めちゃくちゃ萌えました。最高です。
ストーリー的には王道なのかもしれないけど、複雑なキャラの心理描写やセリフが上手い。
佳乃は冒頭数コマ読んだだけでも可愛いです。飛び抜けた美人で性格も良いのに三十路で恋愛未経験…という奇跡的なギャップがあるけれど、なんとなく天然ぽかったり変に奥手な所があったりして、高嶺の花ポジションでずっと来たんだろうなと予想がつきます。
対するロウくんはまだ大学生にも関わらず百戦錬磨のヤリチン。顔もいいしスマートで年齢不相応にカッコイイ男…と思いきや、一皮むけば本当に好きな相手ができたことのない本命童貞で、その事実がわかる前と後だと印象がガラッと変わります。
賛否両論あるようだけど、この変化の流れの描写がリアルでよかった!
3話まで読んだ地点ではロウが佳乃をどうしたいのか、サッパリ理解できません。思わせぶりな態度をとったと思ったら突き放してみたり、また引っ張ってみたり。
読み手側としては完全に佳乃に感情移入して、頭にハテナが浮かぶばかり。
だけど4話でロウ視点の話になると、ロウの行動心理がわかって、あ〜なるほどねって腑におちます。
ロウは自分が努力しなくても色々な相手に好かれ続けてきた人間ならではの歪さを持っているんですね。
佳乃に出会うまでのロウは、別にひけらかしてるわけじゃないけど自然体で高慢。佳乃視点の描写でも描かれていたように、大抵のことはなんでも完璧にできるし、みんなの人気者だし、そんな俺ってかっこいい!みたいな…失敗を知らない人生を送ってきたんだろうなあとわかる。
ただそういう人って一回失敗しそうになると弱いですよね。成功体験を積み重ねてきた経験上プライドも高いから、「うっかり初恋をしてしまったっぽい相手に自分の完全無欠の恋愛テクニックが効かない」というイレギュラーな状況に混乱して、佳乃には絶対に好かれてるはずだと断言するくせに、好きって伝えてダメだったらダサすぎる…とかなんとか矛盾した思考に陥り動けなくなる。そのめんどくさい感じが非常にリアルで好きでした。
ロウのようなキャラクターの描写は、一歩間違えると理解できず不快な印象が強いまま終わってしまうと思うので、読み終える頃には不快どころか年相応の若造で可愛いじゃん〜とニヤニヤできる造りになっているのが本当に上手いと思います。
そんな若造の驕りきった態度を佳乃がサラッと許してしまうことに納得がいくのも、聖母のような佳乃の描写が事前にいくつもあるからだし、一気に子どもっぽくなるロウを包みこむ佳乃の包容力に年齢差カップリングの醍醐味も感じるし…なんというか、一連の話の流れが無理なく自然でした。
こんなに魅力的なキャラクターに出会ったのは久々で、本当に買ってよかったです。
恋愛一年生同士の二人のその後など、いつか見れないかなあと首を長くして待っています。