正直なところ、表紙に描かれている人外さまのお姿に内心(えぇ〜……)と思ってたんです。でも高評価だし、思い切って…
…読んでみたら、確かに最高じゃないですか!
これ、私の大好きなストロングスタイルですよ。2人の愛情が強く通じ合ってるさまが最高にイイ‼︎
魔人との政略結婚が怖くて仕方ない姫の代わりに自分が嫁いだアルカド。
でもそれが実はアノ見た目のデネブが好みだった、という…
この場面を読んだ瞬間、ナニコレ最高!と思いました。
この後も、デネブが好きでたまらないアルカドと、とってもとっても愛情深くアルカドを大切にしているデネブの姿が次々と描かれて、読んでるこちらも幸せな気持ちになってくる。
これほど読後感の良い作品は滅多にない!
体の構造の違いでいわゆる「挿入」が難しいことや寿命の違い、これらをアルカドは悩みます。でもデネブが違う見方を示してくれてアルカドの不安を静めてくれる。
本当にデネブは心も体も知識も愛情も大きい素晴らしい伴侶です。
もっと早く読めば良かった。神寄りの「萌x2」で。
ストーリー構築が格別だという評価を聞いて手に取りました。
職場では、やる気も覇気も無い陰気な教師の哲二。
ある日、誰も知らないはずの「秘密基地」への招待状が届き…
…と始まります。
でも哲二が感じるのは懐かしさではなく、おそらく「怒り」。
なぜなら、一緒に秘密基地を作ろうって約束していた少年は、今はもうこの世界にはいない…
ならば誰がこんな事を⁉︎という激情を見せる哲二は、学校とはまるで別人のよう。
元々感情豊かな自分がなぜ無気力な人間に変わったのか。
多感な時期の友人の死、自分のした事は良かったのか、亡くして分かった彼への想い、揺れ動きながら段々縮んでいった自己…
見知らぬ青年はセックス1回で秘密を知った訳を教えると言う。
その無神経さに怒りながらも目が離せなくなっていく哲二は、彼との関わりで変わっていく。
彼・瞬が基地の事を知ったいきさつ、そこから伝わってくる死んだ友人の心、置き去りになっていた哲二自身の心、始まりもしなかった恋、後悔。
それら全て。
確かにエモいとは思いました。
でもやはり知らなかったとはいえの「愛人にして」という瞬の無神経さが後を引いて、入り込めなかった。残念。
絵柄は可愛さもカッコ良さもあって良い。哲二の学校でのボサボサと本来のイケメンの落差も良い表現だと思いました。
総合は「萌」で。
2009年発表作品。
テロ、CIA、ヤクザが絡み合う骨太作品。
CIAが追っている日本人テロリスト・ファルコンの情報を得るという目的で、元傭兵の鬼塚の元にひとりで送り込まれたキャリア組の立佳(はるか)。
だが、ゲイの鬼塚に情報の交換条件などと脅されて、あれよと体を奪われて…
ファルコンこと小泉と傭兵時代の同僚だった鬼塚。
小泉とは寝てない。だからこそ愛憎が複雑になっていく…という構成がいい。
BLとしてのカップリングは鬼塚x立佳で、命よりもスリルというワイルドな男に対しての家で祖母や母にかしずかれる草食系のエリート。
…という表象と裏腹に、死をも恐れぬ傭兵上がりは本当は優しく愛されたいし、薄味の菜食とお見合い話に飽き飽きしている優男は本当は朝から肉が食べたいしめちゃくちゃなセックスに憧れている。
立佳は初めて鬼塚を包んだ相手。
だから、裏切りで仲間を殺したファルコンを追い続けた10年よりも、あっさりとしかしくっきりと心に立佳が刻まれて。
ファルコンにテロを依頼したのは誰なのか。
強姦まがいのはじまりだったのに、なぜすぐに立佳が聖母みを出したのか。
この辺はちょっと説明が足りないですが、ベースに流れるファルコン/小泉のゆがんだ愛憎が物語に深みを与えています。
元々こういう警察ものが好きなのもあって、とても面白かった。「萌x2」で。
表向きは大人のバー。しかし、ミステリアスな秘密を隠し持つ「王様の耳」を舞台に繰り広げられるサスペンス、第6巻。(非BL)
5巻のレビューで「完結」と書きましたがそれは間違い!この6巻で本当に完結です。
さて、「選ばれた」滝口あかりとシバケンですが、やはりシバケンは受け入れる事ができない。
あかりの方はすっかり乗り気?に見せかけての、麟太郎と雪乃が一体「何」なのかを探ろうとする…
そしてこの真実が実に壮大で。
2人のお金の出どころが仄めかされた瞬間はゾクッとしました…
「王様の耳」という店名も回収されて、そのまだ先も…
そんな存在がここまで続いたという不可思議。それを知った時、さあ、こっちの2人はどうなる?
ならば、あっちの2人はどうなる?
ゾクゾクッという体験をしたい方、ぜひ「王様の耳」の扉を開けてみて。
えすとえむ先生の目が眩むような作品世界に惹き込まれ、巻き込まれ、髪の先まで沈んで酔いしれる!
絵柄麗しい慧先生の2024年発表作品。
血のつながらない義兄弟もの。
ドロドロでもエロエロでもなく、絵柄通りにきれいにまとまってます。
切なさはあったと思う。でもそれは弟の禅の方で、先に仕掛ける兄のアラタの方にちょっと共感できなかったというか…
冗談めかして、キスもまだという禅に「練習だ」とか言って。
個人的にこの理由が好みじゃない。
禅は未経験ではあるけど別にピュアピュアのうぶうぶではなくて普通の人です。それを言いくるめようとする姿勢が嫌だ。
アラタだって兄弟/家族の枠内で気持ちを収めてきたし収められる範囲だったのに、何故?という疑問も湧きます。
元々憧れがあったということもあって絆され的に禅も恋愛感情になっていくけど、アラタのアプローチにはちょっと狡さを感じてしまった。
対して良かったのは、禅のスイーツ。
節目節目で結果的にアラタたったひとりのためのスイーツを、というのが効果的だったと思う。
出会った時のバノフィーパイ、そしてコンテスト用のフルーツタルト…
恋愛というよりもっと深く純で透明な想いが込められていて、禅の「在り方」はとても好き。
だから余計アラタのはじめの軽さが残念。顔は最高ですけど。
総合「萌」で。
地球に潜り込んでいる宇宙人が関わる、ほのぼのSFファンタジー完結巻。
第11話〜14話、おまけ漫画を収録。
完全な続き物なので1巻から読んでくださいね。
さて、テフラと優希から好意を寄せられてる康介ですが、まず優希と康介の高校時代。優希が康介を好きになるきっかけエピソード。
テフラ不在の中、誠実ながらも強くアプローチしてくる優希。
どっちも好きだから困っちゃう、という康介の姿は古典的だけど、やっぱり康介を見ているともう答えというものは出ていて、自分の決定に対しての切なさはしっかり伝わってくる。
本巻は最終巻だけどバタバタと終わるわけではなく、これまでのほんわかした空気感そのままに優しくゆっくりとした語り口です。一応ここで終わり、だけど2人や周りの世界は続いていくし、緩やかだけど多分変わっていくよ、という展開です。
絵柄は目が大きくて印象的。この巻単独だと萌、ストーリー全体は「萌x2」で。