前作の「美しい彼」が面白くて大好きで、その続編、しかも2年ぶりということで、否が応でも自分の中でのハードルは上がっていました。
しかし、それを超えていくのが凪良ゆう先生…今回もまた本当に面白かった。
前作で恋人同士にはどうにかなったものの、本当のところお互いがお互いを想う部分までには至っていなかった印象だったのが、今作ではさらに踏み込んだ関係になっていきます。
特に、清居が何を考えてどれだけ平良を想っているのかが伝わって来て、それでも平良は前作のあの調子だし、やっぱり2人はとことん噛み合わない。
読者としては、どちらかというと清居に近い思考回路だと思うのですが、だからこそ清居目線で話が進んで行く部分では平良のセリフに翻弄されてしまいます。
読んでいて胸が痛い、せつない、なのに平良のセリフが相変わらずぶっ飛んでいて所々で笑ってしまいます。
前作であったいじめ問題がないぶん、重苦しさは軽減されていますが、とある事件に巻き込まれながら、2人の問題が具体的に浮き彫りにされている印象です。
あとは、平良の人間的な成長も注目ですね。
清居の影響で、社会と関わらざるを得なくなる平良がどんな気持ちで困難が待っているとわかっている外へ出て行くのか…。
2人の恋愛とは別のところで、身につまされる思いもしました。
2人を取り巻く環境も変わって、サブキャラクターたちもいい味を出していますし、欲を言えばもっと続編が読みたい…。
今回も二年空きましたし、気長に期待して待ちたいです。