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止まった時間が動き出す

オンラインゲームでの出会いからの


会社の忘年会のビンゴゲームでゲームが当たってしまった喜一(受け)。
全くやったことのない喜一でしたが、後輩がセッティングまでしてくれたこともあり、始めてみるとやり込んでしまい、とうとうオンラインで他の人と協力するほどになりました。
ゲーム初心者の喜一に懇切丁寧に教えてくれる大学生グループの仲間ができ、特に面倒見の良い澄良(攻め)とは偶然リアルでも知り合いになってしまいます。
親交を深めるうち、澄良から告白されるのですが、ひと回りも違うことや、後で飽きられたらと考えると怖くて受け入れられません。それでも諦めない澄良ですが‥


喜一は父の急死で高卒で今の会社に入り、淡々と仕事をこなし、趣味も持たず、死んでないだけの生活をしています。
まだ30代なのに終活してる異様さです。

この作者様の受け様は大概変わった癖やら趣味やら持っていることが多いのですが、趣味はともかく、癖の場合気の毒な生い立ちからくるものが多く、それも話の後半まで明らかにされないのでなぜこのような人間になってしまったのか気になりました。


テレビは直置き、布団とローテーブしかない何もない部屋。そして窓際に置かれた生前の父が見つけた丸い石。
自分が死んだ後片付ける業者の人に面倒にならないように、なんて完全に死期の迫った人のようです。

ゲームをもらったことで、何もなかった部屋に少しづつものが増えていきます。
ゲームのための座椅子やヘッドセット。澄良と付き合い始めてからはテレビ台、ベッドやサイドボード、死なないから生きているという状態だった喜一の心の色が増えていくに従って部屋に物が増えていくと思うと切ないやら嬉しいやら私の情緒が忙しかったです。

そして、澄良の成長も著しい。
窓辺に置いた父の石を見て、澄良は一番日の当たる場所に置いてある大切な石と表現します。この察しの良さには驚きました。
祖父に育てられたこともあり他の子よりも大人な感じで、人の大切なものを敏感に感じられるすごくいい子でしたが、やはり子供な部分もあります。
お金の大切さとか。
それを指摘され、いっときは腹を立てるけどちゃんとその意味を理解して動くこともできます。
そして少しづつ成長してきたところでまた試練が来て、そこでも喜一の言葉の真意を汲み取ることができる賢さもあります。
本当に先の楽しみな青年でした。

受験直前で、挑戦さえできずに諦めなければならなかった絶望はいかほどだったのでしょうか。その後死んだように生きているのをみるにその時に一度心が死んだのかもしれません。
あの時にゲームが当たって澄良に出会って本当によかった。
澄良の隣にいるために自分の価値を高めようとと思うようになった喜一と成長著しい澄良の2人がずっと幸せであることを願ってます。

イラストが本当に美麗で素敵です。


勇者が世界を救った後(フリー○ンではない)


勇者の息子の王子 × 人間とゴブリンのハーフ

勇者が魔王を倒し、平和が訪れました。
魔王に操られていた魔族たちは理性を取り戻し、平和な世の中になります。
それでも人間たちは魔族を恐れ嫌悪し時には攻撃してきたりします。魔族たちは人目を避けて森の中で暮らしています。
人間の父とゴブリンの母を持つリュイ(受け)は三年前に母が病で亡くなり、父は母の薬を探しにいったまま帰ってこないため、1人寂しく暮らしています。時々訪ねてくる商人たちや友人のウェアウルフが訪ねてくるきりです。
そんなある日、賊に襲われ怪我をした人間、レオン(攻め)を助けます。リュイはハーフなため人間にもゴブリンにもない容姿をしているため、人を避けていたのですが、フランは眼を痛めているためリュイの姿が見えず、普通の人間だと思っているので治るまで世話することにするのです。



人間とゴブリンのハーフって、もう少しパーツごとに似てるところがあると思ってたんだけど、リュイは右半分がゴブリンで左が人間というセパレートに外観に違いが出ています。

レオンの目が治るまでと世話をするのですが、お互いどんどん惹かれあってしまうのです。
このままほのぼの進めばよかったのですが、実は勇者の息子で王族のレオンは姉アンナと兄ルーカスの王位継承問題に巻き込まれてしまうのです。

劣勢のルーカスの反転攻勢か始まり、それに魔物たちが利用されてしまいます。

リュイはリュイで、自分の本当の姿を見られるのを恐れて逃げてしまう。

魔物たちを利用するルーカスの行動はまさに勇者に倒された魔王と同じ行為だとなぜ気がつかないのか。
彼が何故そんなに王位に固執したのかと思うと切ないです。

今回のことがきっかけで、人間と魔物との仲が良くなっていきそうな感じになって、これから皆で手を取り合って平和な国になるだろうという流れのための必要悪だったのでしょうか。

2人は甘い時を2人で過ごすにはやることがまだまだ多いですが、孤独なリュイが幸せになれてよかったです。