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おげれつ先生が自由にお描きになった作品では?

だいたいおげれつ先生の作品は2巻で終わるのが慣例なので、この本の最後を読んだとき「つづきあるんかい」となりました。(良い意味で笑)この作品は先生が好きなものを好きなように描いておられる感じがあるので、本当に読者側にとっても心地よいですし、実際に内容も面白いです。
太一の家から帰るとき、「俺、子供産めたらよかったのにな」的なセリフを言う直人を振り向いたら泣いているシーンが切なすぎます。めっちゃ心を揺さぶられました。
大学生の生態、語彙などが無理がなく本当に自然です。真面目なのか、軽いのか分からない、彼ら自身も分かっていないところが若さ特有の溝だなと思います。スマホがあったり、女子学生のノリであったり、自分の大学時代とは少し違いますが、甘酸っぱさみたいなものは同じだなと色々と思い出すことがありました。
大学生の軽さと彼らの抱えている問題の重さのギャップが素晴らしいです。続刊を首を長くしてお待ちしております。

BLの壁

レビューポイントがどのサイトを見ても総じて高く、またちるちるにおいても感想が良すぎたので逆に今まで読んでいませんでした。(「ヤリ部」ばかり読んでいて、おげれつ先生のチャラめの絵に隠された闇の部分を見失っていました。今までおげれつ先生の作品を何冊も読んできたのに、なぜかリア充ばっかり描いている作家さんだと思い始めていました。すいませんでした!)また、一旦くっついたのに別れ、でもやっぱりくっつく、というBLを読んだことがなかったので、「元カレってどういう感じなの」と予想ができなかったです。
実際読んでみると最高でした!元カレというのもおげれつ先生の「長いスパンでこのカップルを見守っていくよ」というメッセージなのだというメッセージだと感じられました。新感覚でした。
個人的には眼鏡受けに目覚めました。眼鏡を取った時の美人さがたまらん。そして、エロシーンで受けの眼鏡がどんどんずれていく描写が本当にエロ過ぎる……。
このレビューのタイトルはおげれつ先生が「元恋人」という新ジャンルを作り出したことを養老孟司先生の「バカの壁」に、あと作中で好きな相手を幸せにするために自分が離れなくてはならないというBLカップルがぶち当たる「風と木の詩」以来の伝統の壁にこの作品のカップルがまさに行く手を阻まれている様子を掛詞にしてみました。最近の作品ではこの葛藤があまり描写されない(オメガバースの台頭、そもそもホモがめっちゃ多い世界の設定等)ので、逆に新しいです。(ふう。静かなる狂気!)子供が産めない、恋人の次のステップがないという問題の解決は今までなされたことがない(解決しようとしたらどちらか一方が死ぬ、都合よく養子になる子供が現れる)ので、続きが楽しみです。
おげれつ先生は絵然り、ストーリー然り事実上最近のBL作家さんの中では抜群だと思います。
P.S.この間の「ねほりんぱほりん」でYOUさんが持ってらしたBL本のうちの一冊がこれでしたね!!

受けがチャラ可愛い

「恋愛ルビの正しい打ち方」的アホの子受けで最高に萌えました。
しかし、クラブに通っているのにヤリ目ではなく、実はホモだったという設定にファンタジーみを感じてしまい、少し萎えました。スト―リーはありがちなプロットをたどっているのはずなのに、全然それを感じさせない先生をとても尊敬します。
私は多分おげれつ先生の作品にはかなり感情移入をしているのだと思います。だから、徹底的なリアルとの対峙と、その勝利を求めているのだと、この作品で理解しました。
受けのビジュアルと攻めのビジュアルがあかあむを感じさせます。特に受けは金髪褐色肌です。私はあまりわからないのですが、おげれつ先生があかあむ好きなのかなという予想をしました。

このときめきをどうすればよいんでしょうかっ!?雲田先生

同じ雲田はるこ先生の作品”落語心中”をBLだと思って読んだ私は、「これはBLじゃなかった。芸術作品だった……」と自らのよこしまな感情を反省したのですが、先生のセンスにはまりました。
そして、遂に見られた雲田先生のBL。ありがたやーー。人間関係の複雑さ、ストーリーの奥深さに感動しました。第一話のリーマンがとてもかわいかったので、もう少し見たかったです。しかし、苦味ちゃんは固定カプがいいというジレンマに陥りました。現在雲田先生が続編を執筆中だということなので、どうなるのか期待しています。
苦手なリバ作品ですが、結構するする読めました。特に現攻めの受けだった過去編が最高でした。打ち捨てられた時の表情のコマを食い入るように見つめてしまいました。落語心中の八雲とビジュアルが似ていて落語心中では自分的に不完全燃焼だったところを重ね合わせて満足させてしまいました……。(腐女子の悲しい性よ……。)
今タグ付けを見て驚いたのですが、この世には仕込みヤクザという職業があるのですね……。初めて知りました。

かんちゃんデビュー作

現実にDVする男がいたら、言語道断だと思います。が、作品の中では許されるのでは?と思ってしまいました。DV彼氏かんちゃんは今作ではただのサイテー野郎で、私はあまり好きではなかったのですが、次回作の「恋愛ルビ~」を読んでかんちゃんにメロメロになってしまいました。今までは固定カプしか今日できなかった料簡の狭さでしたが、リバも行けるかもという可能性を感じました(笑)
「ヤリチン~」からおげれつ先生の虜となった皆さんはかんちゃんに注目してみてはいかがでしょうか?かんちゃんはこの後のいくつかの作品に登場するほどのおげれつ先生は溺愛されてます。

いじめっ子(?)といじめられっ子(?)の恋

本当は昔からお互い好きあっているのに、ヒロが意地を張ってそれにがんじがらめになったせいでなかなか一緒に慣れない二人に心地よいもどかしさを感じました。(それが表題の?の理由です)「錆びた夜~」をその前におげれつ先生の作品として、読んでいたせいか、ヒロと夏生の関係はほのぼのとして、癒されます。かなりすっきり読めるのですが、次回作への伏線が隠されているので、他の作品と合わせて、何度読んでも楽しめる作品です。また、表紙なども結構普通なので恥じらわずにレジへ持っていけます(笑)
BL初心者にもお勧めできそうです。

通常運転の明日美子先生

主人公による現実と幻の倒錯、バラやサーカスといったシンボルの登場など、文学的色彩の強い作品です。
作品を描くにあたって、イメージや直感だけではなく綿密なリサーチがされたのだろうということが伝わってき、一見華やかに見えるサーカスの実情などかなり勉強になりました。
明日美子先生らしい耽美な作品でした。ただし、老人攻め、ヘタレ攻めがあまり好きではないので、カップリングは特に惹かれるところはありませんでした。

痛いエロ コミック

表題があまり意味をなさないのでは。

中学生のころからイナズマイレブンが好きで、ジャンル中の数多の絵師さんの中でダントツの画力を誇っているゆのぱんちゃこさんを追いかけてこの本を購入いたしました。
ゆのさんの画力には満足でしたが、ゆのさんの作品も含め、全く”痛いエロ”でも何でもなかったです。痛いエロというワードを聞いて私が連想したのはかっこつけながらも受けを溺愛し依存している攻めや、受けを愛しながら暴力をやめられない攻めなど、”痛い”ということを当事者のどちらか(あるいはどちらも)が自覚しながら葛藤する姿でした。それが全然違う作品ばかりが入っていて少し不満が残りました。

鶏肉倶楽部 非BL コミック

中村明日美子 

明日美子作品玄人向き

明日美子先生の初期作品で先生のエッセンスが詰まった素晴らしい作品集です。明日美子ファンには堪らないのですが、一般受けするかどうかは謎です。
時系列から、初めての明日美子作品としてこれを読み始めるのは全くお勧めできません。明日美子先生の根底に流れる登場人物や芸術に対する愛を知らないで読んでしまうとただのグロと捉えられかねないからです。大切に育ててきた鶏を獣姦してしまい、自らの精液がチーズとして食される、表題の鶏肉倶楽部など先生らしいユーモアもたぶんこのように理解するのは難しいかと思います。
最初に読むべき明日美子作品としては「Jの総て」をお勧めいたします。

古典へのいざない

BLだと思って、この作品を読むのはお勧めできません。なぜならBL要素は介入する余地がほぼないと言ってよいような作品だからです。確かに八雲のビジュアルはやけに色っぽく、受け臭がすごいです。また、雲田先生もBL漫画家さんですので、BLに決まっている!!とはやる気持ちはよくわかります。が、繰り返しになりますが、これはBLとカテゴライズしてはいけないと思います。BLというエンターテインメントというより伝統文化の伝承をテーマにした本気度の高めの作品だからです。ちなみに私は妄想と現実をごったにした人のレビューのみでBLと勘違いし読み始めたよこしまな腐女子です笑
落語心中はその名の通り落語と心中しようとしたほど落語を愛した噺家のお話です。落語と心中するとはどういうことなのか。心中する者の心持とは。
ここから飛んで私は近松門左衛門の心中ものを読みまくりました。近松のシナリオは文章が5・7・5で紡がれ、しかもそれでいて意味が通っている。衝撃を受けました。それはさておき、この作品を読む方はいろいろ考えてみたい人、日本人としてのこころを考えてみたい人におすすめです。