絵は可愛いく、少女漫画風ですが、エチシーンはしっかりあります。短編集ですが、それそれがただエロのための物語というか、、、。話はどれも短絡的であまりに浅く、心理描写などは「?」と思わざるを得ないぐらいおおざっぱ。なぜ、ここで体を重ねる運びになるのかという疑問の連続でした。やはり、エロは物語がしっかりしてこそ生きるのですね。表題作はその最たるもの。10年間セックスはご無沙汰という上司の匂い(フェロモンでしょうか)に誘われてセクハラを繰り返す後輩のあまりに雑なアプローチと、それに喜んで応える離婚歴のある上司。あまりにあっけない恋の成就につおていけませんでした。かなり昔の作品だと思うので、中立にしました。物語重視一辺倒ではないつもりで、幅広く作品を楽しんでいますが、さすがにこれは、という作品でした。
受けが、空腹になると欲情するという設定ですが、まずはこれが、?。否現実的な物語は好きですが、この設定をうまく消化できず。食欲と性欲は関連があるとされていますが、そういうことではないのではないかという様子で。はじめはヴァンパイアかインキュバスなのかと思いましたが、むしろ人間なのに違和感を覚えました。空腹でふらふらなのに激しいSEX するって、謎。さらにはそれを受け入れる攻めにも、? どうしても最後まで府に落ちませんでした。絵はきれいだと思うのですが、これだけの設定で、ノンケが「しょうがないなあ」と男性をうけいれ、あげくのはてに好きになるなんて、説得力がないような気が。BLはファンタジーですが、
だからといって、感情描写や設定が中途半端ではロマンスは感じません。お好きなかたもいると思うのでたんなる好みの問題かもしれませんが。
恋の痛みに胸がきゅんとさせられます。英国のエスタブリッシュたちの社会を凝縮した世界観、パブリックスクールの閉ざされた甘く残酷、かつ禁断の薫りにも惹かれます。エドの本音がわからず怯え傷つく礼の姿には胸が痛みましたが、それすら甘美。最初のページから引き込まれました。礼の健気な様子に心を鷲掴みにされながら、幸せって、愛する人を愛せる自由があることなのだとつくづく感じました。『ダウントンアビー』を見たときにも感じましたが、貴族ってなんて不自由なのでしょう。持てるものの人生は自分だけのものじゃない。それがわかっていても、理性だけでは押さえられない感情をもたらす出会いがあるというところが何ともドラマティック。そしてなぜか、全く性的な描写がない部分にエロチシズムを感じます。これが、パブリックスクールというBLには整地とも言えるマジカルな世界のなせる技なのでしょう。