基本的にはかなりキレイな絵なのに、ときどき主に体全体の場面などは気持ち悪いほどヘンになります。
あの不安定さはなんなんだろう…。
いくらトラウマがあるとはいえ先生の行い(校内で2人の生徒と関係、しかも1人は自分の都合であっさり捨てる)はクズすぎだし、先生の現恋人くんと捨てられた元セフレくんが仲良しなのもご都合主義的だし、つかヒロくんいい子すぎるし、部活のレギュラーが危ういからって攻めくんが受けた嫌がらせは陰湿すぎるし、それをいい話みたくあっさり解決しすぎだし先生の先生はほんまにムナクソ悪い……つまりわりと不満の多いストーリー展開ではありました。
率直にいって先生パートだけなら星2つ、捨てられたセフレのヒロくんと幼なじみのパートがわりと良くて星4つ、最後にいろいろさらっていったママに星5つで、平均して星4個としましたが、それがよいのか悪いのか。
もし星4の評価につられて読んだらしんどいかもなあと思いつつ、な感じです。
そして、ママの話を読んでから振り返ると……たしかに勝手に思いこんでいたけど「そう」な描写はないわ!(ちるちるのカップリングも間違っている……のか…?)となりました。
ママのパートナーがかなり懐深いわ(笑)
お兄ちゃんの燈馬くんがとてもいいキャラなんです。
弟ラブがモンペ状態なのはおもしろいし、リーダー気質や正義感がかっこいいし、ちゃんと約束は守るし。
主役の2人がそれに比べると際立つ個性がないというか。
国立は一途さ、蒼馬は無邪気さなど魅力はあるにはあるんですが。
あと、国立と燈馬が付き合っているというのがフェイクなのはすごくわかりやすすぎる。
大事な点なのに。
国立のご飯まで燈馬たちのお母さんがめんどう見ているところなんてザ・説明セリフ(笑)
ちょっとこう、わかりやすく「まあ、イケメンで優秀な生徒会長の誰それ様よ」的な、モブに説明させてしまうところやフェイクのわかりやすさ母の説明セリフなどに拙さがもろに出ていて「もう少しがんばればもっとおもしろくなるのにぃ」という印象でした(ナニサマだ、すみません)。
これはたいへんよいものに巡り会えた! と感動レベルです。
まず絵がきれい。描き込みしっかり系野性味があって、勇者が本当に男前。
キャラの名前や設定がおもしろい。
出てくる道具類もかわいくて実用的で雰囲気がとてもしっくり。
そんなに複雑ではないけどすこーしだけ伏線というかだまされる部分もあってそうきたかーと驚きもわく。
そしてとにかくうぶ同士がまじめ相手と向き合いながら戸惑いながら惹かれ合う様が本当に胸にくる。
簡単にいうとときめく。
おもしろくて(コミカル的な意味でも引き込まれる興味深さでも)、絵がきれいで、シャレがきいていて、土台の世界観がしっかりしている安心感があって、読み物としてしかけもある。
最高か!
ちなみに、局部の隠し方は花です。
花があっち向いたりこっち向いたりで絶妙に隠してきます(ごく一部のページだけなんですけど)。
声を出して笑ってしまいました。
職員室の秘めごとはわりと好きです。
そのスピンオフとは気づかずに読みましたが、なるほどちょいちょいリンクしています。
高校生2人がとてもマジメに恋をしていて、でも高校生らしい、大人と子どものはざまらしい思い込みや暴走もあって、そうしたぶつかり合いをしながら将来をきちんと考えていく。
とても良いお話でした。
でもこの表題作だけなら☆みっつ、その理由は、受けくんがあまりにヤングケアラーだから。
下の三つ子か新しい赤ちゃんか、せめてどちらかはなしにしてほしかった。
あくまで私の個人的な好みにすぎませんが、あまり重苦しい話は好きではないので、あらすじでは知りようがなく避けられない部分で完全なヤングケアラーが描かれていて、さらに個人的にはそこまで過酷な環境が必要なストーリーにも思えなかったしきれいごとにまとめられていたのは参りました……。
同時収録の臆病虫の恋、こちらは逆に単独なら☆5個つけたいくらい!
かわいい、おもしろい、好き。
しょっぱなから「いやお前が泣くんかい笑」というはじまりで、その号泣していた臆病虫の前に数年後に現れた汚いモサオが王子になり、その王子が実は……虎視眈々。
いやでもあの号泣は胸にくる。
わかる、わかるよいっちゃん!
同時にこれを読めて良かったです。
ふたりのラブラブっぷりは文句なし。
でも星を5個にはできないのは、女性社員が胸クソ悪すぎだからです。
フィクションともっとわりきればいいんですけど。
にやまさんなんでこんなやなやつ描いちゃったんだよーと肩を揺すりたい気持ち(笑)
BLに出てくる女性は物わかりがよすぎるか悪すぎるか極端なことが多く、それはまあしかたのない面ではあるし、この作品に関しては、会社とバーだけというかなり閉じた世界で話が進むので、「ヒカルは王子様」(かつ本人はもとは女性が好きなストレート)という立場を明確にするには女性が取り囲むのがわかりやすい。
でも旅行先で、男の個室に招待するわけにいかないともっともな理由で断られているのにヒカルを部屋までつけまわし、現れた素顔のニンニンを隠し撮りして拡散する行動は本当に気持ち悪い。
そこからのさらなる拡散や根も葉もない噂は彼女たちのせいではないとしても、部屋まで追いかけるほど好きだったはずのヒカルが窮地に立たされているのに、ほとんどまともに謝罪はなく「そんなつもりじゃなかったんです〜」からの「このイケメン(ニンニン)誰ですかぁ(ニヤニヤ)」はほんっっっとうに胸くそ悪すぎました。
主人公のふたりは、「相手を守りたい」、その気持でいっぱいで自分の犠牲など犠牲とも痛みとも思わない。
その尊さはまぶしかった。
このきらめきをもっと純粋な気持で見たかった…ッ
とはいえ、こんだけ胸クソ悪くなるほど〈たかがマンガの登場人物〉に感情を揺さぶられるのは、作家の力量だとも思います。
3巻でも社内でイチャコラしてあれこれ起きたしふたりはしっかり反省してほしい(笑)
3つの作品がはいっていて、どれもこれも出てくる人物がゆるふわで、あなたたちちゃんと社会で生きていけますかと心配になりました。
お仕事BLなんてすけどね。
どれもいいお話でしたが、私は3つ目がいちばん好きです。
自身がゲイとは認めず、かといって女性と結婚して体面をとりつくろうこともできず(よくいえば正直)、45歳まできてしまった受けさん。
とりあえず語り合えるお友だち(純粋な意味で)を作ろうとアプリに登録したら、やってきたのはお友だち(大人な意味の)目的の青年。
でもずいぶん若い彼が、もじもじする45歳を笑うことなく、かといって過剰にかわいいかわいいとなるわけでもなく、すごくおおらかにありのままを受け止めるんですよね。
合間合間にキュンっとなることにムリがない感じです。
あんまり最初っから問答無用にかわいい全開の溺愛をされると「いやいや45のおっさんやで」と皮肉な感想を抱いてしまいがちなのですが、バランスよく楽しめました。
3作とも、受け攻めどちらかはとてもおおらかです。
相手を深い懐で受け入れます。
年齢差や経験の差でもっとも自然にラブにもっていくのが難しそうな3カップルめがもっとも緩やかにあたたかかったのがとにかくよかったです。
このところ、なんとなく私の好きな絵柄とは違ってきていた(あくまで個人の好みの話です)のですが、今回は何度もこれこれ、これだよ! と感じました。
「コウくんが好き」「なつめさんが好き」とふたりが確認しあうとき、私もまた「こんなふたりを描くマミタさんが好き」となっていて、なんだかとても不思議で楽しかったです。
作品の観客であり、モブでもあるような作品との一体感というか、なかなか経験のない高揚感でした。
そして胡桃くん。
彼が話すなつめ実家の懐の深さに「ほんまやで、深すぎるわ」と笑った次の瞬間にはマジで涙がこぼれてしまった。
なつめさんと胡桃くんはなにもかもが正反対みたいなふたりなのに、誠実さの矢印は太さも向きも一緒で、だからこその親友。
当て馬っぽく出てきてたしかに主人公ふたりをすれ違わせるし、それでいて実は強火の保護者ポジってのもまああるあるといえばあるあるだと思うのですが、胡桃くんとの過去のエピソードをくどくどと描かずサラリと、でもガツンと密度は高く表現されたバランスがたまりません。
どうも3か月目が鬼門の胡桃くんもよきパートナーと出会い、なつめさんとの約束がかないますように。
あと、私自身が引っ越して5年目に一念発起した人なので、コウくんの惨状にはわかりみしかなかったです。
職場ではキレイ好きで通っているあたりも(笑)
流れるようにスムーズな展開、優しく穏やかな空気感。
好印象でもあり、物足りなさもあり、です。
受けの佐原くんの悩みはまあありがち。
攻めの篠塚さんはそこを悩まなすぎと思えなくもないけど、自分がゲイと気づいても「兄姉が孫を見せるしいっか」と割りきれる人なので、非常にさっぱりしているのかもしれません。
男同士の恋愛に進むには相手の指向というハードルが高く、ここは葛藤もなく恋人になるBLあるあるなノンケたちよりも現実的な印象で、逆にこのハードルさえ越えてしまえばもともとの割りきりのよさが適度なスピード感となるようで。
つまり篠塚の言動に矛盾はないのだけど、佐原はちょっと引っかかりが強いです。
ちょっと大げさに、くどくどとひとりでいる決意を出しすぎた気がします。
篠塚の求愛にあっさり応える、そのあっけなさとマッチしないのです。
もちろん性格も潔癖さも人それぞれなので、過去の事実と彼の決意が合わないように感じるのはあくまで私の価値観にすぎませんが、それにしては篠塚の受け入れがすんなりすぎてバランスが悪く思えました。
総合的に☆3寄りの4というのが卒直なところですが、4を選んだ決め手は篠塚の後輩、桑野くんでした。
先輩かつ上司の篠塚にズケズケものを言うし女の子には節操がないし、でも彼と篠塚の関係が篠塚のキャラを引き立て、佐原の悩みすぎるオーバーさを薄める働きをしていました。
そしてやたらめったら絡んでこないでしゃばりすぎないのも良かったです。