Sakura0904さんのマイページ

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女性Sakura0904さん

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正隆とコタは心配いらずの安定感

 寅憑きの時の正隆の威厳というか威圧感は、普段穏やかな分なかなかギャップが大きいですね。後半が卯憑きだったので、余計に前半が際立っていたような気がします(笑)。たぬきと狐は神様であっても悪戯せずにはいられない、という設定も面白かったです。自身を危険に晒したコタに寅の迫力で怒る正隆は見応えがありました。後半は縁結びの神絡みで3組ものカップルを焚きつける展開となり、忙しいやら嬉しいやら。素直で一途な颯介を応援しているので、彼が雄になったところを見るのが楽しみです。

期待が膨らむ1巻

 この1巻ではまだ好意を自覚するところまでしか進展しないのですが、それでもストーリーにとても引き込まれました。佐藤先生の絵もとても綺麗で眼福ですし、メインであるカイとノアの性格や見た目のかけ合わせも好みです。奔放に振る舞うのに学年トップを保っているカイと、優等生だけど要領がいいタイプではなく苦労人のノア。恋心と閉鎖的な空間で自分の居場所を求める気持ち、そして成績に対する嫉妬が入り混じる複雑な思春期の感情がありのまま描き出されていました。ノアがカイにぶつけた気持ちは、確かにカイを傷付けるナイフのような言葉だったけれど、張り詰めていた糸が切れた彼の気持ちは痛いほどよく分かりました。シリーズでこの2人の関係性の変化をじっくり追えるのがとても楽しみです。

快活に笑うフィーをもっと見ていたい

 ページ数が300を超えていたので、アポロとフィーの過去が2人にもっと複雑に絡んできたり、娼館で大きなトラブルが起こって長引いたりするのかなぁと身構えながら読みましたが、ほとんど杞憂で、むしろ今までで一番純度の高い愛が描かれていました。お互い惹かれ合っていることを一途な好意と自覚し、自分のしたいこと、したくないことにただ素直になる。正直な欲求に従って行動する。2人に必要だったのはただこれだけでした。いつもの仕事へ戻っていくフィーの腕を掴んで引き止め、行ってほしくないと何も取り繕わない気持ちを吐露したアポロがいい男だなぁと。3巻通してカタルシスが感じられるような、そんな素敵な作品でした。

嘘つきの理由

 短いページ数でも映画のような起承転結があって、ニャオスキー先生の感性が光っていました。多くを語らず唐突に訪れる結末は、読者の好きなように解釈したらいいということなのだと受け取りました。はっきりした物語が好きな方にはちょっと合わないかも。BL要素もそこまで多くないので、表題作はもうちょっと萌えが欲しかったかな。

 同時収録作の『アンコール』はそれこそ超短編なのですが、とても続きが気になりました。過去に浮気していたため別れた相手である立花に熱く縋られ、こっぴどく拒否しながらも、ふとした時に隙を見せてしまう秋葉が可愛くて。この2人の続編が出ないかなぁなんて思いました。

誰もジャッジしない世界

 あらゆる面でフラットな価値観が描かれているのが、実はとても貴重な作品なんじゃないかと思いました。宮内が趣味で休日に女装していることを知る井口ですが、一瞬も引くことなく、自らも推しが同じで、他人にメイクを施すことに興味があることを打ち明ける。宮内の友達も井口の友達も、何の含みもなく宮内の女装を、ゲームが趣味です、というのと同じ軽さで聞いている。宮内に憧れていた女子たちも、彼の女装を知り、使っているコスメに興味を持つ。宮内の母も、スカートを試す息子に「あらかわいい」と言うだけ。なんて悪意のない、風通しのいい世界なんでしょう。どこもこんな人たちで満ちていてほしいですね。井口の素直に感情を出す性格がとても可愛かったので、宮内に攻められるところが見たいなぁなんて思いました。

虚構と現実の狭間で

 雰囲気や絵のタッチは異なりますが令和版ル◯ッサンス◯田先生のような描き方で、よく言えばとても前衛的かつ独創的、悪く言えば非常に読みにくい作品です。ストーリーは絵柄や台詞の言い回しがラフで可愛らしいこともあり、そこまで読者を暗い気持ちにさせるものではありません。グロい描写もあるけれど、どこか滑稽に感じます。先生の頭の中を通して物語を見ている感じというか、常にメタ的雰囲気が漂っています。バレリーノではなくバレリーナになりたい男の子の話が残酷で身勝手でお気に入りです。内容が難しいということはないので、漫画表現の多様な可能性に触れられる作品として多くの人の目に留まればいいなと思います。

これだけ考えたんだからあとはもう楽しんで

 終盤は最終巻らしく感動するシーンもあったのですが、6巻という長さをかけて結構堂々巡りしていた時間が多かったなぁと振り返って、せっかく10年の月日を耐え抜いて一緒になったのだからもう少し甘い時間も欲しかったなぁと思いました。この10年で失われたものが大きすぎて踏み出せないんだったら分かるんです。でも、しのぶが誰からも好かれていつも人に囲まれていることはこの10年が生み出したネガティヴな結果ではないし、しのぶが入院しなければマコトはしのぶと別れて自由になっていたかというと、そうでもないはず。10年があろうがなかろうがお互いがお互いを大好きという事実を追いやって、こんなにぐるぐる悩む必要はあったのかなぁと。今更別れたところで一生埋められるか分からないものすごい喪失感を相手に与えるだけですし。といろいろ思うところはありますが、やっと気持ちが同じ方向を向いた2人を見れたことは嬉しいですね。

誰を思いやっているのか

 もどかしい展開が続きますね。この巻では2人が離れている期間の方が長く、それぞれ賑やかな人たちに囲まれて過ごしてはいましたが、なかなか2人での会話に辿り着かないので読者としては焦れったく感じてしまいました。お互い周りに恵まれているのが救いですが、2人の関係は進展しないまま他のキャラたちとのボケツッコミが続く展開には少し疲れてしまったり。しのぶの気持ちがやっと決まったと思ったら、今度はマコトが引いてしまい。10年という歳月の重みを埋めるのは途方もなく難しいことなのだな、と改めて思い知らされました。2人の屈託ない笑顔が見たいです。

一緒に沈む

 無印と上巻はまだ健全な雰囲気も併せ持っていましたが、この下巻で一気に重たい愛の底に引き込まれた感じがしました。相変わらず一舞は直斗に自分の執着の深さを隠しはしない。けれど、その執着がどれだけ常軌を逸しているかが、上巻まではまだ直斗も読者も分かりきっていなくて、下巻でやっと事態を飲み込めた、という印象でした。

 一舞は直斗を監禁したいと言ったことすらないし、四肢を拘束したこともありませんよね。彼にとっては、自由に外界で活動して、日々いろんな人と出会って、そんな広い広い世界で生きている直斗が、心も体も芯から自分のものだから最後には自分を求めて腕の中に帰ってくる、抱かれずにはいられないという帰巣本能が根付くことが、最大の悦びなのかなぁと思いました。

 直斗もそれは他人に指摘されたり自分で気付いたりしてよく分かった上で、それでも一舞にすべて明け渡していて。執着攻めに相対する受けって一度は恐怖から攻めを拒絶することがあるものですが、なんだかんだ直斗って今まで一舞を全部受け入れているんですよね。体から始まって、心がついてきて、さらに体は相手の与える快楽にどっぷりとハマっていき、また体と同じ深さまで心が堕ちてくる。そんな底がないような関係性の2人だなと。オープンな執着でここまで背徳的かつディープな関係性を描いてくれた先生に感謝です。新しい扉を開いた気がしました。

なんとも不思議な読後感

 なんだろう、一舞の執着ってめちゃくちゃ重いんですが、それを全部本人に打ち明けちゃっているからシリアスになりすぎないというか、直斗も読者も最後は笑って受け入れざるをえなくなるところが、逆にものすごい策士なのかな?と思い始めました(笑)。闇ベクトルの執着は相手に隠してこそ美味しいものだろうと思っていましたが、オープンはオープンでまた別の怖さがあるかもしれません。どれだけ一途にどれだけ長い間我慢したり努力したりして今のポジションを勝ち取ったか、それを心底嬉しそうに言われてしまっては絆されるのも仕方ない……。一方の直斗には弱々しさや遠慮が一切ないので、それもまたこれほどの執着攻めでも作品全体がなぜか健全な感じがする、という謎の美化を生み出していて、いろんな意味で稀有な作品だなぁと思いました。