとナカモトも、美しかった。
ナカモトは、その美しくも冷たく危うい世界が似合うし、好きだった。
まーくんは、その世界がよく似合うけれど、刺激はスパイス的にあれば十分だったか。
ランプの中のような閉塞感がーーあるいは?
仁くんの、けして美しくはないけれどあたたかく純粋な心がときに引き起こす刺激が心地よかったのかな。
拡張がんばって!
ちょこっとネタバレ?
下巻でまーくんを尾行した仁くん、チラッとコマにいますよね?
人にものを伝えるのが苦手で、そんなにたくさんの作品にも触れていないためもっぱらレビューは参考にさせていただくばかりだったのですが、今日はこの作品への愛をどこぞの田舎のアパートの真ん中で叫びたい気持ちになりました。
読みはじめは、さくさくうまくいきすぎやろ~と思うくらいスムーズに両思いになり。
ここでいったん期待値からは下がったテンションがその後ぐんぐん上がりっぱなしになり、期待値はいつしか見つけることもかなわぬ遠くに…
お仕事のシーンに無理がなく、適度なリアリティで話に入り込めます。
人間の嫌な面からも目をそらさず描きつつも、そこを重く暗い印象に残すことなく笑いや愛情で上書きしていく。
人を信じたり疑ったり、助けたり助けられたりして人間として成長し、ふたりの関係も愛情はときに暑苦しいほどに深まり、なん時間分ものドラマをみたかのような満足感の中で迎えるラストシーンはじんわりと涙。
澄みわたる青空のように爽やかな、とても素敵なラストだと思います。
ああ、ええ話読んだわ~からのおまけで
俺卵だけに…
とめちゃくちゃしょんぼりしつつも、吉成にカツあげよかなと確実に考えているであろう真壁さんの懐の深さ!
食べていたポテト噴き出しそうでした。
こういう表現、今までは信じていませんでした、おおげさやろ~と。
すみませんでした。
本当に人はマンガを読んで声を出して笑い、口の中身を噴き出すことはあるのだと知りました、反省です。
とまあ、寒さが増してきた折りになんともぬくもりに包まれる作品に出会えた喜びと、マンガで噴き出す初体験の驚きを誰かに聞いていただきたかった。
これからお読みになるかたは、できるだけ飲食は事前にすませましょう。