本書は「カラメル前・後編」「ひまわり」「ミキアラタ前・後編」の3部作で構成されています。
「カラメル」は、王道の「好きだけど告白することで友達という関係が壊れるのが怖い」という恋心の葛藤が描かれています。
「ひまわり」は、兄弟同士の、とある夏の日の秘め事。
「ミキアラタ」は、4人の高校生グループの絡みのお話。控えめな性格の子が、同性の同級生と初めて身体の関係を持ってしまうという話になっています。
どの作品も甘々な展開で、読んでいてとても癒やされました。
ストーリー・キャラクターは満点なのですが、作画で一歩及ばず感があったため、評価を「萌x2」とさせていただきます。
■感想
本書には「聞こえぬ悲鳴」「夜に飛ぶ」「額縁と花園」「スプリング・エフェメラル」「夜のなかで君をさがす」の5作品が収録されています。
BL界隈でも一線を画す異色のダークサイドな一冊です。「悲しみ」を具現化したかの様な作風には思わず息を飲みます。
背筋が凍る様なストーリーで人間の苦悩・悲観・絶望が見事に表現されています。
非常に独創的な作画で描かれており、それがストーリーの重みを極限まで引き出しています。
読む人を非常に選ぶ作品ですし、暗い作風かつBL要素は薄めです。
それでも、この一冊に「アート」を感じ、言葉では表現できないような感嘆を覚えたため、評価を「神」とさせて頂きます。
■プロローグ
幼少の頃に自分が「女に興味を持てない人間」であったために周囲の人間の人生を壊してしまった過去を背負っている町田 春臣(まちだ はるおみ)。
そんな春臣に「ふとしたきっかけ」から知り合った実直で、良い意味でバカな吉野 悠(よしの ゆう)。
心に黒い影を落としている春臣に、心配なのか、ただ気になっただけなのか、自分でも分からず徐々に惹かれて行く悠。
全5話構成で送る現在・過去・未来の二人の恋物語。怒涛のストーリー展開が貴方を待っている!
■感想
個人的な感想ですが、今まで読んだ本の中で一番「読む人を選ぶ作品」だと思います(良い意味で)。
ストーリー展開は、前半を読む限り「奇を衒っている」ように感じましたが、後半のどんでん返しで見事に心を射抜かれました。
実直でバカな悠と、幼少期のトラウマに取り憑かれている春臣。二人と、二人を取り巻く環境や苦悩が見事に一冊に描かれています。
「読みもの」として非常に興味深い作品だったため、評価を「神」とさせて頂きます。
■感想
本書には「SMOKING ROOM」「夢現ブレイクタイム」「いびつな靴底」「ノンフィクション・レッド」「君のつくえで踊るぼく」の5作品が収録されています。
作品ごとに、実に多様で独特な世界観が描かれている一冊です。
特に「ノンフィクション・レッド」と「君のつくえで踊るぼく」は登場キャラクターが可愛かったり、ストーリーがとても魅力的でした。
残りの3作品に関しては、残念ながら個人的にそりの合わない作品でした。
ただ、そりが合わないハズなのに、作画や世界観に引き込まれている自分を発見して、少々戸惑っています(良い意味で)。
評価は「萌」としたい所ですが、読む人を選ぶ作品と判断したため「中立」とさせて頂きます。
■プロローグ
指折りの音楽学校に通うナイトと"カナリア"…。
"カナリア"とは学校で最も美しい声を持つ少年に与えられる称号だった。
ナイトは"カナリア"に初めて出会った瞬間、その美しい視線に心を射抜かれてしまい…!?
■感想
とある音楽学校での少年たちの淡い恋物語です。片思いから両想いに転じる王道のストーリー。
作中で多用されている"カナリア"という言葉に注目すると物語の面白みがグッと引き立ちます。
コンクールの自由曲でお互いに恋の告白をするというシチュエーションはとてもお洒落ではがゆく、読んでいるこちらまで恥ずかしくなってきます。
作品の表現性とストーリーはとても良いのですが、キャラクターの描き分けと作画の拙さが少々気になりました。
総合的に判断して、評価は「萌」とさせて頂きます。